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(180)古い歴史教科書に見る感染症【三石誠司・グローバルとローカル:世界は今】2020年5月15日

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【三石誠司 宮城大学教授】

ふと思い立ち、本棚から世界史の教科書を取り出してみた。筆者の高校時代は1970年代後半である。当時、実際に使用した教科書は既に手元には無いため、取り出した教科書は30代前半に米国に留学した際、何かの時のためにと思い同じ出版社のものを買い求めたものだ(注1)。それでも既に30年近く前のものになる。

過去、似たようなパンデミックはどのように記されていたのか。例えば、「ユスティニアヌスの斑点」として有名なもの(実はペスト)がある。
言わずと知れた東ローマ帝国でのパンデミックである。6世紀半ばから60年ほど流行が続いたとされている。西ローマ帝国は既に滅び(476年)、東ローマ帝国はユスティヌアヌス1世(大帝)の時代だ。大帝自身も罹患したためこの名前で知られている。
手元にある教科書を見たが、ユスティヌアヌスが登場するのは2回、最初は「ローマ=カトリック教会の成立」という小見出しの項で、「...ビザンツ帝国は6世紀半ばユスティヌアヌス帝のとき、東ゴート王国を倒して一時イタリアを回復したが、その支配は、...」(124頁)という記述である。
次は、「ビザンツ帝国」の項目で「一時的ではあったが、それを実現したのが6世紀のユスティヌアヌス帝である。かれは...(中略)ローマの旧領をほぼ回復し、国内では「ローマ法大全」を集成したほか、首都に壮大なセント=ソフィア聖堂を建て、また中国から蚕卵を得て養蚕をはじめ、絹織物業がヨーロッパにおこる原因をつくった」(132頁)とある。感染しても回復し、しっかりと歴史に残る仕事をしているのはたいしたものだ。。
それにしても、これは非常にざっくりとした記述である。この「一時イタリアを回復」したのがフラヴィウス・ベリサリウスというギボンに「大スキピオの再来」とも呼ばれた有名な将軍である。彼は「用兵の才」に極めて優れ、彼がいなければユスティヌアヌス帝の功績は全く違ったものになると言われたほどである。だが、上司である帝に嫉妬され、戦いには何度も勝利したにもかかわらず、司令官の地位や財産をはく奪されるなど不遇な晩年を送ったと伝えられている。
ヨーロッパにペストが流行したのはちょうどベリサリウスが活躍した時代以降だが、それに関連した記述は教科書にはない。受験勉強の世界史では覚えることが多いため、どうしてもゴシックで記したものくらいになるのだろうが、後にナポレオンなどにも影響を与えたとされるため、ベリサリウスの名前は知っておいてほしい。

その後も小規模な感染が何度か起こったようだが、先の教科書にペストが登場するのはただ1回、14世紀、「封建制・荘園制の崩壊」の小見出しの項である。自給自足の荘園制から農業生産の高まり、都市や商業の発達により、貨幣経済が拡大したという説明がある。そして土地を貸して地代を取る...という流れの中に以下の記述がある。
「貨幣で地代を収めるようになった農民は、生産物を市場に売って貨幣をたくわえる機会を多くもつようになり、しだいに経済力を向上していった。たまたま1348年を中心に黒死病(ペスト)が西ヨーロッパをおそい、農村人口は激減した」(142頁)とある。
これには思わず考えてしまった。ペストが発生したのは「たまたま」ではあるまい。恐らくは都市や商業、そして貨幣経済の発達に伴い、人の移動が活発化・広域化したためであろうというのは新型コロナウイルス感染症の影響を受けていればわかる人は多いのではないか。
より正確に言えば、人の移動が活発化・広域化したことにより、ペスト菌を運ぶ小動物やノミなどが一緒に動いたこと、さらに、恐らくは当時の公衆衛生の水準が低かったためであろうと想像できる。
研究書と異なり、教科書を執筆するのは非常に難しい中で、当時の執筆者たちはかなり苦労したのだと思う。現代の高校生が学ぶ教科書にはどう記されているのだろうか。

注1: 山川出版社『詳説 世界史』、1992年。

  
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三石誠司・宮城大学教授のコラム【グローバルとローカル:世界は今】

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