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コラム:JCA週報

2020.01.27 
【JCA週報】協同組合精神を持った漁協職員の養成を目指して一覧へ

 「JCA週報」は、日本協同組合連携機構(JCA)(会長 中家徹 JA全中代表理事会長、副会長 本田栄一 日本生協連代表理事会長))が、各都道府県での協同組合間連携の事例や連携・SDGsの勉強会などの内容、そして協同組合研究誌「にじ」に掲載された内容紹介や抜粋などの情報を、協同組合について考える資料として発信するコーナーです。
 今回は、「協同組合精神を持った漁協職員の養成を目指して」です。
 協同組合研究誌「にじ」2019年秋号に寄稿いただいた全国漁業協同組合学校 吉田博身校長の報告を紹介します。

協同組合研究誌「にじ」2019年秋号「協同組合と教育」協同組合精神を持った漁協職員の養成を目指して-「全国漁業協同組合学校」の取り組み-

吉田博身 全国漁業協同組合学校 校長

 「漁業関係者の間では「組合学校」の名で親しまれている「全国漁業協同組合学校」(以下、「学校」という)は、漁業協同組合(以下、「漁協」という)で働く職員を養成する全国で唯一の学校である。「全寮制」を原則とし、「協同組合精神を持った漁協職員の養成」(学校案内)を目的に掲げる伝統と特徴のある学校である。ここ数年、学生数は10名前後と小人数の小さな学校ではあるが、その存在意義と期待される役割は大きい。
 以下、学校の歴史、職員養成教育のカリキュラムなどの教育方針、協同組合教育の現状、学校の課題と今後の対応方向などについて、通年教育(1年コース)を中心に(短期研修等は、割愛)、私見も交えて記してみたい。

(略)

<卒業生の活躍とこれからの学校 -学校の課題->
 学校の卒業生は延べ2600人余にのぼり、現在約800人がJFグループの役職員として在職している。漁協の組合長、専務、参事、県連合会の会長・理事長等の系統のリーダーも多数居り、多くの卒業生は漁協等の管理職、中堅職員として全国各地で活躍している。

(略)

 また、最近の卒業生に対する就職先漁協からは「市場に配属したら、話が違うと直ぐやめる職員がいる中で、学校の出身者は、漁協とはどんな職場かをよく理解し、どんな部署でも真面目に、前向きに頑張っている。」との高い評価を頂いており、毎年、学生数を上回る求人がある。課題山積の漁業界にあって、将来の漁協を担い、漁村のリーダーを養成する学校の役割は、大きい。

 充実したカリキュラムとJFグループからの卒業生に対する高い評価の一方、近年の学生数の減少傾向とその中で一定数の学生をどう確保するかが大きな課題となっている。学生数の減少は、学校の存在意義に関わり、また、学費収入の減少となり学校の存続を財政面からも脅かすことにもなる。

(略)

 学生数の減少の要因は、いくつか考えられるが、一つは新卒者の就職先=職業としての漁協職員のイメージがあると思われる。地元の高校生にとっても漁協の仕事は、主力の販売事業の早朝の市場業務と結びつき、きつい仕事と受け止められる。売り手市場の現在は、敬遠されがちとなる。漁業のイメージと重なる面もある。

 もう一つの要因として、漁協が職員教育・養成について計画的に取り組む余裕のないことが挙げられる。職員の大幅減少(全国の漁協職員数1979 年21千人→2018年11千人)の中で、職員の業務負荷が大きくなっており、現職者を学校に派遣する余裕はなく、また、新卒者で就職希望がある場合には、1年の学校教育と卒業を待つ余裕はなく、直ちにでも採用したい状況である。職員教育の必要は解っていても、実行するゆとりのある漁協は少ない。現に、各漁協からは、学校への求職はたくさんあるが、地元の新卒者に学校への入学を勧めたり現職者を派遣することまで手が回らない状況が続いている。

 この状況をどのように見て、どのように対応していくかについて次のように考えている。

 第一は、これまでの数十年は、漁業と漁協にとって厳しい試練の時代であって、学生数の推移は、大きくはそのことに対応している。しかし、今、新たな局面も見えてきている。漁業者数では現在の年齢構成からして、今後も減少は続き、気候変動の影響等で漁獲も不安定であり、決して楽観できる状況ではないが、一方で、世界の水産物需要の高まりなどから、国内生産金額は、底を打ち、横ばいか微増に転じている。毎年約2000人の新規漁業就業者を安定的に迎えている。漁業・漁村の多面的機能の認識や評価は広まりつつある。漁協も、1993年に事業本体の収支を表す事業利益(全国計)が赤字になって以来、20年余の効率化、健全化の努力を経て、2014年にようやく黒字となり、前向きな課題に取り組める状況もできてきた。時代の要請に応え得る職員を養成・教育することの必要性を改めて感じ、そのことに関心を向ける可能性が開けている。

 第二に、こうした認識の下に,学校の存在意義を再認識し、JF グループと学校がこれまでの学生減少傾向に甘んじるのではなく、学生の確保という独自の課題に具体的に手を尽くすことが必要である。現在、学校は、全漁連等と連携により以下のことに再度力を入れ、また、新たに取り組みたいと思っている。

(略)

 JFグループは、今、雇用延長により確保してきた団塊世代を含むベテラン幹部職員の大量退職に直面しており、世代交代の時期に入っている。そのため、採用は、各年、全国の漁協で約500人、県連合会等も含めると約1000人を超える。これらの人材に対する学校の努力余地は、限りなくある。今後も学校が漁協の将来を担う人材の育成の役割を果たせるよう、学生確保に一層の努力を傾注したい。

協同組合研究誌「にじ」 2019秋号より
https://www.japan.coop/wp/publications/publication/niji

※ 論文そのものは、是非、「にじ」本冊でお読みください。

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