【注意報】かんきつ、落葉果樹に果樹カメムシ類 県内全域で多発のおそれ 静岡県2023年10月2日
静岡県病害虫防除所は、かんきつ、落葉果樹(かき、キウイフルーツ等)に果樹カメムシ類(チャバネアオカメムシ、ツヤアオカメムシ、クサギカメムシ)が県内全域で多発のおそれがあるとして、9月29日に令和5年度病害虫発生予察注意報第1号を発令した。
果樹カメムシ類とその被害果(写真提供:静岡県県病害虫防除所)
静岡県病害虫防除所によると、県内4か所の予察灯における9月上中旬の合計誘殺数の平均は、チャバネアオカメムシが770頭か所(平年360頭か所、平年比2.1倍)(図1)、ツヤアオカメムシが549頭か所(平年258頭か所、平年比2.1倍)(図2)、クサギカメムシが39.3頭か所(平年24.6頭か所、平年比1.6倍)(データ省略)で、いずれも平年より多かった。特に、西部地域の予察灯(磐田市2か所、浜松市1か所)において果樹カメムシ類の誘殺が多かった(図1、図2)。
県内6か所のフェロモントラップにおける9月上中旬の合計誘殺数の平均は、チャバネアオカメムシが79.5頭/か所(平年61.7頭、平年比1.3倍)と平年よりやや多く、9月に入り県内全域で誘殺数が増加している(図3)。
果樹カメムシ類の好適な餌であるヒノキ球果(種子)において、球果1個あたりの吸汁痕数が25を超えると、同虫はヒノキから離脱し、餌を求めて果樹園に飛来するとされている。9月中旬のヒノキにおける球果1個あたりの吸汁痕数は、平均13.4(平年15.0)と平年並だったが、吸汁痕数が既に25を超える場所もあるため、同虫がヒノキから離脱している可能性もある。
今年は、県内全域で同虫の数に対して餌となるヒノキ・スギ球果の着果量が少なかったことから、本虫が餌を求めて果樹園へ飛来し、果実を加害する恐れがある。
果樹関係の病害虫防除員からの報告によると、15人中7人が果樹カメムシ類の発生が「多い」または「やや多い」と回答。これら多発の報告は、特に中部・西部地域で多く、一部の果樹園(特に中山間地)で本虫の飛来を確認したとの情報も複数寄せられている。
同防除所では次のとおり防除対策を呼びかけている。
〇果樹カメムシ類の飛来に注意し、ほ場で発生を確認したら直ちに薬剤防除を行う。成虫の移動範囲は広いため、地域での一斉防除が効果的。ヒノキ・スギ林の隣接地域(特に中山間地)や台風通過後の園地では、急激に発生が増加する場合があるため注意する。
〇薬剤防除については、「静岡県農薬安全使用指針・農作物病害虫防除基準」を参照。なお、薬剤の選択に際しては収穫前日数に注意する。
〇今後の発生状況については、病害虫防除所ホームページで提供している「害虫誘殺グラフ(果樹カメムシ類)」を参考にする。
〇同虫の発生は例年10月末で終息するが、最高気温が20~20℃を超える場合は11月でも発生することがあるため注意する。
〇不明な点については病害虫防除所、農林技術研究所果樹研究センター、農林事務所等の指導機関に問い合わせる。
重要な記事
最新の記事
-
シンとんぼ(150)-改正食料・農業・農村基本法(36)-2025年7月12日
-
みどり戦略対策に向けたIPM防除の実践(67)【防除学習帖】第306回2025年7月12日
-
農薬の正しい使い方(40)【今さら聞けない営農情報】第306回2025年7月12日
-
【注意報】水稲に斑点米カメムシ類 県下全域で多発のおそれ 茨城県2025年7月11日
-
【注意報】斑点米カメムシ類 県内全域で多発のおそれ 新潟県2025年7月11日
-
【注意報】果樹に大型カメムシ類 果実被害多発のおそれ 北海道2025年7月11日
-
【注意報】果樹カメムシ類 県内全域で多発のおそれ 福島県2025年7月11日
-
【注意報】おうとう褐色せん孔病 県下全域で多発のおそれ 山形県2025年7月11日
-
【第46回農協人文化賞】出会いの大切さ確信 共済事業部門・全国共済農協連静岡県本部会長 鈴木政成氏2025年7月11日
-
【第46回農協人文化賞】農協運動 LAが原点 共済事業部門・千葉県・山武郡市農協常務 鈴木憲氏2025年7月11日
-
政府備蓄米 全農の出荷済数量 80%2025年7月11日
-
【'25新組合長に聞く】JA加賀(石川) 道田肇氏(6/21就任) ふるさとの食と農を守る2025年7月11日
-
【'25新組合長に聞く】JA新みやぎ(宮城) 小野寺克己氏(6/27就任) 米価急落防ぐのは国の責任2025年7月11日
-
(443)矛盾撞着:ローカル食材のグローバル・ブランディング【三石誠司・グローバルとローカル:世界は今】2025年7月11日
-
【2025国際協同組合年】協同組合の父 賀川豊彦とSDGs 連続シンポ第4回第二部2025年7月11日
-
米で5年間の事前契約を導入したJA常総ひかり 令和7年産米の10%強、集荷も前年比10%増に JA全農が視察会2025年7月11日
-
旬の味求め メロン直売所大盛況 JA鶴岡2025年7月11日
-
腐植酸苦土肥料「アヅミン」、JAタウンで家庭菜園向け小袋サイズを販売開始 デンカ2025年7月11日
-
農業・漁業の人手不足解消へ 夏休み「一次産業 おてつたび特集」開始2025年7月11日
-
政府備蓄米 全国のホームセンター「ムサシ」「ビバホーム」で12日から販売開始2025年7月11日