温暖化に対応 パインアップル品質予測モデルを開発 農研機構2024年4月24日
農研機構と沖縄県農業研究センターは、パインアップル果実の酸度・糖度や収穫期を気温から精度よく予測するモデルを開発した。同成果は各産地において、その年に収穫する果実の品質や収穫期を予測する場合、また、新規にパインアップルを導入する地域において、高品質果実を収穫できる期間・品種を推定する場合の予測式として利用できる。
左から「N6710」「ボゴール」「ソフトタッチ」「沖農P17」
地球温暖化の影響で、日本ではこれまで生産が限定的だった亜熱帯・熱帯果樹の生産拡大が見込まれている。一方、温暖化はパインアップルなど代表的な熱帯果樹の生育に大きな影響を及ぼし、長年にわたって栽培を行ってきた産地でも、生産者が過去の経験に基づいて果実の品質や収穫期を予測が困難に。この結果、出荷計画と実際の出荷との間に齟齬が生じ、市場への供給時期や果実品質が年次によって変動することが生産者や実需者の間で大きな問題となっている。
パインアップルは、政令指定13品目に指定されている重要な果樹のひとつ。生食用だけでなく、缶詰やジュースなどの加工用の需要もあり、用途により求められる品質は異なる。また、年間を通じて収穫できるため、時期によって品質が大きく変わるため、生産者が生産・出荷計画を立てたり、実需者が果実の調達計画を立てる際、収穫果の品質を予測することが重要になる。さらに、新規にパインアップルを栽培する場合や新品種を導入する場合には、その土地の気候条件で高品質な果実が生産できるか、あらかじめ確認する必要がある。
そこで、農研機構と沖縄県農業研究センターは、これまで沖縄本島、石垣島、宮古島で蓄積してきた膨大な品質データを解析し、パインアップルの酸度・糖度を推定し適切な収穫期を予測するモデル(予測式)を開発した。このモデルは、(1)各産地における収穫のタイミングや果実の酸度・糖度を事前に把握し、(2)新規開園や新品種導入の際、高品質果実を収穫できる期間を確認することができる。
同モデルは、国内の主要な品種である「N6710」、「ボゴール」、「ソフトタッチ」および「沖農P17」(写真)に対応し、地域によらず適用が可能。
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