ワサビを染色体レベルでゲノム解読に成功 岐阜大学2023年7月19日
岐阜大学応用生物科学部の山根京子准教授と同学部四年生の山本祥平氏(研究当時)、東京工業大学生命理工学院の伊藤武彦教授および田中裕之研究員と同学部四年生堀立樹氏(研究当時)、情報・システム研究機構国立遺伝学研究所の豊田敦特任教授、東京都立大学の矢野健太郎教授の研究グループは、世界に先駆けてワサビのハプロタイプレベルでの高精度な全染色体参照ゲノム解読に成功した。
図1:ワサビ品種「真妻」の根茎
ワサビは日本原産の香辛野菜で、日本食文化に欠かせない重要な食材。近年の和食ブームの影響もあり世界的な需要も増加するなか、抗酸化作用や癌抑制作用など、機能性食品としても注目されている。
同研究グループは、ワサビの全ゲノムの高精度な解読に成功。植物材料は、全国わさび品評会において常に上位入賞し、現在最も市場価値が高い品種「真妻」を用いた(図1)。同研究では、次世代シーケンサー(PacBioおよびIllumina,)とHi-Cとよばれる染色体立体配座捕捉法を用いて染色体スケールのアセンブリを実施。その結果、ワサビは7本の染色体が4組からなる異質四倍体生物であることを明らかにした。また、7本x4組=合計28本の染色体から構成される合計1,512.1 Mbの配列データを明らかにした。
図2:ワサビゲノムの特徴。サブゲノム内染色体および間の遺伝子の並びの保存性
どのくらい長い配列をつなげられたかを示す指標であるN50の長さは55.67 Mb。さらに、リードマッピングと系統解析により、28本の染色体を二組のサブゲノム、更にはそれぞれを二組のハプロタイプの割り当てに成功した。三種類の方法(Benchmarking Universal Single-Copy Orthologs、Merqury、Inspector)で評価した結果、得られたゲノム配列は高品質で完全性の高いものであることが示された。
今回明らかとなったゲノム配列は、遺伝や進化などの基礎研究、品種改良など農業分野、さらには在来や野生ワサビの保全のための情報整備など、多くの分野での活用が期待される。
同本研究成果は7月11日、Nature姉妹誌『Scientific Data』のオンライン版で発表された。
重要な記事
最新の記事
-
シンとんぼ(146)-改正食料・農業・農村基本法(32)-2025年6月14日
-
みどり戦略対策に向けたIPM防除の実践(63)【防除学習帖】第302回2025年6月14日
-
農薬の正しい使い方(36)【今さら聞けない営農情報】第302回2025年6月14日
-
群馬県の嬬恋村との国際交流(姉妹)都市ポンペイ市【イタリア通信】2025年6月14日
-
【特殊報】水稲に特定外来生物のナガエツルノゲイトウ 尾張地域のほ場で確認 愛知県2025年6月13日
-
【注意報】りんごに果樹カメムシ類 県内全域で多発のおそれ 岩手県2025年6月13日
-
SBS輸入 3万t 6月27日に前倒し入札2025年6月13日
-
米の転売 備蓄米以外もすべて規制 小泉農相 23日から2025年6月13日
-
46都道府県で販売 随意契約の備蓄米2025年6月13日
-
価格釣り上げや売り惜しみ、一切ない 木徳神糧が声明 小泉農相「利益500%」発言や米流通めぐる議論受け2025年6月13日
-
担い手への農地集積 61.5% 1.1ポイント増2025年6月13日
-
【鈴木宣弘:食料・農業問題 本質と裏側】生産者米価2万円との差額補填制度を急ぐべき2025年6月13日
-
井関農機 国内草刈り機市場を本格拡大、電動化も推進 農機は「密播」仕様追加の乗用田植え機「RPQ5」投入2025年6月13日
-
【JA人事】JA高岡(富山県)松田博成組合長を新任(5月24日)2025年6月13日
-
【JA人事】JAけねべつ(北海道)北村篤組合長を再任(6月1日)2025年6月13日
-
(439)国家と個人の『食』の決定権【三石誠司・グローバルとローカル:世界は今】2025年6月13日
-
「麦とろの日」でプレゼント 東京のららぽーと豊洲でイベントも実施 JA全農あおもり2025年6月13日
-
大学でサツイマイモ 創生大学と畑プロジェクト始動 JA全農福島2025年6月13日
-
JA農機の成約でプレゼントキャペーン JA全農長野2025年6月13日
-
第1回JA生活指導員研修会を開催 JA熊本中央会2025年6月13日