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【浅野純次・読書の楽しみ】第44回2019年11月15日

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◎青木理『暗黒のスキャンダル国家』(河出書房新社、1815円)

 強烈な書名に一瞬、店頭で躊躇しましたが著者名を見て買い求めました。『日本会議の正体』や『安倍三代』の著者だと気づいたからです。本書は毎日新聞大阪本社版夕刊に3年あまり書き続けてきたコラムを中心に、主に新聞雑誌への寄稿文で構成されています。
 したがって時評としてはやや古いものもありますが、逆にすでに大方の人が忘れかけていて、なお重要なテーマを再考するにも役立ちます。モリカケ問題などはその最たるものでしょう。この問題はその後も解決されぬまま説明責任すら果たされていません。
 ほかにも盗聴法、共謀罪、安保法制、死刑制度、沖縄問題などその時々にはメディアが取り上げて私たちも関心を持ちますが、間もなく忘れてしまう重要な問題がたくさん取り上げられています。
 重要だと思ったら、忘れてはいけないのです。不正義への怒りもそのときだけのものであってはならない。そんなことを改めて感じさせられる本でした。
 なおもう一点、日韓間での元徴用工問題について、国家間で片付いてはいても個人請求権は消滅していないことについての指摘がなされています。これは司法的には当然のことなのに、メディアも世論もほとんど無視している重要な論点です。

◎保阪正康『昭和史七つの裏側』(PHP研究所、1760円)

 昭和史の第一人者である著者による、昭和史の原資料的なオーラルヒストリーの書。多くは口述そのままですから冗舌もたくさんありますが、だからこそ生き生きとした異色の書でもあります。
 昭和史は「人の生きた目で見ていかなければ本質はわからない」と著者は言います。確かに文書だけでは本質には迫れないのでしょう。「生き証人の証言」に耳を傾けてみることはとても大事です。
 7章どれも面白いですが、第3章は学徒出陣壮行会で宣誓した学生代表の証言。第4章と第5章は東條英機の秘書官と石原莞爾の秘書による上司の素顔。第6章は東條暗殺計画の中心人物だった柔道家の証言。読後に東條批判を強めるか、意外な一面を知って東條観を修正するか、人により分かれそうです。
 第7章の軍務局の元佐官との開戦をめぐる往復文書も興味津々です。ここではプロ海軍の人は案外な事実を知るでしょう。いずれにせよ、口述も含めた原資料から歴史を知ることも歴史を楽しむ一法かもしれません。

◎三浦英之『水が消えた大河で』(集英社文庫、748円)

 信濃川は長さでも水量でも日本一の大河です。灌漑、工業、飲料、さらには発電用水としても日本屈指の多用途重要河川です。
 ところが、かつては十日町のあたりで63キロにもわたり川が途切れていました。東京電力とJR東日本の2つの発電用ダムで大半の水が取水されてしまい枯れ川のようになっていたのです。
 本書は、それに疑問をもった新聞記者が契約や実態を調べて回りJRに重大な契約違反やごまかしがあったことを明らかしにしていくノンフィクションです。放水が始まり川が蘇る終局は感動的で、川のもつ力が読む者に強く訴えてきます。
 安価な水力発電の利権を最大化するため不正取水したJR東日本の責任が大きかったことはもちろんですが、鮭の俎上しない途切れた川を放置し続けた行政や住民の責任も大きかったのでは。63キロといえば歩いて15時間もかかります。環境としての川を改めて考えさせられる力作です。


本コラムの記事一覧は下記リンクよりご覧下さい。
浅野純次・石橋湛山記念財団理事の【読書の楽しみ】

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