サツマイモ基腐病 県内で初めて確認 神奈川県2022年2月14日
神奈川県農業技術センターは、県内では未確認だったサツマイモ基腐病の発生を確認。これを受け、2月7日に病害虫発生予察特殊報第2号を発令した。
塊根の腐敗(品種「ベニアズマ」)(写真提供:神奈川県農業技術センター)
2021年11月、塊根がなり首側から腐敗したサツマイモの診断依頼が同センターへあった。依頼時、塊根に柄子殻は認められなかったが、室温保管後、塊根の一部に柄子殻と胞子が確認されたため、農研機構植物防疫研究部門に診断を依頼した結果、神奈川県では未確認のサツマイモ基腐病と同定された。国内では、2018年に沖縄県で初めて発生が確認され、その後、計24都道県で発生が確認されている。
病徴としては、苗床では、巻葉、葉の赤変や黄変、株元の茎の黒変、株の萎縮および種イモの腐敗等が見られる。本ぽでの発病初期は、葉が赤変・黄変し、生育不良の株が認められる。また、株の基部が暗褐色~黒色になる。茎葉が繁茂する時期は、初期症状を見つけにくく、秋頃から一気に枯れ上がったように見える場合が多い。
地際の茎基部が発病すると、そこから塊根へと病原菌が進展し、なり首側から褐色~暗褐色に腐敗することが多い。発病株の表層に多数の柄子殻が形成される。胞子は激しい風雨やほ場の停滞水によって移動し、周辺の健全株に感染する。
同病は、病原菌が感染した塊根(種イモ)と、感染苗でほ場内に侵入。また、罹病残渣で越冬し翌年の一次伝染源となる。
同防除所では次のとおり防除対策を呼びかけている。
株元の黒変した茎(写真提供:神奈川県農業技術センター)
〇同病の発生ほ場からは、種イモを採取しない。また、苗床の土壌消毒を行い、苗床に種イモを伏せ込む前は、種イモを選別し、消毒する。
〇未発生ほ場で生産された健全種苗を確保し、植付け前は同病に登録のある薬剤(表)で種苗消毒を行う。種苗消毒をする際に使用する消毒液は、必ず使用する当日に調製したものを用いる。
〇植付けの際には、排水が良好となるように排水対策を行う。
〇発病株は早期に除去し、ほ場外に持ち出して適切に処分する。発病株の除去前後には、周辺株への感染予防のため、本病に登録のある薬剤(表)を散布する。
〇同病が発生したほ場で使った資材や機材、作業着、長靴などを別ほ場で使う際は、消毒や洗浄を十分に行う。
〇発生ほ場では収穫後、ほ場から可能な限りサツマイモの残さ(茎葉を含む)を速やかに除去する。
〇前作で同病が多発したほ場では、サツマイモ以外の植物を2年程度輪作または休耕する。
〇詳細な防除対策は、農研機構生研支援センターイノベーション創出強化研究推進事業(01020C)「サツマイモ基腐病の発生生態と防除対策(令和2年度版)」を参照する。
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