人事2024 左バナー 
左カラム_シリーズ_防除学習帖
左カラム_病害虫情報2021
新聞購読申込 230901
左カラム_コラム_正義派の農政論_pc
左カラム_コラム_米マーケット情報_pc
左カラム_コラム_地方の眼力_pc
左カラム_コラム_食料・農業問題 本質と裏側
左カラム_コラム_昔の農村・今の世の中_pc
左カラム_コラム_花づくり_pc
左カラム_コラム_グローバルとローカル_pc
左カラム_コラム_TPPから見える風景_pc
左カラム_コラム_ムラの角から_pc
左カラム:JCA160_86
イソクラスト_フロアブル_SP
JA全中中央①PC
JA全中中央SP

農薬:防除学習帖

みどり戦略に対応した防除戦略(20) トマト栽培の雑草防除【防除学習帖】 第226回2023年11月25日

一覧へ

令和3年5月に公表され、農業界に衝撃を与えた「みどりの食料システム戦略」。防除学習帖では、そこに示された減化学農薬に関するKPIをただ単にKPIをクリアするのではなく、できるだけ作物の収量・品質を落とさない防除を実現した上で、みどりの食料システム法のKPIをクリアできる方法がないかを探ろうとしている。
現在、農薬の使用量も多く、出荷量も多いトマトを題材にして、前回までに、どんなリスク換算量の低減方策があるのか、トマトの防除タイミング(場面)ごとに検証してみた。今回は、それらを統合し、トマトの1作期で考えた場合にどのような考えでみどり対応を考えたらよいか検証してみる。

1. 比較する防除体系

昨今のトマト栽培においては、線虫と微小害虫対策が重要な位置を占めているので、それらの防除を中心に体系を比較してみようと思う。
比較は2とおりで実施し、いずれも防除に使用する有効成分数を14とした。
防除体系1は、土壌消毒剤でセンチュウ対策を確実に行い、生育期の葉かび病対策と微小害虫を対象とした系統の異なる薬剤でのローテーション防除を行ったものもので、雑草対策として、非選択性茎葉処理除草剤の畝間処理を行うものとした。
防除体系2が、センチュウ対策は、リスク換算量の少ない土壌消毒剤を最初に使い、万全なセンチュウ対策を行うために土壌混和型の土壌処理センチュウ剤を合わせて使用した。生育期の葉かび病対策と微小害虫対策は防除体系1と同様に異なる系列の薬剤でローテーション防除を実施した。除草はマルチングで実施することとして除草剤は使用しなかった。

2. 防除体系別リスク換算量試算

本試算では、葉かび病、土壌線虫並びに微小害虫、および雑草をほぼ同程度に防除できる体系を2つ想定し、比較のために使用する有効成分を14に合わせて試算した。
その結果は次表のとおりであるが、体系で使用する薬剤の組み合わせによって、10aあたり処理製剤量やリスク換算量に大きな差があった。
防除の際に必要な製剤量いわゆる実際の防除で投入する農薬製剤の量を示す「10aあたり処理製剤量」は、防除体系1が67,620gであるのに対し、防除体系2は3割減の47,575gであった。同様にみどり戦略で化学農薬使用量削減の指標とされている「リスク換算量」(投入された農薬製剤量に有効成分%をかけ、それにリスク係数を掛けて算出した数値)は、防除体系1が17,859gであるのに対し防除体系2は6,734gと62%も削減された。このことは、防除効果を落とすことなく、使用する農薬の組み合わせを変えたり、IPM防除を取り入れるだけで、みどり戦略の2050年KPIである化学農薬50%減を余裕でクリアできることを示したことになる。つまり、リスク換算量の総計を意識さえすれば、使用する農薬の有効成分を減らす必要はなく、かえって目標とするリスク換算量の総計内であれば、有効成分の組み合わせを変えて成分数を増やして防除効果の精度を向上させることも可能となる。
みどり戦略対応では、以前の農薬取締法改正の際に行われた単純な散布回数減、散布成分数減とは異なるアプローチが必要であることを考慮しておかなければならない。

みどり戦略に対応した防除戦略[20]

3.みどりの食料システム法対応の検討

使用時期別の対応策の詳細は、前回までに紹介しているのでそちらを参照願いたい。ここでは、棒体系全体での防除効率を下げない為の考え方を整理してみようと思う。

(1)植付前処理
トマト栽培において、土壌消毒は、土壌病害や線虫被害など連作障害回避のために不可欠なものであるので、必要に応じて実施するようにしたい。土壌還元消毒法などを導入すれば手っ取り早いが、資材コストなどが余計にかかる場合があるなど、コスト面・労力面では土壌消毒剤の使用の方が優位の場合も多い。この場合、使用する土壌消毒剤を変更するだけでもリスク換算量を減らすことができるので、防除対象によって方策を検討するようにしてほしい。今回の事例のように、土壌線虫対象であれば線虫に効果の高い土壌消毒剤に土壌処理粒剤との組み合わせに変更するだけで、リスク換算量を64%も削減できた。このように単純に減らすことを前提ではなく、組み合わせで土壌消毒剤を使用しながらもリスク換算量を減らせる事例があることを知っておいてほしい。

(2)育苗期・生育期処理
育苗期や生育期に使用する農薬はリスク換算量からすると小さい部類になる。前回までにも述べていたように、この時期は防除効果優先で考え、リスク換算量を参考にしながら防除薬剤を選択する方が良い。特に、土壌消毒剤の変更を入れるようなときには、リスク換算量のスケールが違うので、育苗期や生育期では防除回数やリスク換算量をあまり意識しなくともよいだろう。

(3)除草
除草は、基本的に除草シートやマルチングで実施するようにすると良い。それでも、雑草が増えてきたら、何年かに一度、根まで枯らすことができる非選択性茎葉処理除草剤でリセットするようなつもりで使用するとよいだろう。

重要な記事

ヤンマーSP

最新の記事

DiSC:SP

みどり戦略

Z-GIS 右正方形2 SP 230630

注目のテーマ

注目のテーマ

JA共済連:SP

JA人事

JAバンク:SP

注目のタグ

topへ戻る