(039)チキン(鶏)はどの位いるのか?2017年7月14日
世界に鶏はどの位いるのか?これは意外と難しい質問である。そもそも品種は別として、鶏にも様々な種類があるだけでなく、統計すら完備されていない国もある。
いわゆるペット(愛玩)用を別とした場合、鶏は卵を取るレイヤー(採卵鶏)と肉となるブロイラーに大別される。これらは愛玩動物ではなく、産業動物あるいは経済動物と呼ばれる。言い方を変えれば、所有者(畜主)の経済行為、つまりビジネスとして飼育が行われる動物であり、牛や豚なども同様である。より一般的には、家畜や家禽と呼ばれる。
産業動物には当然のことながら、「経済寿命」という考え方がある。飼育にかかるコストや最終的な販売価格等を考慮して、最も合理的かつ経済的と考えられる寿命のことであり、一般的なブロイラーでは7~8週間で出荷、レイヤーは150日齢位で卵を産み始め、最終的には550日前後まで産卵し、その後は比較的短期間で加工肉用として出荷される。もちろん、地域や品種により、これより多くの時間と手間をかけて育てている農家・農場も多い。細かい区別は別として、以下では全て鶏として話を進める。
※ ※ ※
国連食糧農業機関(FAO)の統計によると、2014年時点で、世界にはchickensが約214億羽いる。地域別の内訳を見ると、最も多いのがアジアで119億羽(全体の56%、以下同じ)、次いでアメリカ(米州全体)の54億羽(25%)、ヨーロッパの21億羽(10%)、アフリカの18億羽(8%)、そしてオセアニアの1億羽(1%)である。同じ統計の1961年には世界全体で39億羽ということを考えると、過去53年間の平均成長率は103.3%ということになる。
世界の鶏の半分以上がアジアにいるが、具体的にはどこにいるのか?2014年のアジアの合計は119億羽であるが、これを国別に見ると、中国(45億羽)、インドネシア(17億羽)、イラン(9.3億羽)、パキスタン(8.6億羽)、インド(7.3億羽)の上位5か国で約88億羽、アジア全体の74%、4分の3を占めている。因みに、日本は3.1億羽という数字であり、インドに次ぐ第6位である。
単一国家として考えた場合、中国の45億羽はもちろん第1位である。この数字には台湾(約0.9億羽)や香港は含まれていない。
※ ※ ※
なお、筆者自身がより注目すべき点として考えているのは、イスラム諸国における鶏の羽数の多さである。インドネシアを筆頭に、イラン、パキスタン、トルコ、マレーシア、サウジアラビア、イエメン、レバノン、ウズベキスタン、クウェート、イラク、カザフスタン、アゼルバイジャン、UAE、ブルネイ、アフガニスタン、カタール、これらイスラム諸国の合計は約46億羽と中国を十分に上回る。
かなり粗い表現だが、世界の鶏、約210億羽の半分強の119億羽がアジアにおり、そのうち約90億羽強が中国とイスラム諸国で概ね半々、残りがその他、というような見取り図になりそうである。
※ ※ ※
図1はFAOの1961年以降2014年までのデータをグラフ化したものでる。これを見ると、1980年代以降、アジアが急速に伸びていることがよくわかる。2014年の数字を1961年の数字で単純に割ると、世界全体で5.5倍、つまり半世紀で5.5倍に伸びている。地域別には、アフリカ6.6倍、アメリカ4.6倍、アジア10.9倍、ヨーロッパ1.6倍、オセアニア5.5倍である。この半世紀、アジアの人口は17億人から44億人へと約2.6倍に増えたが、鶏は10倍以上に増えたということになる。
本コラムの記事一覧は下記リンクよりご覧下さい。
重要な記事
最新の記事
-
米の価格 前週比▲48円 3週連続下落 農水省調査2025年6月17日
-
【サステナ防除のすすめ2025】水稲の本田防除(1)育苗箱処理剤が柱2025年6月17日
-
【サステナ防除のすすめ2025】水稲の本田防除(2)雑草管理小まめに2025年6月17日
-
米 収穫量調査 衛星データなど新技術活用へ2025年6月17日
-
価格高騰で3人に1人が米の消費減 パンやうどん、パスタ消費が増加 エクスクリエの調査から2025年6月17日
-
【JA人事】JA中野市(長野県) 望月隆組合長を再任2025年6月17日
-
備蓄米の格安放出で農家圧迫 米どころ秋田の大潟村議会 小泉農相に意見書送付2025年6月17日
-
深刻化するコメ加工食品業界の原料米確保情勢【熊野孝文・米マーケット情報】2025年6月17日
-
2025年産加工かぼちゃ出荷販売会議 香港輸出継続や規格外品の試験出荷で単収向上を JA全農みえ2025年6月17日
-
2024年産加工用契約栽培キャベツ出荷販売反省会を開催 旬別出荷計画の策定や「Z-GIS」の導入推進を確認 JA全農みえ2025年6月17日
-
和歌山「有田みかん大使」募集中 JAありだ共選協議会2025年6月17日
-
【浅野純次・読書の楽しみ】第110回2025年6月17日
-
転職希望者対象に「農業のお仕事説明会」 6月25日と7月15日に開催 北海道十勝総合振興局2025年6月17日
-
「第100回山形農業まつり農機ショー」8月28~30日に開催 山形県農機協会2025年6月17日
-
北海道産赤肉メロン使用「とろける食感 ぎゅっとメロン」17日から発売 ファミリーマート2025年6月17日
-
中標津町と繊維リサイクル推進に関する協定締結 コープさっぽろ2025年6月17日
-
神奈川県職員採用 農政技術(農業土木)経験者募集 7月25日まで2025年6月17日
-
【役員人事】ノウタス(6月17日付)2025年6月17日
-
「九州うまいもの大集合」17日から開催 セブン‐イレブン2025年6月17日
-
農薬出荷数量は1.5%増、農薬出荷金額は2.8%増 2025年農薬年度4月末出荷実績 クロップライフジャパン2025年6月17日