【コラム・キサクな老話】長寿健康の良薬に2016年8月3日
◆朝の挨拶と笑顔
わが集落は「出羽の富士」といわれる鳥海山の北側に、冬は狂乱怒濤に洗われる日本海に面した昔は漁農村で、半農、半漁の生計での約100戸の家が慎ましく、清貧な暮らしをしている、と言いたいのだが、それだけに酒に溺れた乱れのトラブルが頻発し、先達が禁酒会を組織して、苦労して実践成功し、大きな石の記念碑を建立しているところである。
しかし戦後は、僅かしかない水田を潰して宅地造成が進み、今は300戸余の住宅が建つ大集落になってしまった。旧住民は、いずれの家にも家名(屋号)がついており、多くが300~400年以上の過去帳を持っている。
さて現況を見ると、戦後間もない筆者が農事組合長の時は62戸の耕作者だったが、今は10名余に激減し、漁師関係は10名近い船主と船方(一般に5、6名)といわれる乗組員がいたし、そのほかの小船で沿岸磯漁をする人もいた。しかし今、船主は不在、機械船は零となり、辛うじて残る小船の船外機船での漁業者も数名となってしまった。
だから海のすぐ傍らにいながら、地元の魚を食することが困難になってしまった。この姿がやがて農の世界にも感染しないと断言できない不安を隠しきれない憂鬱さに繋がってくる。そんな中で嬉しいことがあったので紹介する。
いままでわが集落で長寿者はせいぜい女性の90歳代であったのに、この度、男性で白寿どころか現役パリパリで100歳をクリアした男性がこられた。彼は数年前、最愛の連れ合いを失ってしまった寂しさは隠しきれないが、元気そのものである。
そこで有志でお祝いをしようと準備したが、そのとき彼の凄い体験を聞くことができた。終戦時は満州で軍務に励んでいたが、ソ連軍に抑留されシベリアに行ったのである。そうした中で彼の態度は、朝起床するとソ連兵の誰彼なく大きな声で「お早うございます」と、挨拶を欠かさず行った。そして何を言われ、辛い仕事を命令されても嫌な顔を見せずニコニコと笑顔で接したのであった。
その故か、注目され皆にかわいがられ、食べ物はもちろん、労働も楽なものが与えられて、世に言う地獄の姿は彼にはなかったとのこと。「だから人間気の持ちようで人生が変わるんだ」と断言する。
これは経費がかかるわけでもないし、特別な学修や研究の必要もない簡単にできることだと。ところが祝賀会直前に緊張して発熱し、会はお流れになり、入院10日で退院。その翌日は海の漁に出て大きな水蛸を捕らえて帰宅した。今も海や畑に出る毎日である。その長寿健康が挨拶と健康にあると思うがどうだろうか。
芸だけではなく、挨拶と笑顔も身をたすくである。
アベノミクスとか、三本の矢とか、経済とかに目も心も奪われる今日、最大の清涼剤になると思うナー。
重要な記事
最新の記事
-
【注意報】ダイズ、野菜類、花き類にオオタバコガ 県内全域で多発のおそれ 埼玉県2025年9月3日
-
【農協時論】小さな区画整理事業 生産緑地保全と相続対策の要に JA東京スマイル 眞利子伊知郎組合長2025年9月3日
-
【注意報】水稲に斑点米カメムシ類 県下全域で多発のおそれ 愛媛県2025年9月3日
-
【注意報】ねぎ、キャベツなどにシロイチモジヨトウ 府内全域で多発のおそれ 大阪府2025年9月3日
-
【注意報】いちごに炭疽病 県下全域で多発のおそれ 愛媛県2025年9月3日
-
【サステナ防除のすすめ2025】水稲の仕上げ防除 カメムシ対策は必須 暑さで早めに対応を2025年9月3日
-
ミサイルは兵糧攻めに有効か【小松泰信・地方の眼力】2025年9月3日
-
「コウノトリ育むお米」4万4000円 JAたじまが概算金 「消費者も付加価値を理解」2025年9月3日
-
【人事異動】農水省(9月2日付)2025年9月3日
-
8月大雨被害に営農支援策 農機修繕、再取得など補助2025年9月3日
-
緑茶輸出 前年比9割増 7月の農産物輸出実績2025年9月3日
-
JA貯金残高 107兆337億円 7月末 農林中金2025年9月3日
-
よりよい営農活動へ 本格化するグリーンメニューの実践 全農【環境調和型農業普及研究会】2025年9月3日
-
フルーツプレゼント第3弾は新潟県産日本ナシ 応募は9月23日まで にいがた園芸農産物宣伝会2025年9月3日
-
9月9日を「キュウリの日」に 行政と連携して"キュウリ教室"初開催 JA晴れの国岡山と久米南町2025年9月3日
-
大学協同組合講座設置促進シンポジウム 9月16日にオンラインで開催 JCA2025年9月3日
-
脱炭素と環境再生へ 農林中金のコンソーシアムが本格始動2025年9月3日
-
『農地六法 令和7年版』発売 農地法関連政省令・通知を完全収録2025年9月3日
-
「アウト オブ キッザニア in えひめ」で「だしの伝道師」担当 マルトモ2025年9月3日
-
大阪・関西万博で「EARTH MART DAY」開催へ 食と農の未来を考えるイベント クボタ2025年9月3日