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JAの活動:米価高騰 今こそ果たす農協の役割を考える

【米価高騰・今こそ果たす農協の役割】米は高くない 賃金引き上げこそ 駒澤大学教授 姉歯曉氏2025年10月27日

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米価の高騰は農家の努力に見合う「適正価格」を考える契機となった一方、市民の暮らしに重くのしかかる。今こそJAが農家と市民の橋渡し役となり、持続可能な食と暮らしを守る連帯の形を示す時だと駒澤大学教授の姉歯曉氏は提起する。

駒澤大学教授 姉歯曉氏駒澤大学教授 姉歯曉氏

貴重品となった米

消費者は頭では受け入れている

新米を知り合いの農家から友人たちに送ってもらう時期になった。いつもの年と違うのは、受け取ったことを知らせるメールや電話に「『貴重な』お米を」という文言が必ず添えられていることだ。収穫の秋が待ち遠しく、収穫間際の長雨に心配になり、同時に農家の顔が浮かぶ......それは私だけではなく、多くの者が共有する気持ちだったのだろうと、友人たちの礼状の文面を見てそう思う。

一方で、スーパーの前で自転車から子どもを降ろした母親が「どうしようか、お米じゃなくてもいい?」と尋ね、子どもが「ご飯がいい」と答える姿は初めて目にした。棚に並ぶ新米の5キロ袋の前で立ち止まり、考えた末に2キロの袋をかごに入れるお年寄りたちには幾度も出会っている。

今、消費者は、5キロ4000円を超える米価格が持続可能な農業のための「適正価格」だったのだという事実にハッとさせられている。では今までの価格はなぜ可能だったのだろう。結局、これまでの消費者にとっての「適正価格」は、農家が自ら赤字を補てんしながらコスト割れでつけた価格だったのか。高校の出前授業でも、大学の講義でも時給10円という数字がこれほど高校生・大学生に受け入れられるという経験はこれまでなかった。

感想文には「うちの田舎でも米を作っている。祖父母の姿を見ていればこれまでの価格は安すぎると実感している」「政府は米を購入できるだけの保障を困窮家庭に」などといった文言が並ぶ。消費者はこの価格でなければとても近い将来に米農家がなくなってしまうことを理解している。頭では。

「買っておいしい安全な米を食べたい。農家を支えたい」それでも「買い支える」ことが不可能な状態に国民の多くが直面していることこそが問題である。

米価格が高いかどうか、適正価格とは何かを経済学で考える。

この間、私は「米価格の高騰」問題を学生に話す機会に恵まれている。その時に必ず話すことがある。それは、労働者の賃金のことだ。私たちの賃金は私たちが次の日も元気に働けるよう失ったエネルギーや気力を補充する衣食住や文化的な支出で構成される。だから労働組合は必ずたくさんの統計を突きつけながら使用者側に「物価がこれだけ上がっているのだから」「子どもの教育費も必要だ」と賃上げを迫るのである。賃金が米の持続的な生産に適応できるだけの上昇を得られていないから問題なのである。よく賃上げをすると中小がつぶれるとか、結局その分価格に上乗せされるだけで終わるとか、そんなことが言われるが、忘れてはならない。大企業(資本金10億円以上、金融保険を除く全企業)の内部留保はパンデミックの時でさえ衰えることなく増え続けており、経常利益も急拡大している。資本金が1億円未満から5000万円以上の中小企業にも内部留保が貯まっている。それなのに、従業員の給与は横ばい状態でこの2年ほどほんの少し上昇したに過ぎない。

CSR=企業の社会的責任という言葉がまだ生きているというのであれば、今こそ、正規・非正規に限らず賃金を米価格の上昇分を吸収できてあまりあるほど引き上げるべきなのだ。まとめると、米の価格が高いのではない、現在の日本の賃金が安すぎるのだ。

確かに中小企業も受注の際に買いたたかれたり、支払いが遅延したり、価格交渉力をこれまでずっと抑止されてきた。しかし、だからといってそのツケを労働者に回すことはできないのであって、やっと価格交渉を行う中小企業が増えてきてはいるものの(2024年で全体の6割)、これに応じようとしない大企業を動かすものは市民の力である。

日本でも韓国でも農家を守るための農家と市民連帯

「令和の百姓一揆」が今年3月実行された。30台のトラクターの行進に一般市民約4000人の参加を得て、欧米並みの所得保障を求めて都内をデモ行進した。韓国で最初にキャンドルを手にした市民が光化門前の大通りを埋め尽くしたのは、BSE(牛海綿状脳症)で輸入禁止となっていたアメリカ産牛肉の輸入再開に反対する2008年の集会だった。

昨年末、戒厳令を出したユンソンニョル前大統領弾劾の大集会では、市民に連帯しようと、農民たちが全国からトラクターでソウルへと向かった。ハンギョレ新聞によると、途中、警察に通行を阻まれた際には、トラクターから農業者が警察に引きずり下ろされる様子がSNSで拡散されると、瞬く間に多くの若い女性たちを含む一般市民が集まって氷点下11度の冷えこむ夜を農民たちと共に過ごした。また、その場に参加できない市民たちは温かい食べ物や防寒具、バスまで手配し、参加者がその中で暖を取れるようにしたという。

トラクターがソウルに入った際には1万人を超える市民が歓声を上げ迎え入れたという(2024/12/23付ハンギョレ新聞「28時間かけて市民が突破した警察の車壁...トラクターデモ隊、大統領官邸へ=韓国」アクセス2025/1/5)(注)。

「令和の百姓一揆」でも、農民は未来の子どもたちの食を農家が守るとのメッセージを発し、市民は農家を守り離農を食い止めることが急務であることを再認識した。今回、JAが仮渡金を24年産より魚沼産コシヒカリを例にとれば1万3000円高い3万2500円としたことをはじめ、全国で大幅に金額を引き上げたことは国民に向けてそれが農家を守るための「適正価格」であることを宣言することになった。

それもまた、静かな(ある意味静かすぎるかもしれないが)市民と農民との連帯要請をJAの側から発信したものとも解釈できる。消費者は農家の窮状への理解をかなりの程度深めていると確信している。次は、JAが米農家の持続的な生産を支えるためにも、市民の持続的で安定的な生活のために暮らしの困難を解決する連帯に乗り出す番ではないだろうか。賃金の引き上げ、軍事より自国の食料生産を守り抜くためにこそ財政を出動させることを真正面から要求することを期待したい。

少なくとも農家が昨年より上昇した金額で米を消費者に渡す際に申し訳ない気持ちになるとの声に消費者が「そんなことはない、これでも安いくらいです。ありがとう、おいしいお米を作ってくださって」と言える暮らしを実現させていくために。

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