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流通:いま!食のマーケットは

【シリーズ・いま!食のマーケットは】第6回 環境変化からニーズを見つける2014年10月17日

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取材協力:大塚明・中央大学大学院戦略研究科客員教授(日本スーパーマーケット協会前専務理事)
・難しい人口1億人維持
・1人暮らしは15年後37%
・東京圏内に人口集中
・平均所得低下20年で20%
・増税で家庭負担は増大
・ネットの拡大で高まる評価
・複合機能で小売存続

 2015年10月予定の消費税増税10%の引き上げを予定通り実施するか否かが話題になっている。
 4?6月期の国内総生産(GDP)2次速報は、物価の変動を除いた実質成長率が前期(1?3月期)と比べて1.8%減、この状況が1年続いた場合の年率換算では7.1%減だった。消費増税の影響で落ち込んだものだが、安倍政権は7?9月期の成長率をみて来秋の税率10%への再引き上げを実施するかを決める考えで、今後の回復が判断のカギとなる。GDPの6割を占める個人消費も、前期比5.0%減から5.1%減にわずかに下振れしている。急速に進む円安も小売業には逆風になりそうだ。
 小売業の事業変革を促す要因は、消費者の変化(人口構造や価値観の変化)、法令の新設・改廃、ITの進化があげられる。前回は、消費者の価値観の変化について述べたが、他を整理しておきたい。

◆難しい人口1億人維持

 政府は急激な人口減少に歯止めをかけるため、2060年の人口目標を1億人に掲げ、地方創成本部を設置した。
 小売業も、この人口減少、高齢化にどう対処するのかは重要な課題だ。我々が直面する状況について確認すると次のようになる。
 一つ目は、人口減少だ。
 2010年から15年の5年間に減少する人口は140万人、その後、5年間ごとに250万人、350万人、400万人と減り、40年から45年以降は500万人超で、60年の人口は8673万人と推計されている。政府が目標とする1億人を維持するには、価値観の変化を始め結婚・出産・子育てなどの要因を考えると、ハードルは高い。

 

◆1人暮らしは15年後37%

 二つ目は高齢化と世帯構成だ。
 15年からの10年間は、団塊の世代が70歳代に入ることから世帯主75歳以上の世帯が急速に増える。
 05年の65歳以上の人口の割合は、日本は19.9%。国連人口推計の数値だが、韓国の9.3%、シンガポールの8.5%、中国の7.6%と比べても、異常に高い。消費支出の内訳も大きく変化することが予測される。
 標準世帯という言葉がある。夫婦と子供2人からなる世帯をそう呼んできた。企業も標準世帯を基本的なターゲットと捉えて、施策を立案しマーケティングを推進してきた面が強い。
 国立社会保障・人口問題研究所のデータに基づくと、「夫婦と子世帯」の構成比は、1980年では全世帯の42%を占めており、「単身世帯」の20%や「夫婦のみ世帯」12%を大きく上回っていた。標準世帯を念頭にしたビジネス展開には妥当性があった。
 ところが「夫婦と子世帯」の構成比は下がり、10年では28%にすぎず、「単身世帯」の31%を下回り、単身世帯は、30年には37%に達する見込みだ。
 極端な表現をすると、この1人暮らしが標準的な暮らしであると言える時代かも知れない。
 また、この1人暮らしへのアプローチは難しい。1人暮らしといっても、若者も居れば独居老人もいる。キャリア女性もいれば離婚した中年男性もいるからだ。

 

◆東京圏内に人口集中

 三つめは東京圏(南関東1都3県)へ集中だ。
 人口は、東京圏に集中する。人口だけでなく情報、経済活動、インフラ整備への投資なども集中する。しかも20年、東京オリンピックまでの数年間に集中するから国内全体に及ぼす影響は大きなものになりそうだ。
 東京圏という表現から、神奈川県、埼玉県、千葉県なども東京都と同じという見方をしがちだが、この3県の人口2246万人のうち、12.2%にあたる274万人が東京への流失人口として日常的に東京で過ごしているので、東京圏の中でも問題が生じている。
 12年の世帯年収の平均額は537.2万円、中央値は432万円。平均値以下に多くの世帯が収まっているのが見て取れる。平均所得金額以下の世帯比率は60.8%もあり、低所得世帯数の多さと、高所得層によって平均所得がかさ上げされている様子が、200万円台が13.3%、300万円台が13.2%もいることからも分かる。

 

◆平均所得低下 20年で20%

 1994年の平均所得が664.2万円だったので、この間に約20%落ちていることになる。非正規雇用が増えているのである。
 ただ、年代別の収入は、02年以降中期的動向としては各世代で右肩下がりが続いた。つまり、収入の漸減傾向が見受けられたが、13年では50代以外の世代すべてで上昇をしているのは喜ばしい(家計調査報告:二人以上世帯のうち勤労者世帯)。
 これらの状況を考慮すると、コモデティといわれる生活必需品の廉価販売を全面的には否定することはできない。
 『2030年世界はこう変わる』(GLOBAL TRENDS 2030:米国国家情報会議 編)の中に「最も不安な国・日本」との記述がある。急速な高齢化と人口の減少で、日本が長期的に経済成長を実現させる潜在力は極めて限定的だ。例えば25年までに年金暮らしの高齢者1人を労働人口2人で支える社会が到来する。
 こんな高齢者社会を政府が財政的に支えるのは簡単ではない。高齢者福祉に多くの国家予算を取られると、別の分野への予算割当ては小さくなってしまう。

 

◆増税で家庭負担は増大

 国際通貨基金(IMF)は、たとえ一時的な政治的混乱を招いたとしても、日本は「財政上のバランスを長期的に保つ大規模な政策転換を実施すべき」と進言している。膨らむ一方の負債を解決することに言及しているのだ。
 日本の公的債務残高を対GDP比で横ばいか引き下げるには、50兆円の税収増が必要とIMFや民間研究機関が試算している。それには、消費税25%にする必要があるという。
 消費税をそこまで引き上げることはないから、他に求めるだろうが、家計への負担は、ますます増加してくる。
 その他の問題として、13年自民党参議院選挙公約で、待機児童ゼロ、女性の就業継続支援、指導的地位の女性増加を「女性が輝く日本」として訴えた。
 実現させて欲しいが、働く女性が増えることは、買い物の仕方が激変することになる。
 また、食品の新たな機能性表示制度の実施が目の前に迫っている。
 特定保健用食品と栄養機能食品から成る保険機能食品だけであった健康への効果を表示が、一般の加工食品、生鮮食品を含むすべての食品で「機能性表示」が条件を満たせば可能になるのだ。
 食品販売者として新しい需要を生むであろう、表示規制の緩和には十分な対応が必要である。

 

◆ネットの拡大で高まる評価

 レジスターの進化が日本の小売業の近代化を生み、データ活用という科学的な事業に変えてきた。これだけ見てもITの進化が事業変革の大きな要素になる。
 情報インフラとしてのインターネットを見てみると、1995年「Windows 95」の発売が、インターネット元年であり意外に歴史は浅い。しかし、人口普及率では、12年には79.5%まで高まっている。
 活用方法も、最初はネット・サーフィンや検索エンジンを使ってさまざまな情報を入手する「情報収集」であったが、ホームページ、ウェブログ(ブログ)が登場して「情報発信」が増加した。
 現在では、「情報共有」する機能が主力になっている。友人、知人ネットワーク(SNS)も知らない者同士へと範囲が拡大され、無数の見知らぬ人との共有が始まっている。
 ネット上のレイティング(評価)は、企業の宣伝、自分の判断、有名人の評価を上回るものになっている。

 

◆複合機能で小売存続

 今までは、商品を集め、在庫することで消費者との距離や時間を短縮し、買いやすい単位に分割することで小売業は成り立って来た。
 この機能だけでこれからも成り立つ環境ではない。機能の複合化を図り企業活動の範囲を広げる必要がある。また、「店舗」という物理的に固定された建物から脱皮する必要もあろう。
 小売業は厳しいみかたをすると、今までとは別の企業として生まれ変わることを追究しない限り、成長発展はもとより存続すらおぼつかない環境下にあるといえるだろう。

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