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流通:いま!食のマーケットは

【シリーズ・いま!食のマーケットは】第3回 コンビニと農業2014年6月13日

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取材協力:大塚明・中央大学大学院戦略研究科客員教授(日本スーパーマーケット協会前専務理事)
・次の次元の競争段階に
・食の流通に大きな変化が
・ターゲットは女性とシニア層
・農場・加工にもローソン参入
・小売との連携でメリットが

 これまで、コンビニの商品開発などを中心に、小売業としてのコンビニの強さを探ってきた。今回は、新たな競争段階に入ったとみられるコンビニ業界が目指すものを探ってみた。そこには農業生産とのかかわりを深めたいというコンビニ業界の思いが浮かび上がってきた。

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加工・調理された野菜を

 

 ◆次の次元の競争段階に

 コンビニはこれまで、POSシステム導入による販売情報の活用、多頻度小口配送による在庫圧縮、生産から販売に至るプロセスを一貫して効率的に管理するサプライチェーンの構築で他業態をリードしてきたが、地域商業の場として再定義する試みが始まった。それは、これまでの顧客ターゲットであった20?30歳代の男性客だけではなく、女性客、高齢者層への拡大を図っていくためだ。
 具体的には、PBを含めた独自商品の開発、パウチ状の冷蔵・冷凍惣菜、店内調理の導入、通販や宅配への参入、さらには異業種との提携、新業態の開発、そして、青果物販売への取り組みなどの動きとして表れている。これらは必ずしも従来のビジネスモデルの延長線上にないものである。
ファミリーマートとAコープの看板が並ぶ(愛媛県伊予市) 例えば、ファミリーマートは、異業種である調剤薬局、カラオケ店や外食と提携した出店を加速している。さらにスーパーマーケット(SM)や農村地帯に強いJA全農グループのSM・Aコープと提携して、コンビニにはない生鮮食品とスウィーツなどのコンビニ商品を並べることによる相乗効果を狙っている。
 また、これまで、コンビニで取り扱う商品は、プリパッケージされ、店頭での判断業務を排除する方向で賞味期限や消費期限を明記し、アルバイトでも扱えるようオペレーションを整え発展してきた。しかし最近増えてきている青果物の販売は、商品管理が難しく専門知識を必要とするが、そのわりに粗利益率が低い。にもかかわらず青果物を販売しようとする最近のコンビニ各社の動きは、効率性を至上として成長してきた業態が、新たなコンビニ像を模索する次の次元の競争段階に突入したからと見ることができる。

(写真)
ファミリーマートとAコープの看板が並ぶ(愛媛県伊予市)

 

◆食の流通に大きな変化が

 その背景には、食の流通のあり方に大きな変化が生じてきていることがある。
 関東圏にあるスーパーマーケットでは、パッケージに入った「カットサラダ」の売上が10年前に比較して4倍に伸び、素材のレタスより売上が高いという。加工食品や中食がいかに広く浸透しているかを表す数値だ。農水省によれば、2010年の国内仕向け野菜量の割合は、家計消費用45%に対し、加工・業務用55%である。つまり、最終消費者は、野菜を何らかの加工・調理を経た形で消費しているということだ。

 

◆ターゲットは女性とシニア層

 昨年5月、ローソンは健康志向に対応した実験店である「ローソン久が原一丁目店」(東京都大田区)を開設した。ここでは、生鮮食品の品揃えを拡充したほかNBメーカーと共同開発した健康食品の拡販に取組んでいる。まさにターゲットは、女性とシニア層だ。
 ローソンは現在、生鮮食品を扱う「生鮮コンビニ」を増やしており、14年2月末で「生鮮強化型店舗」と「ローソンストア100」の約8400店舗(計画)で生鮮食品を販売している。そして、生鮮コンビニの進化形として「ローソンマート」の展開を始めた。標準の売場面積を現状の「ストア100」の1.5倍以上の60?70坪とし、取扱品目も5000?6000アイテムに拡大する。14年度は100店を出店し、3年内に東名阪エリアの住宅立地を中心に500店を開設。また「ストア100」既存店の3?4割を転換する計画も発表されている。

 

◆農場・加工にもローソン参入

 さらにローソンでは、全国16カ所(14年2月)で地域の有力農家と共同出資による専用農場「ローソンファーム」を運営。これを15年までに40カ所に拡大する計画だ。目指しているのは、全国のローソンファームの産地リレーで青果の調達が周年できる体制だ。生産にあたる地元生産者が75%、ローソンが15%、青果卸などが10%を出資して、農業生産法人を設立する形での農業参入だ。
 さらに、契約農家の数も増やして野菜の生産量の拡大を図り、青果物として販売するだけではなく、弁当や惣菜の原材料としての使用率を高めている。
 また、農産物宅配の「らでぃっしゅぼーや」や「大地を守る会」に出資し、土壌診断に基づく健全な土づくりの技術と作物の健全な生育維持のコントロール技術を持ち、土壌に適切な栄養を供給する栽培農法である中嶋農法を実践する「エーザイ生科研」を子会社化するなど生産まで踏み込んでいる。
 ローソンファームで生産されたものを使った商品開発も進んでおり、おでんの大根は全量使用している。十勝のジャガイモ使用のコロッケ、グラタン。「ガブッと丸ごときゅうり漬け」なども市場をにぎわせた。また、ベビーリーフを生産するローソンファーム初の植物工場も秋田県羽後町で稼働されている。
 さらにこの5月には、ローソンファーム千葉(農業生産法人)が母体である芝山農園などとの共同出資で、香取プロセスセンターを設立し、6次産業化事業として認可された。今年の秋に農林漁業成長産業化ファンドを活用して野菜加工工場建設に着工し、来年春以降に、ローソンファーム千葉や近隣の契約生産者が栽培した野菜をカットして、商品の原料とし、関東・甲信越地区のローソングループ店舗向け中食製造工場や漬物工場に販売する。この加工工場設置でこれまで店頭では販売しにくかった規格外品や余剰品を有効活用することができるようにもなるという(5月30日付『流通ニュース』)。

 

◆小売との連携でメリットが

 最近、企業による農業参入が増えている。
 小売業でもローソンをはじめイトーヨーカ堂、イオン、バロー、平和堂、セイコーマート、神戸物産などが農業参入あるいは契約農場との取引きに積極的だ。農業参入の狙いは、生産者が特定できる商品を販売することによって、鮮度や安全・安心といった品質を確保し、自社の企業イメージを高め、他社との違いを打ち出すことにある。
 青果物が強い店舗は、客数増が図れると言われる。それは来店頻度を高めることができるからだ。そこで、競合他社との差別化を図るための戦略商材として青果物を位置づけ、青果物の品揃えの充実をはかり、客数の増加、客層の拡大を見込む。具体的には、生産農家との協業による顧客ニーズに合った青果物生産体制、商品化体制を確立する。生産履歴(トレーサビリティ)を把握し、安全・安心や値ごろ感に対するニーズを競合他社、他業態よりも充足させる体制を作る。
 そして、農業従事者の高齢化と後継者不足により、将来予見される農産物不足を回避し、安定的な供給先を確保するなどが追求するテーマになる。さらに卸・中卸の中間業者を抜くことで仕入れコストを下げることもできる。
 ただし、異業種による農業参入が成功するのは、たやすいことではない。日本政策金融公庫が、農業参入した建設業、食品製造業、食品卸売業など138社に対して行った「企業の農業参入に関する結果」によれば、黒字を確保できた企業は全体の29.6%にとどまる。
 しかし、農業に参入した小売業と連携することで、小売業だけではなく生産者側にもメリットをもたらすことは確かだといえる。
 小売サイドでは、トレーサビリティが確実になり、顧客ニーズを充足した商品の提供が可能になる。さらに商品や店頭のPOP媒体に、自社農場で栽培された商品であることを明示することで地域に貢献する企業の姿をアピールすることもできるからだ。
 生産者サイドにとっては、欠品が許されない厳しさはあるが、契約栽培することで青果流通につきものの価格の不安定さからは解放される。販路と価格を安定させることは、生産者の長期的かつ定期的な事業計画立案を可能にするためにも、不可欠だと思う。
 そこに、従来の家庭消費を中心とした生産とは異なる新たなビジネスチャンスの可能性があるのではないだろうか。

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