【森島 賢・正義派の農政論】立憲党消滅の危機2019年6月10日
参院選があと1か月後に迫って、5野党は、ようやく1人区の全部で統一候補を決めたようだ。だが、それで勝てるというわけではない。勝つには、各党の協力体制に魂を入れねばならない。
マスコミ各社の世論調査をみると、野党の支持率は、軒並み下がっている。野党第1党の立憲は2桁を割り、5%に近づいているし、第2党の国民は1%程度で低迷している。
こうした中で、野党からは守りの姿勢しか見えてこない。自分だけは、何とか政治家として生き残りたい、という私利私略とか、自分の党だけは、何とか存続させたい、という党利党略しか考えていないようだ。野党政治家としての、政権奪取の意気込みが見えない
5野党に思い出してほしいのは、一昨年10月の衆院選の全国比例区で、5野党が2611万票もの大量の票を得たことである。これは、自民の1856万票よりも、はるかに多かった。
あのとき、多くの国民は5野党に熱い期待を寄せていた。5野党には、政権を奪取する底力があった。
あれから、まだ2年も経っていない。当時の熱気は、どこへ行ったのか。
◇
ここで、野党が想起すべきことは、今年4月の北海道知事選である。野党は統一候補を立てたが手痛い敗北をした。これを反面教師にせねばならぬ。
あのとき、与野党が推薦した2人の候補は、それぞれ130万票程度の得票で、接戦になると予想されていた。しかし、実際には野党候補が96万票、与党候補が162万票で、野党候補が大差で敗けた。
ここでの教訓は、候補を一本化しさえすれば勝てる、という考えの誤りである。
◇
来月の参院選はどうか。
野党は、私利私略、党利党略に走るだけで、安倍一強政権によって痛めつけられている経済的弱者の支持によって、安倍政権を倒そうとする熱気がない。これでは弱者から見放される。
1人区で候補者を1本化したからといって、それだけでは勝てない。もしも敗ければ、野党は壊滅状態になる。立憲は、野党第1党だからといっても、再起できないほどの危機に陥るだろう。
◇
ではどうするか。
1人区で候補を1本化するだけではだめだ。各党の公認をやめて無所属にするだけでもだめだ。そうではなくて、せめて主要5野党の共同公認にしたらどうか。
それは、各党の幹部が決めることではなく、地元の支持者たちが決めることである。
◇
選挙の神様、といわれる小沢一郎氏の考えはこうだ。
いまの政党は、そのまま存続させ、選挙のための緩やかな綱領を作って、選挙のためだけの新しい政党を作る。
いまからでも遅くない。こうすれば、嵐のような強い風を吹き起こせるだろう。
1人区はもちろん、複数区でも、さらに比例区でも新党の公認にして、与党と競う。つまり、国政選挙では、立憲や国民などの政党名は、いっさい使わない。しかし、地方選挙では使う。そのように、使い分けたらどうか。それができれば、新党による政権奪取は確実に実現するだろう。
◇
いまの5野党の幹部で、反対する人がいたら、政治の場から去ってもらおう。
参院選は政権選択の選挙ではないなどと、したり顔で言う幹部や、次の次の総選挙で政権を取るなどといって、こんどの選挙で政権奪取を目指さない幹部がいる。選挙の前から敗北宣言をしているのと同じだ。こうしたフヤケタ考えに取り憑かれている幹部は、いますぐに辞めてもらおう。
辞めてもらえないような政党なら、無くなってもいい。弱者は、そのように考えている。そうしなければ、弱者の苦難が今後も続くのだ。
◇
新党ができれば、いまの立憲や国民は、新党のなかの立憲派や国民派にすればいい。そのなかの1つとして、自民の一部の人が、自民派として加盟してもいい。
農協派ができれば、なおさらいい。いまの自民は、政党の形としては、これに近い。
◇
こうなったとき、新党の選挙事務所は、これまでとは全く違ったものになるだろう。
いままでは、事務所の中央の椅子に、幹部がデンと座って、あたりを睥睨していた。
しかし、これからは支持者の誰でもが、泥だらけのゴム長を履いたままで自由に出入りし、安倍一強政権を倒す、という同じ志を持つものどうしの信頼関係のもとで、選挙に勝つための侃々諤々の議論ができるようになる。そうして、支持票を1票でも増やすための、翌日の戦術を練る。
こうなれば、5野党の選挙体制に魂が入るだろう。勝利は確実になるだろう。次の衆院選を待つまでもなく、安倍一強政権は倒れ、新党を中心にした、弱者のための新鮮な政権が誕生するに違いない。
(2019.06.10)
(前回 最低賃金法の棚ざらし)
(前々回 トランプの微妙な立ち位置)
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