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日英EPAでのTPP越え・日EU越えは?【近藤康男・TPPから見える風景】2020年12月10日

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【【近藤康男「TPPに反対する人々の運動」世話人】】

進む多国間協定のスパゲッティ状態

11月15日にASEAN10ヶ国と日・中・韓・豪・NZがRCEPに合意署名をした。これで日本は日英EPAに続き25の国・地域との間で20の貿易協定EPA/FTA(外務省資料からTPP12を除外)を締結あるいは合意したことになる。日本の貿易のほぼ79%がカバ-されることになるそうだ(20年11月外務省・我が国の経済連携協定等の取り組み)。ASEAN(10ヶ国)との協定、TPP11(日本+6ヶ国が承認)、RCEP(日本+14ヶ国)など大型の多国間協定があるにしては相手国が少ないようだが、TPP11のカナダ、RCEPの中国・韓国を除くとASEAN関連の国及びNZ・豪州とはどれかの協定で重なっているためだ。
言い換えれば、色々な協定に同じ国が参加し重なり合い、異なる関税・ル-ルがスパゲッティのように絡み合い、それぞれの協定の整合性が歪んでしまっているとも言えないだろうか? また実際のEPA/FTAの貿易面での活用率は79%より相当に低いと推察される。

ル-ル分野での日EU・EPAのTPP越えは?

前回のコラムで農産物の対日市場アクセスでは、いくつかの品目で日EU・EPAにおけるTPP越えの内容が、そのまま日英EPAに入ってきていることを紹介したが、ル-ル分野ではどうか? 地方の暮らし、地域主権、公共性に関係の深い国有企業、政府調達の分野について触れたい。一言で言えば、自由競争がTPP以上に地域・公共に拡大している。
まず日EU・EPAのTPP越えを検討したい。国有企業章については、TPPでは国会審議において、対象となる国有企業名が明らかにされ、また協定では過度の商業的な運用から守るべき対象企業を外す留保が認められていた(日本だけは留保せず)が、日EU・EPAでは明確な規定もなく、どの企業が対象とされるか公表もされていない。内外の企業を商業ベースで運営し平等に扱うという規定の除外についてはサービス貿易・投資の自由化・電子商取引の章の付属書で国レベルがカバ-する業種の様々な分野を国有企業章でも除外適用とする規定となっているが、意味のある内容はあまり見られず、病院・郵便・空港・道路など見当たらないし、除外される業務内容も限定的だ。筆者の見落としもあるかもしれない。
一方でTPPでは5年後の見直しとされ、日EUの交渉でも16年9月時点では日本側が除外を主張していた地方自治体の公有企業までが、"全ての段階の政府の"として対象となったし、その際に除外すべきと主張していた独立行政法人も対象に組み込まれた。
※TPPと異なり、経営支援に当たる非商業的援助の禁止規定は日EU・EPAには含まれていない。

政府調達も中核都市、公立の教育・研究機関や病院まで市場アクセスが拡大された。この点は意見交換の場で、政府もEU側の強い姿勢に押されたことを認めていた。そして対象の調達分野もTPPやWTOの協定以上に拡大されている。

では日英EPAにおける日EU・EPA越えはどうか?

日英EPAのルール分野は、概ね日EU・EPAを踏襲したものとなっている。以下、いくつか異なる点を紹介する。
日英EPAの国有企業章の7条1項の、中央政府については発効6ヶ月以内に企業名を公表・提供する、という規定は日EU・EPAには無い内容だ
TPP、日EU・EPA双方と大きく異なる点は、新NFATA・日米デジタル貿易協定に準じて、デジタル分野で企業へのソ-スコ-ド開示要求の禁止に加えてアルゴリズム(コンピュ-ターソフトで結論に導く手順)の開示要求が禁止された。巨大IT企業が先行して既成事実化した社会の枠組みを国の規制が追いかけることが続いている中で、ブラックボックスが肥大化し、人権・公共・公正さに関わる社会的規制を弱めることに繋がりかねない。
また、進出企業に対するコンピュ-タ-関連設備設置要求禁止において、TPPや日EU・EPAに無かった金融サービス分野が追加された。
ISDS条項を含まないのは日EU・EPAと同様だが、日英EPAでは一方の国がISDS条項を含む協定に加わった場合には見直しが可能、との規定が8章・5条(見直し)に入っていて少々怪しげだ。

TPP越えやTPPマイナスが絡まった日英EPAの締約国の英国が、日本の後押しでTPP11に参加した場合、貿易以外のルール分野では小手先の調整で済まない内容も想定されるし、農産物の対日市場アクセスでは、日英EPAでの中途半端な妥結の見直しを求める可能性も予想される。日本は未だに乳製品の低関税枠や肉類の緊急輸入制限で日米貿易協定とTPP11・TPP12の矛盾(実質的な輸入枠拡大)を整理出来ていないし、TPP11で日英EPAと日EU・EPAとの矛盾の調整を迫られるかもしれない。
またISDSについても、日英と他の締約国との軋轢が生じかねない。規定にISDSはあるものの、既にTPP11では5ヶ国がISDS除外ないし慎重に取り扱う文書を交わしている。

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