【森田実の政治評論】自民党総裁三選に向かって猪突猛進する安倍総理の無理性2018年6月25日
安倍総理は9月の自民党総裁選での三選を果たすために理性を捨てて猪突猛進しているようにみえます。「安倍ファースト」政治に向って暴走を始めています。
「無理が通れば道理が引っ込む」(日本の諺)
◆罷り通る安倍ファースト政治
通常国会は6月20日に約1か月の大幅延長となりました。安倍総理は三選を実現するため政府が重要法案と考えるIR法案などすべての法案を成立させようとしています。とくに参議院議員選挙法改正案を成立させることによって自民党参議院議員の支持を得ようとしています。国会運営のやり方は強引です。すべて自民、公明、維新の数の力で押し切る構えです。野党を無視しています。
安倍総理、麻生副総理の国会答弁はひどすぎます。野党議員の質問に真正面から答えようとせず、はぐらかす不真面目答弁を繰り返しています。私の友人は「国会中継は見るに耐えられません。安倍総理の答弁があまりにも不真面目、不誠実で、安倍総理の顔が出るをテレビを切ってしまいます」と言っていますが、この友人のような人が急増しています。
安倍総理や麻生副総理は理性を失ってしまっているように見えます。草の根レベルの知人たちは、安倍総理を支えている自民、公明、維新三党への不信を深めています。「次の選挙ではこの三党の候補者には絶対に投票しない」と語る人が増えています。自民、公明、維新の三党はこれから試練の時代を迎えることになるでしょう。
◆消えゆく良質の保守主義
戦後73年間の日本の政治を見てきましたが、日本で保守政治が強かったのは、保守政治の主導権を、良質な保守主義者がとっていたからでした。良質の保守主義者には「徳」と「情」がありました。この「徳」と「情」を安倍政権は捨ててしまいました。
「良質な保守主義者」は今もいます。しかし少数になりました。最長老衆議院議員の伊吹文明前衆議院議長と二階俊博自民党幹事長は良質な保守主義者だと私は見ています。「徳」も「情」も持っています。伊吹氏は、平成30年6月発行の『いぶきの国会レポート』(No.252)で、こう述べています。
《日本には「道義」という言葉がなくなったように思います。(中略)法律では禁じられていないが、やってはならぬこと。法律で義務付けられていないが進んでやるべきこと-これが掟であり、道義。政界、経済界、官界そして宗教界に至るまでの惨状。それを得々と報ずるメディアの取材倫理規定の崩壊等々。豊かさとネット社会で失った人間の価値を取り戻す時でしょう》
安倍総理、麻生副総理が代表する日本の保守政治は「道義」だけでなく「情」も失いました。安倍・麻生両氏は指導的官僚だけに責任を押しつけ、政治指導者としての道義的責任を取ろうとしていません。昔の保守政治家には官僚への「情」があり、指導者としての道義的責任を取りました。しかし今は「情」がありません。「保守」の堕落です。
「徳」も「情」も捨てて「「自分さえよければ主義」で暴走する安倍・麻生政治が長続きすることはないと私は思います。
◆安倍総理の新目標は「日朝首脳会談実現」
安倍総理は「森友・加計問題」への国民のきびしい不信を無視したまま、トランプ・金日恩会談がつくり出した新しい国際情勢の中で、拉致解決のための日朝首脳会談実現の新目標に向かって進み始めました。この新目標を掲げることによって安倍政権の求心力を取りもどし総裁三選を実現しようとしているようにみえます。
たしかに国民の中に「安倍政権は拉致問題を解決する義務と責任がある」との考えが根強くあります。これによって安倍総理の三選実現の可能性は高まっていることは確かです。
しかし「森友・加計問題」で露呈した政界と官界の腐敗堕落、とくに「嘘」が罷り通る現状を、多くの国民は憂慮しています。安倍・麻生政治の道義なき体質への不信は深まるばかりです。「嘘」の横行を許す安倍政権の行き方を国民が許すことはないと思います。
北朝鮮政府との交渉は簡単ではないでしょう。
北朝鮮政府は安倍総理が国民から信頼されていないことをよく知っています。国民から支持されていない政権の外交力は弱いものです。安倍総理がたとえ三選を実現したとしても、国民の信頼がなければ相手から軽くみられてしまいます。北朝鮮政府との交渉は国民の大多数から信頼される政権によって行われるべきです。少なくとも総選挙で勝利しなければ強い交渉はできないと思います。政治の抜本的出直しが求められています。
安倍総理にセネカ(古代ローマのストア学者)の次の言葉を贈ります。「いかに長く生きたかではなく、いかによく生きたかが問題である」。
理性なき暴走は止めるべきです。
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