「農政フォーラム2021~食料自給国家の実現に向けて 」 開催 松下政経塾2021年11月29日
松下幸之助記念志財団 松下政経塾は 11月17日、松下政経塾「農政フォーラム 2021~食料自給国家の実現に向けて~」を北海道札幌市のホテルポールスター札幌で開催した。
研修報告を行う元ホクレン職員の波田氏
同フォーラムは、食料の大半を外国からの輸入に依存する現状に警鐘を鳴らすとともに 、食料自給国家の実現に向けた具体的な取り組みについて考えることを趣旨に開催。会場には、当初の定員150人を大きく上回る230人が集まり、オンラインでも130人以上が参加した。
第1部の基調講演では、 日本総合研究所会長で多摩大学学長の寺島実郎氏が「日本の農業の現状と今後の展望」と題して話した。寺島氏は「日本の食料自給率が37%という現状は異常。これから世界の人口が爆発的に増えて行く見通しの中で、日本は戦後の工業生産力モデルから、食と農をはじめとするファンダメンタルズ産業基盤の強化に原点回帰することが重要」と警鐘を鳴らした。
第2部の研修報告では、元ホクレンの職員で松下政経塾第39期生の波田大専氏が「農政ビジョン 2040~食料自給国家の実現に向けて~」と題して4年間の研修成果を報告。食料自給率の向上に向けた20年後のビジョンと、その実現に向けた6つの具体的施策について提言した。
第3部のパネルディスカッションでは、 北海道農政部長の宮田大氏と、北海道大学大学院農学研究院ディスティングイッシュトプロフェッサーの野口伸氏、北海道消費者協会会長の畠山京子氏、株式会社Kalm角山代表取締役兼CEOの川口谷仁氏、アグリシステム株式会社代表取締役社長の伊藤英拓氏の5人が登壇。「これからの日本の農業」というテーマでそれぞれの立場から発言した。
北海道農政部の宮田部長は「気候変動に対応した新品種の開発を進めたい」と話し、行政の立場から自給率を上げる方策を示した。また、北海道大学の野口教授は「スマート農業は農業のDX。そこには、農業を自動化してロボット化することと、農業の知恵やノウハウをデータ化して、それに基づく農業に転換していく機能がある」と話し、スマート農業の普及拡大に向けた今後の課題として道路交通法等の規制緩和や高速通信回線等のインフラ整備について言及した。
一方、北海道消費者協会の畠山会長は「有機栽培の価値を消費者にもっと理解してもらうことに努めたい。そうした活動が有機栽培による農産物の販売促進にも繋がるのではないか」と話し、消費者の立場から自給率を上げるための具体的な方策を示した。
また、北海道江別市でアジア初の搾乳ロボット8台を導入したメガロボットファームを経営するKalm角山の川口谷社長は「牛乳の自給率は100%だが、その飼料の自給率を見てみるとほとんどが輸入に頼っている。この現実をどう捉えていくか」と話し、酪農者の立場からトータルな自給率の向上を考える必要性を訴えた。
さらに、北海道芽室町などで国内最大級の370ヘクタールの大規模有機農業を実践する アグリシステムの伊藤社長は「有機農業こそ、むしろ大規模経営に適しているのではないかと感じている」と話し 、クローバーを撒いて余計な雑草の発生を抑制する等の具体的なノウハウについても言及した。
会場には230人が来場
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