【今川直人・農協の核心】農協による日本型スマート農業の普及(1)2025年10月27日
農業先進国の輸出促進
EUは一貫して農産物輸出志向が強かった。補助金付きの輸出は、ウルグァイラウンド協議を経て変更を迫られ(1990年代)、中東欧10カ国のEU加盟(2004年)に備えた2003年農業改革で、デカップリングへの移行、財政規律、環境保護の徹底等の枠組みの修正があったが、欧州委員会が2025年2月に発表した「農業と食料ビジョン」は競争力強化に力点を置いている。
アメリカは農産物輸出を通商政策の大きな柱としており、農業政策の性格が日本と大きく異なっている。農業法に基づく予算(2019~2023)の76.1%が低所得者への食糧支援で、収量・収入保険8.9%、価格・収入補償7.3%、農地・環境保全6.8%、貿易(プロモーション支援等)0.2%、研究開発0.1%などとなっている。
輸出のためには国際競争力強化が求められるが、そのための直接的財政支出は『貿易歪曲的』を免れないし、半ばが国外の消費者のための支出と言う側面を持つため限界がある。『輸出促進』政策は国内生産者に自立的努力を求める性格が強くなる。
「生産基盤確保」のための「輸出促進」
食料・農業・農村基本法の改正の施行(令和6年6月)の翌月に農水省が発表した「法改正のポイント」は改正法の基本理念「食料安全保障」の柱の下に、①国内の農業生産の増大②安定的な輸入・備蓄③農業生産基盤等の確保のための輸出の促進を新たに位置付けている。③の輸出促進については、その背景として<人口減少に伴う国内市場の縮小>を挙げている。国内市場の縮小を輸出に結びつけるのは自給国での議論ではないか、と考えるのが自然に思える。自給率が上向きになったわけでもない。しかし、アメリカの金額ベース食料自給率が69%(2022年 農水省)である。1961年農基法、旧基本法下の2005年基本計画にも「輸出」がある。
2024年基本法改正に、二つの意図をみることができる。構造対策(農地集積・集約)の進捗や経営所得安定対策の生産拡大への効果とくに財政投入の費用対効果と硬直性(消極的動因)、及び上記③の「生産基盤等」の確保のための輸出促進(積極的動因)である。注意すべきは後者が生産基盤の強化のための輸出促進であってその逆ではないことである。次項の「基本計画のポイント」は輸出の促進の趣旨を『国内の需要減少においても供給能力を確保』することとも説明している。国民・農業者が「自給」と言う『意識の天井』を打ち破ることを誘導する意図が見て取れる。
いまや農業構造の転換すなわちスマート農業
改正基本法下初の基本計画(2025年4月閣議決定)に係る農水省の「基本計画のポイント」(同年6月)は冒頭で、「初動5年間で農業の構造転換を集中的に推し進める」と基本計画の性格を明示している。このポイントの中で食料自給力すなわち国内農業生産の増大に向けた三つの目標を掲げている。農地(面積412万ha、水利、集約・集積)、担い手(49歳以下4.8万維持)、生産性向上(米15ha以上の経営体の生産コスト9,500円/60㎏など)である。ポイント冒頭の「集中的」が目標未達の農地の集積・集約を指すと思われる。
スマート農業が直接担うのは生産性向上であるが、三つの目標に同時かかわりを持つ。「初動」に込められたダイナミズムは「スマート農業」の早期・本格的普及であろう。
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