点滴灌水で栽培した米を収穫 環境負荷・生産過程の課題解決に意欲 ネタフィム2023年1月16日
精密灌水システムを扱うイスラエル発のアグリテック企業ネタフィムは、点滴灌水を導入した乾田で行なわれた実証実験で栽培した米を収穫。水と肥料の無駄を削減し、メタンガスの発生を抑制するサステナブルなビシネスモデルへの転換としてその第一歩を踏み出した。
稲刈り前の様子。水田区と変わらぬ豊かな実りに恵まれた
同社は、秋田県五城目町と長野県東御市の2拠点で、2022年5月に点滴灌水を導入した乾田で米栽培の実証実験を始め、同10月に収穫を終えた。限られた資源の最大効率化を目指す同社は、点滴灌水システムでの灌漑・施肥により、水と肥料の無駄を削減。この実験は、水田の米栽培における課題である「二酸化炭素の28倍の温室効果があるメタンガスの発生」を限りなくゼロに近づけ、サステナブルな米の生産へ転換することをめざして行なわれ、協力生産者とともに水田区同様の順調な生育を達成した。
同実証実験は、秋田(9a)・長野(4.9a)の2地点のいずれも水田の広がる地区で実施。対象区域では、田植えが終わるとすぐに水を落とし、生育期間中は点滴灌水で栽培した結果、周囲の水田と同様に出穂・開花・結実は順調に推移した。
収穫量は長野で1割減となったが、同社アグロノミストの田川不二夫氏は「灌水施肥の調整等でまだ十分改善の余地があると考えている」とコメント。一方、食味成分分析においては、食味劣化の原因タンパク質やアミロース含量が少なくなり(水田区に比べてタンパク質が0.2~1.2%減、アミロースが1%減)、点滴灌水によって品質が劣らなかった。
点滴灌水システム導入後、1か月が経過。乾いた田に、点滴チューブから灌水され、成長している
また、今回の実験協力農家で白倉ファーム代表取締役の白倉卓馬氏は収穫後、メリットとして(1)大量の水を使わずに栽培できたこと、(2)適度な水分をほ場に保持できたこと、(3)水管理における労働力を削減できたことの3点を挙げ、「点滴灌水で栽培したことで生産過程が変化した」と述べた。
同実証実験は、日本で古くから伝わる水田文化からの転換として、水に恵まれない土地の米の生産者へ、点滴灌水という選択肢を提供するために行なわれ、同社はこれからの環境負荷・生産過程の課題解決の礎が築かれたとしている。
重要な記事
最新の記事
-
シンとんぼ(142)-改正食料・農業・農村基本法(28)-2025年5月17日
-
みどり戦略対策に向けたIPM防除の実践(59)【防除学習帖】第298回2025年5月17日
-
農薬の正しい使い方(32)【今さら聞けない営農情報】第298回2025年5月17日
-
ローマのストリートフード・フェス【イタリア通信】2025年5月17日
-
【注意報】オオタバコガ府内全域で多発のおそれ 大阪府2025年5月16日
-
【令和6年度JA共済大賞 3JAの取り組み】組合員・地域住民の「日常に安心」を JA兵庫六甲2025年5月16日
-
【令和6年度JA共済大賞 3JAの取り組み】アグリスウェイの浸透と定着求め JAあいち知多2025年5月16日
-
【令和6年度JA共済大賞 3JAの取り組み】対話で最適な安心提案 JAふくしま未来2025年5月16日
-
農業予算の増額 日米協議「毅然と対応を」 農相に要請 JAグループトップ2025年5月16日
-
備蓄米 全農8万2300t出荷済 前週比1万9000t増 1日4000t配送も2025年5月16日
-
次の世代に繋げられる農業界を創造する JA全青協新執行部が会見2025年5月16日
-
有機酒類や有機畜産物が輸出可能に EUとの有機同等性の範囲が拡大 農水省2025年5月16日
-
(435)くれぐれもご注意を【三石誠司・グローバルとローカル:世界は今】2025年5月16日
-
「大阪産(もん)マルシェ Link to EXPO 2025」で環境にやさしい体験 大阪府、JA全農大阪2025年5月16日
-
データを端末に残しながら無意味化 全農が「ZENMU Virtual Drive」導入 ゼンムテック2025年5月16日
-
雹被害の梅農家を応援「和歌山の青梅 食べて応援企画」実施 JAタウン2025年5月16日
-
6月7、8日に「食育推進全国大会㏌TOKUSHIMA」開催 徳島県2025年5月16日
-
「カーボンニュートラル・ふくしまいわき森守プロジェクト」で連携協定締結 農林中金2025年5月16日
-
ホームページリニューアル クロップライフジャパン2025年5月16日
-
【浅野純次・読書の楽しみ】第109回2025年5月16日