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慌てるなかれ川辺川ダム【小松泰信・地方の眼力】2020年11月25日

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川辺川ダム:日本三大急流の一つ、熊本県の球磨川で、支流の川辺川にダムを建設する計画。球磨川流域で相次ぐ水害を受け、国が1966年に計画を発表した。建設賛成派と、水質悪化などの環境破壊を懸念する反対派が対立してきた。用地買収はほぼ完了したが、熊本県の蒲島郁夫知事が2008年9月に計画反対を表明し、翌09年9月に当時の民主党政権が中止方針を示した。今年7月の豪雨で球磨川が氾濫し、ダム計画を巡る議論が再燃。国は10月、仮にダムが建設されていれば、人吉市の浸水域が約6割減少したとの検証結果を公表していた。(西日本新聞11月20日付の「ワードBOX」より)

komatsu_honbun.jpg「脱ダム」から「ダム容認」へ

蒲島知事は11月19日の熊本県議会全員協議会で、最大支流の川辺川へのダム建設を容認する考えを表明した。「命と環境を守ることを両立させる」との考えに立ち、現行の貯留型ダム計画の廃止と、環境に配慮した「新たな流水型ダム」(穴あきダム)の建設を国に求めるとのこと。2008年の「脱ダム」から、ダム建設を前提とした「流域治水」への転換である。
建設通信新聞(11月24日付)によれば、蒲島知事が20日、赤羽一嘉国土交通相と国土交通省で会談し、貯留型としていた川辺川ダム建設計画の完全な廃止や、それに代わって環境に配慮した流水型ダムの川辺川への建設などを要請した。赤羽国交相は「国として全面的にしっかり受け止めたい」と返答し、流水型ダム建設の検討を速やかに始める考えを示した。今後は、国、県、市町村が2020年度末にまとめる球磨川流域治水プロジェクトに流水型ダムの建設を位置付けるとのこと。
ダム完成までには長期間が予想されるため、河床掘削や堤防整備など、早期に着手可能な対策もハード・ソフト両面から必要と訴える蒲島知事に対して、赤羽国交相は「命と環境は大事な視点だ」と同調し、「しっかりとスピード感を持って検討に入らせてもらう」と答えた。早期の事業化に向け、環境アセスメントも効率的に進めるとのこと。

民意が割れているなかでのダム推進

熊本日日新聞(11月20日付)の社説は、「ダムの白紙撤回後、蒲島知事・流域首長・国交省は、長期間ダムによらない治水策を協議しながらついに結論を出せなかった。結果的に、死者50人を出す惨事を迎えてしまった責任は極めて重い」と指弾する。
そのうえで、仮にダム建設に進むとしても完成までに10年前後の年月がかかるので、「早急に実施できる治水対策の方が重要になる。何よりも来年、再来年といった目前の出水期に備えなければなら」として、今すぐ実施可能な対策に全力を傾け、流域住民の不安を和らげることを求めている。
また、ダム容認に変わった理由として「民意」をあげているが、次のことから民意が割れていることを示唆している。
まず、12年前に蒲島知事がダム計画を白紙撤回した際に同紙と熊本放送が行った電話世論調査では、流域住民の82.5%が知事の決断を支持。不支持は13.9%。
今年10月、共同通信が実施した流域7市町村の住民アンケート(300人面接)では、川辺川ダムを「必要」が29%、「不要」が34%、「どちらとも言えない」が37%。賛否を巡って依然として意見が大きく割れている中で、ダム建設推進にかじを切ったことに疑問を呈している。
同紙(11月13日付)の社説では、知事が出席した流域住民らを対象にした意見聴取会でも、「住民らからはダムの賛否だけでなく、堤防強化や川底掘削などダムによらない治水を求める声も多く挙がった。ただ、知事は意見聴取を終える前から『民意は大きく動いていると感じている』と述べた」ことから、「住民らが『ダム容認の材料を集めているのでは』といぶかしがるのも無理はない」として、「民意の捉え方について、住民が納得できるよう説明を尽くすべきだ」とする。
国交省、県、市町村による球磨川流域治水協議会が本年度中に具体的な対策をまとめることになっているが、その協議会は「住民参加を想定していない」ので、「民意を反映させるためにも、住民を交えて議論する場を置くべきだ」と提起している。

根拠不十分の決断

「決断の根拠は不十分だ」とするのは、毎日新聞(11月20日付)の社説。理由としてあげられているのが次の3点。
(1)国が出した「浸水範囲を6割減らせたとの推計」の前提は貯留型ダム。流水型ダムでの算定し直しが必要。
(2)環境への影響を懸念した反対の声も少なくなく、民意は割れたまま。
(3)国内最大規模となる流水型ダムが、川辺川の清流に与える影響は不透明。
こうした疑問点について、住民の懸念に応えるような説明を求めている。
国は、ダムや堤防だけに頼る治水には限界があるという認識に立ち、地域ごとに、遊水地の活用や移転の促進、避難計画策定などハード、ソフト両面の対策を組み合わせ、総合力で災害に対応する「流域治水」という新たな考え方に転換している。
球磨川流域についても、素案を策定中だから、まずはそれに基づいたビジョンを提示すること。それをたたき台にして、「ダムは必要か、必要なら役割をどう位置づけるかを検討」し、「他の治水対策が止まることがあってはならない」とする。

ダム建設にスピード感は無用

「拙速の印象が拭えない判断である」で始まる日本経済新聞(11月19日付)の社説は、「一日も早い対策を求める地元の気持ちはわかる。だが、被災の記憶が覚めやらぬうちに長期にわたる対策の是非を判断すると、将来に禍根を残すというのが多くの災害で得た教訓だ」として、「川辺川ダムの是非は総合的に検証したうえで結論を出すべき」と、警告する。
国が「ダムがあれば浸水は6割減ると試算した」ことを、「推進したい国の試算は過大になりがちだ」とは日経らしくない?
「『ダムがあれば安心』との空気が広がれば総力戦が必要な流域治水を妨げかねない」と、その動きを戒めている。
しかし、気象変動への危機感以上にダム建設を急がせるクラスターが存在する。
ひとつは、「ダム事業が再開できるこの機会を逃すべきではない」とする官僚。(西日本新聞11月11日付)
もうひとつが、建設業界。もちろんダム受注の機会をうかがうゼネコン。地元建設業界は、ダム本体建設の受注能力がないためうま味はないが、「国に逆らえない。国交省がダム推進なら、全力で付き合うしかない」そうだ。(熊本日日新聞11月18日)
西日本新聞(11月24日付夕刊)によれば、蒲島知事は11月24日に面会した流域自治体の首長に、「スピード感を持って、国や市町村と一体となって進める」と語っている。
蒲島氏の、12年間の空白を埋めようとするスピード感あふれる「堰を切ったような」言動は、本当に縁起でもない。
「地方の眼力」なめんなよ


本コラムの記事一覧は下記リンクよりご覧下さい。

小松泰信氏のコラム【地方の眼力】

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