「土壌病害の発生しにくい土づくり」巡り講演会開催 土づくり推進フォーラム2017年7月26日
土づくり推進フォーラム(事務局:一般財団法人 日本土壌協会)は7月24日、日比谷図書文化館大ホールにおいて、「土壌病害の発生しにくい土づくり」をテーマに講演会を開催した。
会場では、土づくり推進フォーラム会長・東京大学名誉教授 松本聰氏の開会挨拶に続き、「土壌病害、センチュウ害対策技術の最近の動向」をテーマに、次の4講演が行われた。
<講演>
(1)「植物共生科学から考える土壌病害の発生しにくい土づくり」:農研機構北海道農業研究センター大規模畑作研究領域上級研究員 池田成志氏
(2)「岐阜県のトマト土壌病害(青枯病)対策の取組み」:岐阜県農政部農業経営課 農業革新支援専門員(土壌医) 市原知幸氏
(3)「果菜類の土壌病害虫に対する総合的対策の取り組み」:群馬県農業技術センター環境部病害虫係 三木静恵氏
(4)「転炉スラグを用いた土壌pH改良による土壌病害の被害軽減」:岩手県農業研究センター環境部病理昆虫研究室 主査専門研究員 岩舘康哉氏。
池田氏は「IT化やロボット技術だけでは、持続的農業にはつながらない。植物や微生物の生理・生態を理解し、それらを上手に利用した栽培・育種技術を思案していくことが、本質的な<スマートアグリカルチャー>につながる」と語った。
市原氏はトマトの管理作業での伝染防止について、消毒液カートリッジ(ケミクロンG500倍液)付の専用ハサミを紹介、「多くの生産者で優良な伝染防止効果が得られた」としながらも、「中国製の壊れやすいハサミしか無く、国産の高品質なハサミが求められる」と述べた。
三木氏は、土壌還元消毒によるキュウリ圃場でのネコブセンチュウ対策について、効果を得るには、
1.処理期間を3週間以上確保、2.30℃以上の地温確保、3.初期の還元状態を十分保つこと、が重要と語った。
岩舘氏は、鉄鋼生産の副産物である転炉スラグを用いた土壌改良による病害軽減について、酸性改良持続効果に優れ、耕種的防除法として活用可能としながらも「自根キュウリやメロンなどウリ科の果菜では効果が無く、転炉スラグは万能資材ではない」と指摘した。
講演会場は、早くから満席となり、立ったままで聴講する人も多く見られた。土づくりの重要性についての関心の高さが伺われる講演会となった。
重要な記事
最新の記事
-
【座談会・どうするJAの担い手づくり】JA鳥取中央会・栗原隆政会長、JAみえきた・生川秀治組合長(1)2025年9月18日
-
【座談会・どうするJAの担い手づくり】JA鳥取中央会・栗原隆政会長、JAみえきた・生川秀治組合長(2)2025年9月18日
-
【座談会・どうするJAの担い手づくり】JA鳥取中央会・栗原隆政会長、JAみえきた・生川秀治組合長(3)2025年9月18日
-
【JA全農の若い力】家畜衛生研究所(3)病気や環境幅広く クリニック西日本分室 小川哲郎さん2025年9月18日
-
【全中・経営ビジョンセミナー】伝統産業「熊野筆」と広島県信用組合に学ぶ 協同組織と地域金融機関の連携2025年9月18日
-
【石破首相退陣に思う】米増産は評価 国のテコ入れで農業守れ 参政党代表 神谷宗幣参議院議員2025年9月18日
-
【鈴木宣弘:食料・農業問題 本質と裏側】協同組合は生産者と消費者と国民全体を守る~農協人は原点に立ち返って踏ん張ろう2025年9月18日
-
「ひとめぼれ」3万1000円に 全農みやぎが追加払い オファーに応え集荷するため2025年9月18日
-
アケビの皮・間引き野菜・オカヒジキ【酒井惇一・昔の農村・今の世の中】第356回2025年9月18日
-
石川佳純の卓球教室「47都道府県サンクスツアー」三重県で開催 JA全農2025年9月18日
-
秋の交通安全キャンペーンを開始 FANTASTICS 八木勇征さん主演の新CM放映 特設サイトも公開 JA共済連2025年9月18日
-
西郷倉庫で25年産米入庫始まる JA鶴岡2025年9月18日
-
「いざ土づくり!美味しい富山を届けよう!」秋の土づくり運動を推進 富山県JAグループ2025年9月18日
-
日本初・民間主導の再突入衛星「あおば」打ち上げ事業を支援 JA三井リース2025年9月18日
-
ドトールコーヒー監修アイスバー「ドトール キャラメルカフェラテ」新発売 協同乳業2025年9月18日
-
「らくのうプチマルシェ」28日に新宿で開催 全酪連2025年9月18日
-
埼玉県「スマート農業技術実演・展示会」参加者を募集2025年9月18日
-
「AGRI WEEK in F VILLAGE 2025」に協賛 食と農業を学ぶ秋の祭典 クボタ2025年9月18日
-
農家向け生成AI活用支援サービス「農業AI顧問」提供開始 農情人2025年9月18日
-
段ボール、堆肥、苗で不耕起栽培「ノーディグ菜園」を普及 日本ノーディグ協会2025年9月18日