農薬:防除学習帖
野菜の害虫防除11 その他害虫【防除学習帖】第76回2020年11月6日
前回までに害虫の分類ごとに生態や防除法を紹介し、農業現場で問題となる害虫種はほぼ紹介したので、それら以外で農業現場で問題となるものとして、ハナバエとナメクジ・カタツムリを紹介する。
特にハナバエは、幼い作物や種に被害を起こすことから、加害されると生育が全くできず被害も大きいので、確実な防除が必要である。
以下、それらの特徴と防除法を整理した。
1.野菜類に発生するハナバエ・ナメクジ・カタツムリ
ハナバエは、ハエ目ハナバエ科に属する害虫で、作物に被害を起こすものはタマネギバエとタネバエである。いずれもハエの仲間であるが、土中に産卵、孵化し、土中から加害する特徴がある。これらは、幼い植物や発芽食後のタネを加害するので、そこで生育が停止し、大きな被害を起こす。
カタツムリ・ナメクジは、野菜の葉に発生し、夜間や雨の日などに物影などから出てきて、作物の葉を加害する。
これらの、加害作物、生態他を表に整理した。

2.被害
タマネギバエの被害は、孵化幼虫がタマネギ、ネギの鱗茎に食い入り、加害された株や鱗茎が枯死することで起こる。これにより、商品価値が大きく低下する。
タネバエの被害は、水を吸ってふくれた種や発生直後の柔らかい芽や根を好んで食べるので、種子は発芽できなくなる。発生が多いと苗立ちが著しく低下し、栽培が成り立たない。有機質肥料のにおいによって成虫が誘引される。
カタツムリやナメクジの被害は、日中に地中や日陰に隠れていたものが、夜間や雨の日に活動し、作物の葉を加害する。このため、葉物野菜などは品質を大きく低下させ、発生が多い場合は葉の活性低下により生育不良・品質低下となる。
3.防除法
タマネギバエとタネバエは、土中から発生するので、土壌施用粒剤を土中に均一に混和する。近年は、クルーザーなど種子処理により防除する殺虫剤も登場しており、種に確実に薬剤を付着させることができるので防除効果が安定するようである。
カタツムリ・ナメクジは、夜間、湿度の高い日に加害するので、降雨があった日の夕方を狙って、メタアルデヒド剤などの薬剤を散布すると効果がある。
以下に、作物別登録農薬を整理したので参考にしてほしい。実際の使用にあたっては、登録内容をよく確認し、適正使用に努めてほしい。
野菜のその他害虫別登録農薬一覧(クリックでPDFをダウンロード)
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