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【熊野孝文・米マーケット情報】米穀業者の今年の話題はコメ消費減と元年産品位低下と穀粒判別器2019年12月10日

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【(株)米穀新聞社記者・熊野孝文】

 12月7日に成田市内のホテルで忘年会を兼ねた米穀業者の集まりがあった。この席での話題の中心は「コメ消費減」と「元年産米の品位」低下。

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 品位の低下については、富山県の種子生産でコシヒカリに高温障害がみられたことから来年作付するコシヒカリに影響が出るのではないかと懸念する見方が千葉県の集荷業者から出た。一方で同じ千葉県の業者から元年産コシヒカリが品位の低下に加え収量減少であったことから2年産はふさこがねの作付が増えるとの見方もあった。

 品位の低下は原料米搗精業者にとっても深刻な問題になっている。今や色彩選別機を設置している農家は珍しくなく、農家はカメムシ害の着色粒を色選したとして出荷するため、こうしたものを購入した原料米搗精業者は極端に歩留まりが落ちるため採算に合わない。しかもくず米自体の発生が少ないうえ、価格も高く、搗精業者にとって元年産は「三重苦」だという。

 着色粒については、もっと厄介な問題もある。着色粒は食べても健康に害はないとされているが、農水省には「誰が健康に害がないと言ったのか」という質問が来ているという。誰が言ったのか定かではないというのが実情で、着色粒に関しての論文は2つあるもののどこにも健康に害がないとは書かれていないという。それ以上に問題なのは、なぜこれほどまでにカメムシ害が発生するようになったのかと言うことで、生産者や集荷業者の中には飼料用米が作られるようになってからカメムシが多く発生するようになったという人もいる。

 コメの消費減については、出席者から「どうやったらコメが売れるのか教えて欲しい」と自虐的な発言があるほどで、特に家庭用精米の販売減が著しい。消費地の卸からは年明け早々に行われる令和2年産の政府備蓄米買入入札で、元年産と同様、農水省が米価維持のためなりふり構わぬ対策を打ち出し、さらに買入価格を上げるのではないかとし、消費減に拍車をかけると不安視する声も上がった。

 政府備蓄米買入についてはもう一つ話題に上ったことがある。それは2年産から買入する玄米を農産物検査法で格付けされた1、2等以外に穀粒判別器で画像判別したものでも買い入れることにしたこと。

 11月29日の官報に告示された農産物検査規格規定改正には「国内産玄米(水稲うるち米に限る)の死米及び着色粒の混入割合の鑑定は前号の規定にかかわらず標準計測方法により穀粒判別器で測定した混入割合を用いて行うことが出来る」と記されている。どのような項目で基準値が示されるかは、2年産政府備蓄米買入入札の告示時に公表されることになっているが、農産物検査法に記された等級基準とは違い6項目の基準が出るものと予想されている。

 この基準で買い入れる政府備蓄米の上限数量はわずか500tで、全体の20万7000tから見れば微々たる数量だが、なぜこのことが話題になったかと言うと、一つにはナラシ対策の米価下落の要件はあくまでも検査を受けたコメの価格が基準に採用されるが、2年産から穀粒判別器で測定したコメも対象になるのかといった点や、穀粒判別器で1等基準としてみなされた玄米の銘柄担保はどうするのかという疑問もあった。この点に関しては農水省だけでなく消費者庁もからむ問題だけに結論が出ているわけではないが、そもそも穀粒判別器によるコメの検査を行わなければならなくなった背景には国が決めた農業競争力強化支援法の中に「農産物流通の合理化」が明記されていることにある。

 コメは農産物検査法で人間の目視によることが大原則で、検査官は1万8000人もいる。検査手数料は年間400億円にものぼる。このことが農産物流通の合理化にそぐわないという判断で穀粒判別器の導入が認められたとすれば、先行きがどうなるのかおおよそ想像が出来る。

 一定期間は人間の目視と穀粒判別による並行検査が行われるが、いずれは人間の目視による検査は無くなる。品種銘柄の担保はどうなるのかというと穀粒判別器で判定する際は農家の申告を担保にすることになり、未検査米でも精米表示段階で表示が可能になる。

 そもそも現在、銘柄品種名を謳えるものは800産地品種もある。これを目視で検査官が判定して担保するということ自体に無理がある。政府備蓄米の買入数量はわずか500tだが、肝心なことは数量ではなくコメの品位格付けに新たな手法が導入されるということであり、令和2年産からコメの流通も大きく変わるという事を意味している。


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(株)米穀新聞社記者・熊野孝文氏のコラム【米マーケット情報】

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