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「種苗法の一部を改正する法律案」を廃案へ【小松泰信・地方の眼力】2020年11月18日

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「菅氏は同じ事をひたすらしゃべる、答弁する、すなわち『オウム戦法』に徹したのが功を奏したようで、支持率の大きな下落はまぬがれた。どうやら、国民には“善戦”しているように映っているらしい」(小林吉弥氏・政治評論家、日本農業新聞11月15日付)。確かに、共同通信社の世論調査(11月14・15日実施、回答者数1014人)によれば、菅内閣を「支持する」が63.0%、「支持しない」が19.2%となっている。これが“善戦”の証だとすれば、国民も国会も甘く見られたもんだ。

komatsu_honbun.jpg対話を放棄する首相

朝日新聞(11月14日)の社説は、「都合の悪い質問には答えない。どのように聞かれても、用意されたペーパーの棒読みを繰り返す。政治家として、自らの言葉で語ることもほとんどしない。これでは議会政治の根幹をなす『対話』の放棄と批判されても仕方あるまい」「衆参両院の代表質問と予算委員会の計7日間で、首相が『お答えを差し控える』などと、事実上答弁を拒んだのは計62回。テーマ別では学術会議問題の42回が最も多い」ことを紹介した上で、「こんな首相の国会への向き合い方を、与党が『安全運転』と受け止めているのも驚きだ。立法府の行政監視機能の立て直しなどおぼつかない」と、憂慮の念を示す。
今国会も課題山積。「予算委の集中審議や昨年6月以来となる党首討論を開き、議論を深めるべき」とする。

農業者との対話はあるのか

今国会で熟議されるべき法案のひとつが「種苗法の一部を改正する法律案」。
日本農業新聞(11月18日付)によれば、「優良品種の海外流出を防ぐため、品種登録時に『国内限定』などの利用条件を付けられるようにする他、農家による自家増殖に開発者の許諾を必要にするのが柱」とされる同法案は、17日の衆院農林水産委員会において賛成多数で可決された。19日にも衆院本会議で可決し、参院に送付される見通しである。なお、農家の負担増への懸念を踏まえ、「種苗の適正価格での安定供給、自家増殖の許諾手続きの適切な運用などを政府に求める付帯決議」も採択された。
神戸新聞(11月14日付)の社説は、「開発者の権利を守ることに異存はない。それには海外での登録促進や不正栽培の監視などの対応を格段に強める方が効果的ではないか」とする。
そして、主要農作物である米、麦、大豆の種子の安定的生産及び普及を促進するために制定されていた「主要農作物種子法」を2018年4月1日に廃止したことと重ね合わせて、「農水省は小規模農家や食の安定供給を軽視している、と農業者が不安に思うのもうなずける」と、農業者の視点を強調する。
さらに、種子法廃止を受け兵庫など20以上の道県が、公共の種子を守る条例を設けたことと、種苗法改正についても三重県議会や札幌市議会などが慎重審議を求める意見書を可決済みであるなどを取り上げ、これらの動きを「政府は真剣に受け止め、農業者との対話を重ねる必要がある」と、対話を求めている。

 
開発者重視がもたらすもの

信濃毎日新聞(11月16日付)の社説は、「改正によって農家が高い許諾料を払わされたり、少数の大手メーカーが種の供給を支配する方向に進んだりしないか。農業関係者の間に強い懸念がある。(中略)問題は農業の将来を大きく左右する。国民の理解も深まっていない。立ち止まり、改正の影響と効果を十分に論議すべきだ」と、熟慮を促す。
さらに、問題を「作り手重視か開発者重視か」と捉え直し、開発者が公的機関ではなく民間企業それも大企業となることを想定し、「農業の多様性が失われていく事態を想起するのも、杞憂(きゆう)とは片づけられまい」と、展開する。
相手国で品種登録を進めることを効果的な海外流出阻止策とし、政府に「開発者に海外での登録を促し、ノウハウの支援などに力を注ぐ」ことを求める一方で、「それぞれの地域の風土に合った農業を育てる姿勢が、政府に欠けている」と、指弾する。
そして、今求められているのは、「農家の視点」からの種子関連政策の見直し、とする。

脅かされる「食料主権」

日本農業新聞(11月16日付)の論説は、「種や苗を次期作に使うことは国際的にも認められた『種の権利』である。現行法でも自家増殖した種苗の海外への持ち出しは違法だが、なぜ登録品種全般に許諾制の網を掛けるのか」と疑問を呈する。
流出防止の核心は、「同省も認めているように輸出国での品種登録」として、「海外での育成者権の行使に向け包括的な支援の充実こそ急務」とする。
加えて、「改正案は『食料主権』に関わる内容を含むだけに、幅広い利害関係者の意見もくみ取りながら、将来に禍根を残さない慎重かつ徹底した審議」を求めている。
東京新聞(11月17日付)の社説も、「農業競争力強化支援法は、民間の参入意欲を高めるためとして、自治体が持つ種苗生産のノウハウを民間に開放するよう求めており、それに基づいて、都道府県に米などの優良品種の開発を義務付けた主要農作物種子法を廃止した。公共の安価な種子がいつまでも手に入るという保証はない。(中略)種子の購入量が増えることで、海外の種子メジャーによる市場支配が進み、農家が痛手を受けるのではという不安の声も多くある」として、この法改正が「多くの農家にとって不安の種になっているという現状を直視して、さらに議論を尽くしてほしい」と、訴える。

ネタはあがっている

知的財産戦略本部による『知的財産推進計画2017』の36頁には、(育成者権の効力拡大)として「育成者権者の正当な利益を確保することで、新品種開発を促進するため、種苗法において原則として育成者権の効力が及ばない農業者の自家増殖について、農業生産現場への影響に配慮しつつ、育成者権の効力が及ぶ植物範囲の拡大を図る。(短期・中期)(農林水産省)」と、明記されている。
さらに、2017年12月26日に開かれた「検証・評価・企画委員会産業財産権分野会合」(第2回)で、農林水産省知的財産課長は、自家増殖の問題点のひとつとして、「自家増殖を認めると、果実などは1本苗があると永久に自分で増殖できることになり、なかなかビジネスの対象になりにくいということなので、自家増殖が認められている分野については、民間の参入が非常に阻害される......」と報告している。
農水省が、農業者の権利縮小、種苗育成者の権利拡大を目指して、「種苗法の一部を改正する法律案」を提出していることは明らかである。農水省の農業者軽視の姿勢を糺し、我が国の「食料主権」を確立するために、同法案は廃案にすべし。
「地方の眼力」なめんなよ


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小松泰信氏のコラム【地方の眼力】

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