食品流通 シリーズ詳細

シリーズ:激変する食品スーパー

2016.02.23 
【第11回】「カットフルーツ関連商品の最新動向」一覧へ

創意工夫の積み重ねで市場拡大

 カットフルーツをはじめとした果物加工品への注力の仕方には、食品スーパーごとにバラツキがある。売場の一部を加工所として対面販売するような積極的な取り組みがある一方で、加工済みの「アウトパック品」を2~3アイテム品揃えする程度の補完的な商品構成に留めている店舗も少なくない。

◆売場の差別化に貢献

カットフルーツ売場 バラツキの要因は、生産キャパシティ(インストアでの生産体制やスキルなど)の問題もあるが、商品ロス(値下げ・廃棄)の懸念によるところが大きい(関連記事:第2回)。日本のカットフルーツ売場は、店舗における付加価値を高める効果が期待できるものの、収益を確保するには多くのハードルを乗り越えなければならないのが実情だ。
 アメリカの食品スーパーでは、カットフルーツ売場がお客様に受け入れられているだけでなく、売場全体の魅力づくりや差別化に大きく貢献している。中でもオーガニックスーパーやグルメスーパーでは「ディスティネーションカテゴリー(目的買いで訪れるような競争力の高い商品カテゴリー)」と位置付け、日々商品・売場を磨き上げている。そのアメリカの最新の動向を踏まえながら、今後のカットフルーツ関連商品の可能性を探っていきたい。


◆見た目と色味が大事

見た目の重視 【おいしさの追求】カットフルーツは時間の経過とともにドリップ(カットした後に発生する液汁)が発生し、うまみを損ねる。その上、生菌が繁殖しやすく衛生面でも問題がある。定番のカットパインには容器の底に紙おむつのような水分吸収シートを敷き、ドリップを抑える工夫がされている。また、食べやすいようにサイズの半分のところに切り込みを入れている。
 些細なことにみえるが、日本でもおいしさや食べやすさの追求余地は小さくない。
 【見た目の重視】デザートコーナーにあるフルーツタルト一つをとっても、安っぽさがなくケーキ専門店と遜色ない出来栄えである。鮮度の良い生のフルーツを活用すれば、高単価商品を生み出す可能性は広がる。
 また、オレンジの手絞りジュースでは、レギュラー品とオーガニック商品との色味が異なり、売場での比較販売を行っていた。見た目の差がお客様の興味を誘い、提案がしやすくなる。商品化を進める際の重要なポイントと言える。
 【色味の活用】前進立体陳列(手前から垂直に商品を陳列する手法)でカラーコントロールを大胆に活用するのも、カットフルーツならではの売場づくりとなる。
 カット野菜の説明でも触れたが、アメリカでは販売期限が7~10日間ほどあるから可能となる陳列展開であり、日本の現状流通では、制度や商慣習の面でハードルが高いのが事実なのは承知している。
 しかし、色味は生鮮食品における農産物ならではの特徴と言え、立体的に構成することでイメージ作りに大いに役立つ。日本でもいずれ対応が進んでいくだろう。

◆需要を掘り起し市場活性化へ

 【需要の掘り起こし】アメリカでは、シーン別の商品開発にも積極的だ。週末になるとパーティー用の大容量パックが良く動く。動きの芳しくない平日にきちんと品揃えをすることでお客様が目に留める機会が増え、週末の販売へとつながる。
 ポイントは色味と同様、イメージづくりである。単なる目先の売上だけでなく、売場でのイメージづくりがお客様の満足度を高める原動力となる。このほか、朝食需要に対応した商品が充実している。
 ヨーグルトパフェは数多くのスーパーで目にする。水切りされたヨーグルトに、シリアル、フルーツが小分けで添えられている。日本でも、最近美容や健康効果で注目されている商品の1つだ。世界で比較すると日本の果物の摂取機会が減ってきている。需要の掘り起しが市場活性化には欠かせない。

◆使用ニーズを想定した供給

 セットメニューの強化【セットメニューの強化】簡単な前菜やデザートとしても使えるように、アーモンドクリームやクリームチーズなどの乳製品と組み合わせて提供されるセットメニューがある。果物単品での訴求はもちろん重要だが、関連商品のセットでメニューを提案すると、商品構成を充実させやすい。
 複数の商品を展開し、バンドル販売(複数購入すると割引する販売方法)で客単価の向上を図るなど、販売促進にも抜かりがない。
 【提供形態の多様性】カットフルーツのサイズ別だけでなく、加工段階まで含めていくと、商品構成の幅が格段に拡がる。ほうれん草やニンジンなどの緑黄色野菜にリンゴなどの果物を加えた、店内で加工されたドリンク「グリーングローリー」には、すぐに飲めるボトルタイプに加えて、自分で濃度を調整できるリキッドタイプを取り揃えている。ボトルタイプよりも割安感があり、ヘビーユーザーに支持されている。お客様の使用ニーズを想定し、商品のクオリティアップを図るのは、差別化の王道と言える。商品の中身だけでなく、提供形態でも付加価値を高めるのは可能だ。

◆売場と生産者が連携して

 このように、日本でもアメリカのカットフルーツコーナーの取組みを、参考にできる要素は多い。目新しさを意識した新規商品の開発も当然大切だが、提案や商品加工の創意工夫の積み重ねが市場拡大につながる。創意工夫の積み重ねについては生産者との連携が不可欠で、お互いがwin-winとするには、お互いが切磋琢磨しなくてはならない。日本でもカットフルーツコーナーが「ディスティネーションカテゴリー」として機能する日はそう遠くないと感じている。
 生産者にとっても、今後のカットフルーツの展開については意識的にチェックしていきたい。

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