マスコミが伝えない北朝鮮問題2017年9月19日
マスコミが、連日のように北朝鮮問題を報じている。核実験とミサイル実験である。2つとも、日本にとって重大な問題である。ミサイルは、事前の通知もなく、日本の上空を通過させている。なぜ、こんなことになったのか。
マスコミが、この問題を大きく取り上げて、国民に知らせるのは当然である。しかし、国民が知りたいことを知らせていない。
たしかに、核実験をして、より強力な核兵器を作ることは容認できない。また、ミサイルの実験で、日本を脅かすことなどは、強く非難すべきである。
しかし、それらを非難するだけでは、問題は解決しない。まして、話し合いではなく、軍事力で阻止するなど、できはしない。全面的な核戦争になってしまうからである。だからと言って、放置しておくわけにはいかない。
こうした状況のもとで、マスコミがなすべきことは、なぜ、北朝鮮は核やミサイルの実験を行うのか、そして、なぜ、それを阻止できないのか、それを、より深く掘り下げて報じることである。そうして、日本政府は阻止するための適切な外交交渉をしているか。
上の図は、北朝鮮と国交がある国を地図で示したものである。マスコミは、北朝鮮を世界の孤児のようにいうが、そうではない。北朝鮮との間に国交がある国は162か国にのぼる。圧倒的な多数である。
◇
さて、核とミサイルの問題である。問題を解決するための、北朝鮮の要求は、米国との無条件の話し合いである。それに対して米国の要求は、北朝鮮の核とミサイルの放棄を条件にした話し合いである。日本と韓国は、米国に同調している。
日米韓は、核の放棄を要求しているが、それをなぜ北朝鮮が飲まないのか。米国やロシアなどの5戦勝国をはじめ、イスラエルなど9か国が核を持っていて、その破壊力を強化している。せめて破壊力の凍結ができないのか。こうした状況のなかで、なぜ米国は北朝鮮だけに放棄を要求するのか。
一方、北朝鮮は、核を持っていなければ、イラクやリビアのように米国によって滅ぼされる、だから持つのだ、といっている。
◇
以前に、米国は北朝鮮を、イラクやイランと並べて「ならず者国家」といったことがある。いまでもそのように考えているようだ。「ならず者」には、危険な武器は持たせない、というのだろう。そして、滅ぼしたいのだろう。
もしも、いまの状況を打開できなければ、北朝鮮は米国にとって本物の「ならず者」になり、ISなどの超過激集団をはじめ、反米諸国に核兵器を譲り渡すかもしれない。
われわれが最も厳重に警戒するのは、このことである。核兵器が世界中に拡がってしまう。核兵器だけではない。生物兵器かもしれないし、すでに北朝鮮が持っている電磁パルス爆弾かもしれない。この爆弾は、文明そのものを破壊するほどの破壊力をもっている。それらを他国に譲り渡したら、いったいどうなるのか。
◇
両者の間に、話し合いの余地はないのか。米韓の一部の世論は、北朝鮮が核を持っていることを、事実として認めざるを得ない、といっている。この事実のうえに立って、交渉を開始すべきだ、という意見が一部から出はじめた。
米国は、北朝鮮の近海での米韓合同軍事演習をやめ、韓国でのTHAAD配備をやめる、という妥協案があるはずだ。また、北朝鮮には、核兵器の使用を自粛する、という妥協案があるはずだ。
こうした中で、日本は話し合いではなく、圧力の強化で解決しようとしている。そして、北朝鮮と国交がない米国、核禁止条約に不参加の米国に追随している。そうではなく、核禁止条約に参加している122か国とともに、また、北朝鮮と国交がある162か国とともに、この問題の話合いによる解決に尽力すべきである。圧力や、まして軍事力では解決できないのだ。
(2017.09.19)
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