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【熊野孝文・米マーケット情報】付加価値のある副産物「米ぬか」集荷の現状2018年9月4日

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【(株)米穀新聞社記者・熊野孝文】

 8月30日から9月1日にかけて横浜パシフィコで開催された国際オーガニックEXPO。コメ関連の出展社では、JAみどりの有機農業推進協議会、あいづ有機農法生産組合、近江米振興協会、三和農産、粋男会などが出展していたほか、学校給食へ有機米納入をテーマにしたパネルディスカッションが開催されるなど興味深い展示・商談会であった。
 出展社の中に米ぬかで洗顔せっけんを作って販売している会社があった。正確に記すと米ぬかと椿油で作った石鹸で、商品案内には一個80g1600円と記してあった。この会社、化粧品会社としては珍しく、全ての商品がどのような原材料で作られているか分かるようにしている。米ぬかの欄を見ると日本産で有機無農薬栽培・JAS認定を得たものを使用していた。
 以前、米ぬかをユニークな用途に使っているという会社があるというので栃木県の那須まで出向いたことがあった。この会社は新鮮な米ぬかを集荷するために自ら60カ所ものコイン精米所を設置して毎日集荷して回っており、担当責任者と一緒にコイン精米所を見て回った。設置している場所はコンビニの駐車場など人が集まる場所もあったが、国道沿いの田んぼの脇に設置している場所もあり、こんなところで精米する人がいるのかと首をかしげたが、担当者がコイン精米所のぬか収容口を開けると7割方ぬかが溜まっていた。この会社がなぜわざわざ自社でコイン精米所を設置してぬかを集めているかと言うと、ぬかの搬入先が女性のエステサロンで、ここで使用するぬかは新鮮なものでないといけないからだとの理由であった。

 

  ◇    ◇

 
 
 米ぬかの用途と言えばこめ油の原料かエノキタケなどキノコの培養向け、もしくは肥料等である。主力のこめ油業界は国産米ぬかを32万t程度買い入れて、約6万tのこめ油を搾油している。これでも国内の需要量を満たすには足りないので約3万tのこめ油を海外から輸入している。
 こめ油メーカーはこめ油だけを搾油して商品化しているわけではなく、イノシトールやフェルラ酸、フィチンなどの米ぬか由来の物質を精製して健康食品や化粧品、医療品、酸化防止剤など様々な用途に供給している。中にはアルツハイマーの予防に役立つという物質もあり、その物質はg当たりの単価では金よりも高く、海外に輸出されている。コメの副産物とはいえ、米ぬかの価値は目を見張るものがある。年間のコメ消費量からすると副産物の米ぬかは70万tあるはずだが、それを集荷する会社に行って見ると大変な仕事をしていることが分かる。
 大手コメ卸の場合は大量の米ぬかが発生するが、この分はこめ油メーカーとの直接取引ルートが出来上がっており、これは問題ないのだが、コメ卸と言われる年間5000t以上精米する企業の搗精量は全部合わせて230万t程度に留まっている。正確な統計はないが、コイン精米所で精米される量は150万tとも言われており、小さなウエイトではない。220カ所から米ぬかを集荷している都内の業者によるとこの内14カ所はコイン精米所だという。都内ではコイン精米所の設置場所は少ないが、それでもこれだけの数がある。湾岸線沿いの商業施設の中にあるコイン精米所はなんと1週間に1・5tものぬかが出るとのことで週に2、3回集荷に出向いている。その一方で週に30kgしかぬかが出ない米穀小売店にも集荷に出向く。大規模稲作生産者が常に口にする分散錯圃状態が米ぬか集荷現場でも同じようなことが起きている。
 さらに困ったことには米ぬかは酸化するスピードが速く、酸化すると商品価値が下がり、進み過ぎたものは肥料にするしかない。集荷業者が収益を上げようとするなら新鮮な米ぬかを出来るだけ多く集めるしかないが、そうした上得意先が多くあるわけではなく、とにかく米ぬかが出るところならどこにでも行き、コイン精米所でもぬかを集荷したらきれいに掃除することも厭わない。そうして集めた米ぬかは最も高く売れるものがこめ油向けでkg13円30銭である。この額でわかるように米ぬか集荷業を成り立たせるのは並大抵のことではない。
 もちろん米ぬかも経済原則で動いているのであるからいずれは最も効率的な流通に収斂されると思われるが、それを阻んでいる要素があるのではないか。
 こめ油業界の総会で役員が盛んに国産米ぬか確保の難しさに言及したので、飼料用米は40万t以上になっているのだからその分を搗精してぬかを仕入れるようにすれば良いのでは聞いてみたところ、トレサ法が足かせになっているという返事であった。MA米も餌米も加工用米も搗精すればぬかが出るのだからこの流通を縛る意味がどこにあるのか? 価値あるものを効率的に価値が生めるようにしないといつまでたっても競争力はつかない。

 

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