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継承に警鐘を乱打せよ【小松泰信・地方の眼力】2020年9月16日

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【小松泰信・(一社)長野県農協地域開発機構研究所長】

人種差別に抗議しながら全米オープンに勝利した大坂なおみ選手。表彰式でインタビュアーからマスクに込めたメッセージを問われ、「あなたが受けたメッセージは何でしたか?」とは、リターンエース。もちろん「重要なのは、人々が議論を始めること」と続く誠実な説明に、突き抜けた凄みを感じる。

komatsu_honbun.jpg北方領土問題への珍回答

自民党総裁選に勝利した菅義偉氏、9月15日18時から行われた記者会見で、「ロシアに4島返還を求めていくか」と問われ、「4島の帰属を明確にした上で交渉していく」と珍回答。安倍晋三、森喜朗、両氏に相談することも正直に語った。そして、「プーチン氏は柔道が大好きで、日本の山下泰裕先生が一緒に来れば、交渉がしやすくなると、そういうことを平気で言われるほど、柔道にはですね、親近感を持ってるようで。プーチン氏が訪日したときも全て山下選手に同行いただいたということも事実ですから......」と、耳を疑う回答。
北海道新聞(9月15日付)の社説は、「4島の帰属問題を解決するためにロシアと交渉するという政府方針を理解しているのか疑問だ」とし、「にわかにポスト安倍の本命となり、本格的な政権の準備ができていない証左ではなかったか」と、不安視する。

パワハラ宣言と継承する「負の遺産」

13日のフジテレビ番組で、中央省庁の幹部人事を決める内閣人事局に見直すべき点はないと明言し、政権の決めた政策の方向性に反対する幹部は「異動してもらう」ことを強調した。意見具申も、逆提案も、もちろん諫言も受け付けないとすれば、立派なパワハラ宣言。か弱き役人をどこまで萎縮させれば気が済むのだろうか。忖度(そんたく)官僚をのさばらせ、第二第三の赤木氏を生み出しかねない問題発言。
秋田魁新報(9月15日付)の社説も、「最近の菅氏について気になるのは、消費税率を巡る発言を翌日に修正するなど不用意な言葉が目立つことだ。それだけではない。中央省庁の幹部人事を握る内閣人事局に関連し、政権が決めた政策の方向性に反対する幹部には『異動してもらう』と強い姿勢をあらわにした。政権が政策を実現しようとするのは当然だ。そのためには法律や制度に精通した官僚の協力が欠かせない。専門的な立場から問題点や課題を指摘することもあるに違いない。だが、それさえも『反対』と受け止めて異動させるようなことがあれば、官僚は本来なすべき仕事をしなくなる恐れがある」と、苦言を呈する。
そして、「安倍政権の『負の遺産』までも継承することは避けるべきだ。政治主導も行き過ぎれば、国民にとってかえって不利益になることを忘れてはならない」と、諫めている。

この人、本当に大丈夫?

「気がかりなのは、菅氏がどんな国を目指すのかが見えてこない点だ」とするのは、神戸新聞(9月15日付)の社説。
「ふるさと納税や携帯電話料金の値下げなど自らが推し進めた個別政策には饒舌(じょうぜつ)だが、中長期的なビジョンは語ろうとしない。外交手腕は未知数だ。その点を討論会で指摘され、『電話協議のほとんどに同席している』などと色をなして反論したのは、自信のなさの裏返しともとれる」と、一の矢。さらに、「縦割り行政、既得権益、前例主義の打破、規制改革」を力説することを取り上げ、それらは「手段であって目的ではない。重要なのは、これによって何を成し遂げるのかである」と、二の矢を放つ。そして「次期首相として、自らの政治姿勢と国のあり方を国民に向けて率直に語らねばならない」と、三本目の矢。
しかし、まともな日本語を語ることができない御仁であることは、この間の討論、記者会見、インタビューなどで国民の多くが知ることとなった。
日頃政治には関心を示さない、連れ合いも、「この人、本当に大丈夫?」と、不安げに独りごちております。

果たせ説明責任

「政策論争は盛り上がらず、長老のぎらついた権力欲と、派閥の勝ち馬に乗る心理だけが目に付いた選挙だった」で始まる、沖縄タイムス(9月15日付)の社説は、菅氏が岸田文雄政調会長と石破茂元幹事長と違って、安倍政権における最大の「負の遺産」、すなわち「果たすべき説明責任を怠ってきた」ことに向き合っていないと指弾する。
そして、「定例の会見で質問を遮断して説明を回避したり、木で鼻をくくったような、はぐらかしが目立った」と指摘し、菅氏の常とう句、「その指摘は当たりません」「まったく問題ありません」「仮定の質問にはお答えできません」を紹介する。もちろん、亡くなった翁長雄志前知事が、氏の言動を「上から目線」だと批判したことも忘れてはいない。
さらに、氏が重用しようと考えている、二階俊博幹事長や麻生太郎氏を取り上げ、「菅氏を含めこの3人に共通しているのは、説明を尽くす姿勢が不十分な点である。党内の風通しをよくし、異論にも謙虚に耳を傾ける姿勢がなければ新政権は長持ちしないだろう」と、忠告する。

『全く問題ない』にこそ問題あり 

やや古い記事であるが、毎日新聞(2017年6月15日付、夕刊)で、想田和弘氏(映画監督)は菅氏の語り方を「菅官房長官語」と名付け、特徴は「コミュニケーションの遮断」と指摘した。コミュニケーションを遮断し、実質的には何も答えないから、ボロを出さないので無敵に見える。相撲に例えて、「土俵に上がらないから負けない」論法とは、言い得て妙。さらに、「問う側が、真摯(しんし)であればあるほど、一方的に遮断されたときの心理的なダメージは大きいはず」と、解説している。
平野浩氏(学習院大教授、政治心理学)は、「会見で繰り返されているということは、許容してきたということ。新聞の見出しも<菅氏 『全く問題なし』>などと、菅氏の発言をそのまま見出しにしてしまう報道も見受けられてきました。でも、それではニュースを見る側は『ああ、問題ないのか』と受け取る恐れがある。『菅氏 正面から答えず』など、意図を伝える努力が求められるはずです」と、報道の問題点と努力すべき方向を提示している。まったく同感。
記事は「発言をしっかりチェックすれば政権側も向き合わざるを得なくなる。『全く問題ない』。いや、そこにこそ問題はあるのだ」と、見事な締め。
NHKなど多くのメディアは、菅氏のスカスカ発言を高等な編集技術を駆使して、正論のように偽装するだろう。真実を伝えようと努力するメディアやジャーナリストと、偽装に惑わされない眼力を持った国民の底力が試される。
「地方の眼力」なめんなよ


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小松泰信氏のコラム【地方の眼力】

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