株枯病に強いイチジク台木新品種を育成 農研機構2020年11月26日
農研機構は11月25日、広島県と共同でイチジク株枯病に極めて強い抵抗性を有するイチジク台木新品種「励広台1号」を育成したと発表。繁殖性も良好であることから、今後は実用的な株枯病抵抗性台木として期待される。

イチジクの難防除病害の一つが株枯病(病原菌:Ceratocystis ficicola)で、1981年に愛知県で確認された後、現在ではほぼ全国の産地で被害が報告されている。株枯病は主に土壌伝染で広がり、発病園の土中に耐久性の胞子が残るため、改植後も2~3年で再発する。
防除法として農薬の土壌潅注や客土が推奨されているが、多くの労力と経費が必要なため、株枯病抵抗性台木が強く要望されてきた。
現在はイチジクの中で、比較的株枯病に強い品種を台木に利用しているが、罹病のリスクを完全には避けられない一方、株枯病に真性抵抗性を有するイチジク属野生種イヌビワは、イチジクと接ぎ木できないため台木として利用できなかった。
そこで農研機構と広島県は、イヌビワとイチジクの種間雑種からイヌビワと同程度の株枯病抵抗性を有し、「桝井ドーフィン」や「蓬莱柿」と接ぎ木親和性があるイチジク台木新品種「励広台1号」を育成した。
イヌビワとイチジク「ボルディード・ネーグラ」との種間雑種系統(FEBN-7)に、「ネグロ・ラルゴ」を交雑させた「励広台1号」は、株枯病菌の有傷接種試験に対して病斑の拡大がほとんどみられず、土壌接種試験においても、「励広台1号」の挿し木苗木はイヌビワと同様に株枯病は発病せず、強い抵抗性を示した。
「励広台1号」に接ぎ木した穂木部分は株枯病に抵抗性を持たないため、雨滴の跳ね返り等による穂木部分への感染を防ぐため、栽培に支障のない範囲で台木の長さを極力長くする必要があるとしている。
今後はイヌビワと同程度の株枯病抵抗性を有する台木として株枯病の発生園と、発生が懸念される産地への普及に期待がかかるとしている。
イチジク株枯病の土壌接種試験における累積枯死率の推移
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