サツマイモ基腐病菌の新しい検出・同定技術を開発 農研機構2021年8月30日
農研機構は、近年、発生が確認され被害が拡大しているサツマイモ基腐病の病原菌を検出・同定する新たな技術を開発した。国内に広く発生する類縁菌と基腐病菌の迅速で正確な区別による検出・同定が可能になり、同病の被害拡大の阻止につながる。
(A)サツマイモ基腐病のほ場での初期症状(茎基部の黒変)・(B)茎表面にできた柄子殻(黒い粒)
サツマイモ基腐病(基腐病)は、サツマイモが感染すると地際から発症して枯死するほか、塊根の腐敗を引き起こすため、産地に深刻な被害をもたらす。感染した種苗や罹病残さの移動により発生域が拡がると考えられている。日本では2018年に初めて発生が確認され、現在は19都県で発生が確認されている。
農研機構は、基腐病の発生地域の拡大を阻止し、既発生地域の被害を抑えるための対策技術の開発に取り組み、同病の早期診断を可能とする、病原菌の新たな検出・同定技術を開発。日本では以前から国内の広い地域に基腐病の病原菌(基腐病菌)の類縁種であるサツマイモ乾腐病(乾腐病菌)も分布しており、主に塊根が貯蔵中に腐敗する被害が知られていた。
一方、基腐病はまだ国内の限られた地域でのみ発生。生育期にほ場で蔓延し既存の乾腐病より深刻な被害を産地にもたらすため、ほ場での防除に加えて種苗を通じた未発生地域への蔓延防止のためにも、疑わしい症状が発見された場合は、乾腐病と区別して直ちに適切な対応を取る必要がある。しかし、基腐病菌と乾腐病菌は形態的に類似しており、正確な原因究明には2週間ほどかかっていた。
そこで農研機構では、両種をそれぞれ特異的に検出できるDNAプライマーを用いたリアルタイムPCRにより、最短約1日で基腐病菌と乾腐病菌を高精度に検出・同定する技術を開発した。同技術を活用することで、発生を早期に把握して適切な防除対策を講ずることができる。また、発生域拡大の抑制につながるほか、既発生地域の産地を回復するための新たな防除技術開発のスピードアップが期待される。
同技術は、すでにいくつかの県での初発生の農研機構による確認に利用されており、今後は都道府県などでの利用が期待される。
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