コロナ感染症 内部統制の視点からみた対応 繩手誠 三重県JAいがふるさと常勤監事【リレー談話室・JAの現場から】2021年1月16日
新型コロナウイルス感染症(以下、新感染症という)拡大防止のため、私たちの暮らしや仕事の進め方に大きな変化を余儀なくされました。JAいがふるさとでも事業目標の変更や3密を避けるためのルールの策定などを行いました。新感染症の拡大を最小限に抑える対応策を、内部統制の観点から評価することは重要なことですが、新感染症への対応は広範囲で多種で難しいものです。
多種・複雑なものを分解・整理するためのツールとして、「COSO(トレッドウェイ委員会支援組織委員会)の内部統制フレームワークがあるので、このフレームワークに当てはめて、各種の対応を評価しました。このフレームワークには、「統制環境」「リスク評価」「統制活動」「情報と伝達」「モニタリング活動」の5つの構成要素と、それを支える17の原則があります。以下、このフレームワークに当てはめ、JAいがふるさとが執った対応策がどうであるのかをみていきます。
「統制環境」の原則に、「誠実性と倫理観に関するコミットメント」や「組織構造と報告経路の権限と責任の確立」があります。当JAでは、昨年3月に新感染症対策本部を立ち上げました。新感染症への対応は、当然、初めての経験なので、既存の「大規模地震災害対策本部設置要領」を読み替え、連絡経路などを再確認しました。この対策本部で対応の基本方針を決め、部門ごとの対応策をまとめ、役職員に公開しました。
「リスク評価」の原則に、「当該リスクの管理の仕方を決定するための基礎として、リスクを分析する」「リスク評価において不正の可能性を検討する」があります。万が一、新感染症が部署で発生した場合の対応策や対面業務、閉鎖的な空間での業務など感染のリスクを洗い出し、スクリーンや換気の対応策を決めていきました。ただし、業務手順を変更しなかったので、手順変更に伴う不正の可能性は検討しませんでした。
「統制活動」の原則に、「リスクを許容可能な水準まで低減するのに役立つ統制活動を選択し、整備する」「内部統制を支援するテクノロジーに関する全般的統制活動を選択し、整備する」があります。感染のリスクを特定し、部門ごとに対応策をまとめ、実行してきました。
しかし、対策本部立ち上げ当初では、WEBカメラが入手できない、ZOOMのライセンスが取得できないなど、新たなテクノロジーの導入については、遅れましたし、役職員も慣れが必要でした。会議などは"3密"を避けるため、「必要最小限の人数で行う、換気に十分気を付ける」などの対応をしました。
「情報と伝達」の原則に「関連性のある質の高い情報を入手し、または作成し利用する」「内部統制が機能することに影響を及ぼす事項に関して、外部の関係者との間で情報の伝達を行う」があります。私たちの地域の新感染症の情報入手と情報に対する職員の行動の対応を都度行ってきました。また、万が一組合内で新感染症が発生した場合の報告ルートも明確していました。
「モニタリング活動」の原則に「内部統制の構成要素が存在し、機能していることを確かめるため、日常的または独立的評価を選択し、整備・運用する」があります。人との接触をなるべく避けるため、職員が組合員・利用者に文書を渡す場合はポスティング、面談が必要な場合は事前に連絡を取っていきました。組合員・利用者からの評価は悪くはありませんが、業務への影響度評価はこれからです。
「フレームワーク」に当てはめてみると、弱点も見えました。在宅勤務など新しい働き方が提案されてきました。しかし、当農協の規定では職場のパソコンからデータを持ち出せないので、在宅勤務は不可能です。仮に持ち出しを認める規定に変更しても、大量のデータを安全に送る通信環境がありません。ウイズコロナの時代に、働き方の柔軟性に課題が見えてきました。みなさまも一度この「フレームワーク」に当てはめて、対応を評価してはいかがでしょうか。
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