BNI研究の進展に貢献「PANOMICSアプローチ」米植物科学誌に掲載 国際農研2023年3月15日
国際農研とオーストリアにあるウィーン大学の研究グループによる、生物的硝化抑制(BNI)における植物と土壌微生物の相互作用を解説した論文が1月、Cell Press発行の米国際植物科学総説誌『Trends in Plant Science』に掲載された。新たな相互作用の探索手法として、複数のオミックス解析を組み合わせたPANOMICSアプローチの活用を提唱しており、植物の根と土壌微生物の相互作用の解明で、BNI研究の進展が期待される。
PANOMICSアプローチのイメージ
総説では、植物自身が根から物質を分泌し、硝化を抑制するBNI物質の新たな探索手法として「PANOMICSアプローチ」の活用を提唱している。PANOMICSアプローチは、メタボロミクス、プロテオミクスなどにより、ゲノム情報を基礎として、生体を構成している様々な分子を網羅的に解析し、得られたデータを、数理モデルを用いて俯瞰的に活用する手法。
根の周辺、数ミリ以内の根圏には、土壌1グラムあたり100億の土壌微生物が存在するとされ、様々な機能を有していると考えられる。植物と土壌微生物には相互作用があり、これを活用することが期待されているが、植物の根は地下に存在することから、地上部に比べて観察や測定が困難とされてきた。
近年、オミックス解析の技術革新、計算機科学の進展により、様々な機能の鍵因子の抽出や重要な経路の特定など、生物間の相互作用をより深く理解し、制御することが可能になっている。オミックス解析を用いたヒトと微生物との相互作用については研究例が多く、複雑な相互作用のネットワークが形成されていることが明らかになりつつある。一方で、植物と土壌微生物の相互作用、特に、根圏における相互作用については研究例が少なく、方法論も未確立な状況にある。
同総説でBNIが注目されたのは、BNIが根圏における植物と土壌微生物の相互作用を活用していることを説明。これは、植物の根から分泌されるBNI物質によって、土壌硝化菌の活動が抑制され、土壌中のアンモニウムの硝化(アンモニア態窒素から硝酸態窒素へと酸化する経路)を遅らせる現象が科学的に解明されており、結果として、施肥量が少なくても作物の生産性を高めることができる技術(BNI技術)として、今後の実用化が期待されているため。
BNI技術による相互作用の鍵となるBNI物質の探索手法として、複数のオミックス解析を組み合わせたPANOMICSアプローチを活用することは、BNI研究の進展に貢献するとともに、植物の根と土壌微生物の相互作用の解明に繋がることが期待される。
重要な記事
最新の記事
-
【特殊報】ブロッコリーの黒すす症状 県内で初めて確認 愛知県2025年7月3日
-
【注意報】斑点米カメムシ類 県下全域で多発のおそれ 富山県2025年7月3日
-
【注意報】花き類、野菜類、ダイズにオオタバコガ 県内全域で多発のおそれ 愛知県2025年7月3日
-
【注意報】ネギ、その他野菜・花き類にシロイチモジヨトウ 県下全域で多発のおそれ 富山県2025年7月3日
-
【注意報】りんご、なしに果樹カメムシ類 県内全域で多発のおそれ 宮城県2025年7月3日
-
【注意報】ねぎにシロイチモジヨトウ 県内全域で多発のおそれ 宮城県2025年7月3日
-
【注意報】セイヨウナシ褐色斑点病 県内全域で多発のおそれ 新潟県2025年7月3日
-
【注意報】いね 斑点米カメムシ類 県下全域で多発のおそれ 山形県2025年7月3日
-
米生産に危機感 高温耐性品種など急務 日本作物学会が緊急声2025年7月3日
-
【人事異動】農水省(7月4日付)2025年7月3日
-
花産業の苦境の一因は生け花人口の減少【花づくりの現場から 宇田明】第63回2025年7月3日
-
飼料用米 多収日本一コンテストの募集開始2025年7月3日
-
米の民間在庫量 148万t 備蓄米放出で前年比プラスに 農水省2025年7月3日
-
【スマート農業の風】(16)温暖化対応判断の一助にも2025年7月3日
-
令和7年度「家畜衛生ポスターデザインコンテスト」募集開始 農水省2025年7月3日
-
農業遺産の魅力発信「高校生とつながる!つなげる!ジーニアス農業遺産ふーどコンテスト」開催 農水省2025年7月3日
-
トロロイモ、ヤマノイモ・ナガイモ【酒井惇一・昔の農村・今の世の中】第347回2025年7月3日
-
【JA人事】JA町田市(東京都)吉川英明組合長を再任(6月26日)2025年7月3日
-
【JA人事】JAふくおか嘉穂(福岡県)笹尾宏俊組合長を再任(6月26日)2025年7月3日
-
国産農畜産物で料理作り「全農親子料理教室」横浜で開催 JA全農2025年7月3日