(004)世界の人口:アフリカ2016年10月28日
エチオピア、ケニヤ、モザンビーク、ウガンダ、タンザニア、コンゴ、エジプト、スーダン...、これらの国々をアフリカの地図上で正確に指摘できるだろうか?
これらの国々は、国連の将来人口推計において、2100年時点でいずれも人口が1億人を超えるとされている。
2015年時点で最も人口が少ない国はモザンビークの2798万人だが、2100年には1億2765万人と、ほぼ現在の日本と同じ人口に到達する見込みである。2015年時点で最大の国はエチオピアの9939万人だが、2100年には2億4264万人となる。ただし、2100年時点のアフリカで最大の人口となるのは、コンゴであり、2015年の7727万人から2100年には3億8873万人となる。
* * *
話は変わるが、数学に「べき演算(Exponentiation)」と呼ばれる計算方法がある。一般的には「べき乗計算」と呼ばれることが多い。「べき」という漢字は「冪」と書くようだが、現在では余程のマニアか専門家でないと使用しないであろう。簡単に言えば、ある数の「○乗」の計算である。
何故、このような話を持ち出したかと言うと、将来の人口推計などを読み解く際に、この方法が極めて有用だからである。日常生活の中で、あまり気に留めない些細なことも、長期にわたり継続すると非常に大きな影響が生じるという生活習慣病のような効果が「べき乗計算」により確認できる。忘れがちな当たり前の事実であるとも言えよう。
先の例で言えば、2015年から2100年までは85年間という時間がある。コンゴの例のように、7727万人が85年間で3億8873万人になるとしたら、年平均の人口増加率はどの位になるだろうか。
こうした計算をする時に「べき乗計算」(正確に言えば、べき乗計算の逆)が役に立つ。細かい計算方法は省略するが、結果だけを示しておこう。コンゴの場合、1.92%である。毎年、前年対比1.92%で85年間人口が伸びた場合、先の数字になる。わずかな伸びでも時間がたてばとてつもない大きさになるという訳だ。これは金利の複利計算と同じと考えてみるとわかりやすい。
さらに、その結果を国土面積で割れば、推定人口密度が計算できる。コンゴの場合、国土面積は234万平方㎞のため、2015年の人口密度は33人だが、2100年には166人になるし、ウガンダの人口密度は、2015年の162人から2100年には842人になる。
2015年時点の日本の人口密度は328人であることを考えると、将来のウガンダの状況が何となく想像できるかもしれない。ただし、こうした数字はあくまでも国家全体の平均の数字であることも踏まえておく必要がある。例えば、現在の日本でも東京都内、とくに豊島区、中野区、荒川区などの人口密度は2万人を超えているし、東京都全体でも6000人を超えている。いくつかのWebを見たところ、マカオは約1万8000人、香港は約7000人となっているが、香港は感覚的には東京都内より遥かに多い気がする。
* * *
もうひとつ、興味深い例を示しておこう。長年にわたり中国が積極的にアフリカ諸国との関係を築き、多大な開発投資を行ってきたことはよく知られている。公式の統計数字ではないが、よく言われるものとして現在アフリカに住んでいる中国人は100万人を超えるであろうと推測されている。これに対して日本人はどうか?
2013年の報道記事によると、当時、海外で活動していた日本企業7万社強のうち5万社程度がアジアを中心に活動しており、アフリカは700社弱(1%未満)と伝えられている。正確な数字は不明だが、仮に1社5名として3500人、企業関係以外の人間を含めても5000人から多くても1万人程度ではないだろうか。
大規模なインフラを構築する公共工事から日常の小さな家電製品や食料まで、日本産の商品や日本人が築き上げてきた多くの評価は、幸い世界のマーケットで依然健在である。
* * *
今後、1億人市場が複数誕生するアフリカ諸国に対し、希少資源や原材料調達といった従来型の視点以外の面で、我々はどのような関係を構築していくべきかを問い直す時期に来ているのではないだろうか。
重要な記事
最新の記事
-
【畜酪政策価格最終調整】補給金上げ実質12円台か 19日に自民決着2025年12月18日 -
【11月中酪販売乳量】1年2カ月ぶり前年度割れ、頭数減で北海道"減速"2025年12月18日 -
【消費者の目・花ちゃん】ミツバチとともに2025年12月18日 -
一足早く2025年の花産業を振り返る【花づくりの現場から 宇田明】第75回2025年12月18日 -
笹の実、次年子・笹子【酒井惇一・昔の農村・今の世の中】第369回2025年12月18日 -
虹コンのレインボーファーム「農閑期は焼肉ぴゅあに行くっきゃない!」スタンプラリー実施 JA全農2025年12月18日 -
「淡路島産白菜」使用 カレーとシチューメニューをハウス食品と提案 JAグループ兵庫2025年12月18日 -
畜産の新たな社会的価値創出へ 研究開発プラットフォーム設立 農研機構2025年12月18日 -
佐賀の「いちごさん」表参道でスイーツコラボ「いちごさんどう2026」開催2025年12月18日 -
カインズ「第26回グリーン購入大賞」農林水産特別部門で大賞受賞2025年12月18日 -
軟白ねぎ目揃い会開く JA鶴岡2025年12月18日 -
信州りんご×音楽 クリスマス限定カフェイベント開催 銀座NAGANO2025年12月18日 -
IOC「オリーブオイル理化学type A認証」5年連続で取得 J-オイルミルズ2025年12月18日 -
【役員人事】クミアイ化学工業(1月23日付)2025年12月18日 -
油糧酵母ロドトルラ属 全ゲノム解析から実験室下での染色体変異の蓄積を発見 東京農大2025年12月18日 -
約1万軒の生産者から選ばれた「食べチョクアワード2025」発表2025年12月18日 -
兵庫県丹波市と農業連携協定 生産地と消費地の新たな連携創出へ 大阪府泉大津市2025年12月18日 -
乳酸菌飲料容器の再資源化へ 神戸市、関連14社と連携協定 雪印メグミルク2025年12月18日 -
特別支援学校と深める連携 熊谷の物流センターで新鮮野菜や工芸品を販売 パルライン2025年12月18日 -
東京の植物相を明らかに「東京いきもの台帳」植物の標本情報を公表2025年12月18日


































