労働法制改悪反対の現場集会を2018年2月26日
国会では、相変わらずノラリクラリとした議論が続いている。政府は安倍晋三首相の一強のもとで、平然と論点外しを行っている。それに対する野党は、批判の決め手を欠いている。
いまの国会の最重要課題は労働法制の問題だが、ここでも緊張感を欠いた議論が続いている。野党はシャカリキになっているが、政府与党はノラリクラリとした答弁で、時間かせぎをしている。
何故こうなってしまったのか。野党が与党に国会の圧倒的な多数を許したからである。
だからといって野党は、つぎの選挙まで、この状態を放置しておくわけにはいかないだろう。
ではどうするか。野党は与党に対して、このままでは、つぎの選挙で政権を失う、という危機感を持たせねばならない。
そのためには、主権者である国民の間に労働法制の改悪に反対する運動を巻き起こし、そのうえで、政府与党を国会で追いつめることである。
それには、農協の反TPP運動を参考にしたらどうか。
反TPP運動のばあい、農協の中央機関である全中が問題を提起し、農業の現場である地方の農協が、それに応えて運動を始めた。現場でTPPの問題点を明らかにし、現場で反対の論理と反対運動の組織を作った。そうして、各県ごとに力を結集し、国会議員を招いて集会を開き、反対の意志を表明した。
各県での集会には、生協や労働界や地方財界までも共催者に名をつらね、オール北海道とか、オール○○とかいわれ、県ぐるみの、現場の反対組織を作り、反対運動を広げた。
それを全中が全国規模でまとめ上げ、国会に対する強力な要請運動を展開した。だから、未だにTPPは発効していない。つまり、農協が国会での少数派である野党を巻き込んで、TPPを成立させなかったのである。
この経験から、労働法制改悪に反対する運動は、何を学ぶか。
◇
いまの国会で、野党は、新しい労働法制案が立法の根拠にしている資料は事実に反しているとし、そこに力を集中して政府を攻め立てている。このことを批判するつもりは全くない。
しかし、ここには現場の声が聞こえてこない。現場の声とは、現場の労働者の声であり、労働組合の声である。労働法制によって、直接に不利益をこうむる労働者の声である。
その声が聞こえないから、雲の上の議論のように聞こえてしまう。ウソはいけない、などという毒にも薬にもならない、お説教のように聞こえてしまう。
現場の労働者の苦悩に根ざしていないから、政府与党は緊張感を感じない。だから、政府与党は国会での絶対多数の座にあぐらをかいて、漫然とした議論を続けている。そして、時間が経てば法案を採決し、成立させてしまう。
◇
野党が、本気になってこの法制案を廃案にしたいのなら、現場の労働者や現場の労組に対して問題を提起し、現場での反対運動を組織しなければならない。
そのために、まず初めにすることは、全国各地で野党が率先して、労組に対し、大規模で強力な、そして組織的な反対集会の開催を促し、そこで反対の意志を表明してもらうことだろう。
そうした各地の反対の声を国会に結集し、政府与党を追い詰めねばならない。非組織的な市民運動だけに頼っていたのでは、強力な反対運動にはならないだろう。
そのように、労組を中心にした組織的運動にすることができれば、政府与党も危機感をもつだろう。真剣になって、国会にのぞむだろう。その過程で、野党も与党も鍛えられ、日本の政治が活性化する。そして、与党は安倍一強体制から脱却できる。
また、反対運動のなかで、どの党が労働者の真の味方か、が明らかになる。それは、つぎの選挙に反映される。
野党はいつまでたっても野党でいいのか。四分五裂のままでいいのか。そして、どの党が野党協力による政権奪取を妨害しているのか。
農業者をはじめ多くの国民は、そうした動きを、厳しく、そして温かく見守っている。
(2018.02.26)
(前回 野菜需給の硬直性)
(前々回 公明党の危険な火遊び)
(「正義派の農政論」に対するご意見・ご感想をお寄せください。コチラのお問い合わせフォームより、お願いいたします。)
重要な記事
最新の記事
-
新品種から商品開発まで 米の新規需要広げる挑戦 農研機構とグリコ栄養食品2025年5月1日
-
春夏野菜の病害虫防除 気候変動見逃さず(1)耕種的防除を併用【サステナ防除のすすめ2025】2025年5月1日
-
春夏野菜の病害虫防除 気候変動見逃さず(2)農薬の残効顧慮も【サステナ防除のすすめ2025】2025年5月1日
-
イモ掘り、イモ拾いモ【酒井惇一・昔の農村・今の世の中】第338回2025年5月1日
-
地元木材で「香りの授業」、広島県府中明郷学園で開催 セントマティック2025年5月1日
-
大分ハウスみかんの出荷が始まる 大分県柑橘販売強化対策協議会2025年5月1日
-
Webマガジン『街角のクリエイティブ』で尾道特集 尾道と、おのみち鮮魚店「尾道産 天然真鯛の炊き込みご飯」の魅力を発信 街クリ2025年5月1日
-
5月1日「新茶の日」に狭山茶の新芽を食べる「新茶ミルクカルボナーラ」 温泉道場2025年5月1日
-
「越後姫」食育出前授業を開催 JA全農にいがた2025年5月1日
-
日本の米育ち 平田牧場 三元豚の「まんまるポークナゲット」新登場 生活クラブ2025年5月1日
-
千葉県袖ケ浦市 令和7年度「田んぼの学校」と「農作業体験」実施2025年5月1日
-
次世代アグリ・フードテックを牽引 岩手・一関高専から初代「スーパーアグリクリエーター」誕生2025年5月1日
-
プロ農家が教える3日間 田植え体験希望者を募集福井県福井市2025年5月1日
-
フィリップ モリス ジャパンとRCF「あおもり三八農業未来プロジェクト」発足 農業振興を支援2025年5月1日
-
ビオラ「ピエナ」シリーズに2種の新色追加 サカタのタネ2025年5月1日
-
北限の茶処・新潟県村上市「新茶のお茶摘み体験」参加者募集2025年5月1日
-
「健康経営優良法人2025」初認定 全農ビジネスサポート2025年5月1日
-
「スポットワーク」活用 農業の担い手確保事業を開始 富山県2025年5月1日
-
「Hiroshima FOOD BATON」食のイノベーションに挑戦する事業者を募集 広島県2025年5月1日
-
「良き仲間」恵まれ感謝 元島根県農協中央会会長 萬代宣雄氏(1)【プレミアムトーク・人生一路】2025年4月30日