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【熊野孝文・米マーケット情報】画像判別器の客観データによる取引が必要なる主食業界2019年5月28日

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【(株)米穀新聞社記者・熊野孝文】

 原料米搗精業者で組織される全国米穀工業協同組合(略称全米工)が5月23日に東京で開催した東日本取引会で初めて取引されるサンプルに新型の穀粒判別器で画像解析した品位データを添付した。
 コメの画像取引については以前このコラムでもその可能性について紹介したが、それから1年以上経過して、その前段階というべき画像解析データが原料米のサンプルに添付されたのだ。画像解析データがどのようなものであったかについて触れる前に原料米取引がどのようになされるのか解説した方がよりわかりやすくなると思われるので、まずそのことに触れたい。
 一口に原料米と言ってもその用途は実に幅広い。清酒・焼酎・ビール・みりん、味噌など醸造用原料として使われるものもあれば、米菓、和菓子、餅など菓子類にも使われる。主に取引されるのは特定米穀、いわゆるくず米である。特定米穀とは食管時代に作られた制度用語であり、特定米穀イコールくず米というわけではないのだが、そのことに触れると余計にわかりづらくなるので、ここでは低品位米イコールくず米という括りにする。
 取引会では、売り人が必ず事前に事務局に低品位米のサンプルを提出して、参加者はトレーに入れられたサンプルを確認してから場立ちのセリによって買い値を唱えて成約するという取引スタイルを取っている。サンプルには玄米であれば380匁以上といった容積重を記したものもあるが、精米はその品位を目視で確認してその価値を判断するしかない。
 23日の取引会では13件のサンプルに新型穀粒判別器で画像解析した品位データがプリントアウトされて添付された。その中に精米したシラタ米のデータが記されたものがあった。シラタとはいわゆる乳白米のことで、品位データには981粒のうち68粒(8.1%)が正常粒、粉状質粒が751粒(78.7%)、砕粒84粒(5.2%)、異種穀粒32粒(3.8%)などのデータが出ている。
 新型穀粒判別器ではこうしたデータを解析してプリントアウトするまで3分もかからない。画像解析ではコメ一粒一粒の面積まで瞬時に解析、データ化できるので未熟粒の割合もグラフ化して簡単に分かる。データ化されたシラタは1kg90円で取引が成立したが、ほとんどが乳白米であっても価値はあるという事である。成約したものの中にはヤケ白米、砕米といったものもあり、見方を変えればコメの価値を最大限引き出しているという取引会ということも出来る。
 それが可能になったのは、低品位米の価値を引き出すための選別、精米技術の進歩に因るが、原料米搗精業者の製品化のやり方はそれぞれ会社によって違い、主食用米の精米とは別世界である。

 

◇   ◇

 

 全米工ではサンプルに解析データを添付することで「より客観的な取引が出来る」としており、会員社からの評価も高く、当日の成約率はそれまでの取引会よりかなり高かった。
 コメの品位をデータ化してその価値を決めて取引するという手法が最も品位判別が難しい低品位米の取引で始まったのだが、主食用に供給される検査米の世界はどうなるのか?
 全農は5月15日に卸業界に対して7月以降に取引される令和元年産米について、1-2等格差を60kg玄米当たり300円、1-3等格差を同1300円にすると通知した。平成30年産米の1-2等格差は産地銘柄によって違うが500円から600円であり、それを約半分にするというのだからオオゴトだ。
 等級は検査官が目視により格付けするというのは農産物検査法に明記されており、格落ちになる原因も様々だが、格付けされたものが流通に乗り価値評価されてしかるべきだが、公の現物市場がないため等級間格差は産地側の判断によって決まっており、以前は1-2等格差1000円という時代もあったが、それが縮小するという傾向だ。もちろん買い手の米卸も搬入された玄米を試験搗精して歩留り等詳細なデータ取りをしており、あまりにも歩留まりが悪い1等米についてはクレーム対象になる。産地側がクレームに応じなければ、第三者による裁定がなされるということも出来るのだが、過去一回もそうした裁定委員会が開催されたことはない。
 ではどうしていたのかというと、産地側が値引きに応じることで問題を処理していた。その値引き額が1-2等格差の500円から600円だったということも出来る。しかし、その額が半分になると話が違って来る。おそらく「300円の値引きでは歩留り減をカバーできない」と言い出す卸が出て来るに違いない。新型穀粒判別器による客観的なデータに基づくコメの取引が必要なのはむしろ主食業界の方だ。

 

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(株)米穀新聞社記者・熊野孝文氏のコラム【米マーケット情報】

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