農業イノベーションの強力なパイプラインで食料安全保障、気候、環境に貢献 BASF2022年6月8日
ドイツのBASF本社は、気候や環境への影響を最小限にしながら次世代の食料安全保障を支える農業イノベーションについて、10年間の見通しを発表した。

BASFは、小麦、キャノーラ、大豆、トウモロコシ、綿、米、果物、野菜など、主要作物における農業成果の向上に取り組んでいる。国連食糧農業機関(FAO)の推計によると、これらの作物は世界の農地の50%以上を占めているため、大規模なイノベーションが農業の生産性と持続可能性をさらに高める可能性がある。
主要作物において、BASFは種子や形質、種子処理、生物学的・化学的作物 保護のパイプラインと、デジタルファーミングソリューションのあらゆる事業分野で主要となるパイプラインプロジェクトを、次の10年で立ち上げる予定。イノベーションパイプラインの価値は高く、ピーク時の売上高は75億ユーロにのぼる見通し。
欧州でハイブリッド小麦「Ideltis」、作物保護、デジタルツールを組み合わせ、生物多様性を保全
増加する世界人口のニーズに応えるには、小麦生産者は今後20年間で毎年1.7% ずつ収量を増やす必要がある。BASFは農業成果とサステナビリティを最適化する製品やサービスの組み合わせを研究することで、収量増加に貢献。2020年代後半には、ハイブリッド小麦Ideltis(アイデルティス)の発売を予定している。
この小麦を生産するにあたり、「ザルビオ デジタル ファーミングソリューションズ」を活用した、ゾーンごとのほ場データ分析による最適な播種の推奨や、「Revysol(レヴィソル)殺菌剤」、「Axalion(アクサリオン)殺虫剤」、「Luximo(ラクシモ) 除草剤」などの持続可能な作物保護イノベーションによる適切な散布をサポート。Revysolで収量を増加させることで、必要な土地面積を4%減せる。また、Revysolのイノベーションにより、生産者は殺菌剤の散布量を減らし、CO2排出量を削減できる。
中南米の大豆イノベーションパイプラインで、精密散布と効率的な土地利用を実現
BASFは中南米の生産者のニーズに合わせ、種子、農薬、デジタルソリューションの分野でイノベーションを進めている。アジア型ダイズさび病などの大豆の病害の効果的な防除や、抵抗性の管理に有効なRevysolやゼミウムベースの新しい混合剤を開発中で、2020年代半ばには生産者に提供予定。また、約30%の収量損失をもたらす害虫のセンチュウに対する耐性を持つ新規形質も開発中で、大豆生産者をサポートする。
除草剤を正確に散布するため、BASFはBosch(ボッシュ)と共同で、xarvioの農学 インテリジェンスとBoschのハイテクカメラセンサー技術に、ソフトウェアを組み合わせて、スマートスプレーソリューションを開発。このテクノロジーは、雑草の識別と防除をリアルタイム、かつ自動で行う。スマートスプレーソリューションは、特別に開発された除草剤フォーミュレーションと最適な散布量により、必要な時に必要な場所にのみ、除草剤を散布し、雑草抵抗性のリスクを低減。また、スポット散布を行うことにより、ほ場の状況や発生している雑草の量に応じて、除草剤の使用量を最大70%削減。今後18か月以内にブラジル、北米、欧州で上市する予定。
生産者の気候変動レジリエンスを強化する、北米のキャノーラ生産のイノベーション
雑種強勢によるキャノーラ製品InVigor(インビガー)の改良を続ける一方、乾燥と高温化が進むカナダと米国の歴史的に生産性の低い農地での栽培を実現するため、黄色い種子を持つキャノーラのハイブリッド種を開発している。黄色い種子を持つキャノーラの ハイブリッド種は、キャノーラ生産での雑草防除において重要な除草剤耐性が特徴で、BASFはこのイノベーションを2020年代半ばにほ場に導入予定。形質と 遺伝子を組み合わせることで、生産者は干ばつや熱ストレスなどの厳しい条件下でも、高価値の油脂作物を生産できるようになる。
過酷な気象条件や天候の変化のせいで、病害虫の発生を予測し、防除することが困難になっている。BASFの新しい種子処理剤Vercoras(バーコラス)は、種子を広域スペクトルで保護し、根朽病などの種子・土壌伝染性の病害や、ノミハムシによる被害から種子を守る。
アジアの水稲生産で気候変動対応ソリューションを活用し、CO2排出量を削減
水稲の代替となる直播栽培用のコメ生産ハイブリッドシステムで使える、除草剤に耐性を持つ形質を2種類提供する予定。この形質を稲に組み込み、補完の除草剤をシステムとして組み合わせれば、品質低下につながる雑草を防除でき、直播栽培での排出量削減が実現する。アジア太平洋地域については、Clearfield(クリアフィールド)コメ生産システムが既に発売されており、Provisia(プロビジア)コメ生産システムは2020年代半ばに発売を予定。
BASFのデジタルソリューションと組み合わせると、コメ生産者は生産物1トンあたり 最大50%のCO2排出量を削減できる。日本のコメ生産者、河村雅春氏は「xarvio FIELD MANAGERは、複雑な農業環境、特に異常気象に対応し、農薬や肥料の散布を最適化するのに役立っている」と話している。
野菜種子と生物学的作物保護におけるイノベーションで、地元の屋内栽培をサポート
BASFは、2021年には、Nunhems(ナンナムズ)ブランドで販売している野菜種子事業で、野菜種子の品種 改良のための最新式温室を新たに開設した。高度な屋内栽培技術によって、水、エネルギーなどの物資を節約。また、その栽培技術と、条件に合わせて特別に 育種されたBASFの野菜種子品種と組み合わせる予定。BASFは温室を利用して、トマト、キュウリ、ピーマン、レタスなどの果菜類を、年間を通じて効率良く 生産・収穫するための基礎研究を進めている。
野菜種子のイノベーションのパートナーとしては、バイオ殺虫剤Velifer(ベリファー)やバイオ殺菌剤Serifel(サリフェル)などのBASFのバイオソリューションが、温室環境で性能を発揮するように最適化されている。今後数年間で、EU、中国、中南米など、世界各地で順次発売を予定。
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