店舗での「デジタル組合員面談」活動を検討しよう!【JAまるごと相談室・伊藤喜代次】2022年7月12日
最新の選挙「出口調査」で教えられたこと
A・ライフ・デザイン研究所
代表 伊藤喜代次
参議院選挙2日前、安倍元首相銃撃という凶悪事件が起きました。政治的な背景は薄いようですが、事件は自民・公明に追い風となったようです。自公で過半数を大きく上回る結果。有権者が一票に託した課題に、与野党の枠を超えて、建設的な議論を期待したいですね。
ところで、投票日の1週間ほど前、期日前投票に出かけ、投票後にNHKの腕章をした調査スタッフに声をかけられた。「出口調査」です。NHKの選挙報道において、出口調査は「当選確実」をいち早く打つために重要です。
調査方法は、渡されたタブレットにタッチペンで記入する方式。属性(性別、年齢)に加えて、支持政党、投票した候補者名、政党名を選択します。さらに、重視する政策についての質問が続き、項目から選択していきます。最後には、東京都政に関する複数の質問項目がありました。時間にして4分ほど。
タブレット端末での調査は、何よりスピーディです。しかも、質問がわかりやすいので、入力中、ほとんど調査スタッフとの会話を必要としませんし、覗き見ることもありません。
この端末での記入は、エラーが生じる危険性がきわめて少ないので、紙ベースでのアンケートの入力ミスなどのエラーチェックは不要、集計・分析は驚異的なスピーディさです。
確認はとっていないが、たぶん、この調査の方法は、新型コロナウイルスの感染対策もあり、相当な検討と工夫が重ねられたことと推測されます。とくに質問内容やその選択肢には、もっとも時間を要したと思います。いずれにしても、デジタル化した出口調査の進化は、画期的な効果と効率化をもたらしたといえます。
調査スタッフに逆質問した結果、この会場では4日間の調査、1日平均100人前後だといいます。年齢層のバラツキを考えて声をかけていたようです。1会場で合計400人の調査票があれば、大接戦でない限り、統計学上の誤差は5%といわれます。テレビの開票速報が始まって1分も経たずに「当確」が打てるわけです。
支店窓口での「デジタル組合員面談」を検討しよう!
さて、この出口調査の体験は、私の仕事にいくつかのヒントをいただきました。
JAの支店の来店客数は、コロナ禍の影響で、大きく減少しています。毎年調査を実施しているJAの例をみると、2年前に比べ、約3割強の減少で、職員の訪問軒数も減少しています。
コロナ感染者数の減少が顕著な5月末以降、従来通りの組合員対応が可能な環境となりましたが、来店客数は戻っていないようです。訪問活動を再開させ、組合員組織の集まりも復活しているようですが、コロナ感染前とは「変化」が明らかで、新たな対応が求められます。
といって、毎日の支店の窓口業務では、組合員・利用者と面接し、話を聴く機会が持てない状況にあることは否定できません。といって、このままでは支店の対応に、新たな行動変化を期待することはできません。
そこで、「デジタル組合員面談」の実施を検討したいと思うのです。コロナ禍で変化した来店者とのコミュニケーション、訪問活動やアプローチについて、自信をもって行動できる考え方、方法を研究したいですね。
そして、JAにとっての最大の財産である組合員との「関係性」強化の課題は、組合員の将来の暮らしに対する考えや不安、課題をしっかりと確認する作業です。そのための組合員情報の収集手段、検討方法のアイデアを詰めていってほしいものです。
JAは人の組織で、地域に根ざした組織です。事業活動は、組合員・利用者との対面型が前提であり、ダイレクトに組合員の現実的な要望や具体的な要求に耳を傾け、それに応えることができてきたからこそ、組合員・利用者の身近に存在し、「生涯のパートナー」の役割を担ってきたのです。
JAの組合員との関係性強化の再構築には、組合員接点である支店や事業所でのデジタル面談活動が必要です。来店していただいた組合員のなかから、事業利用度、事業併用度の高い方から時間をいただき、タブレットを活用した質問と面談で、組合員の今後の暮らしや具体的な生活行動についての考えや不安を拝聴することです。
タブレットでの質問は、3パターンか4パターン用意します。たとえば、農地を持ち農業を営む組合員、農業以外の収入依存度が高い組合員、高齢の一人・夫婦世帯の組合員、子育て中の組合員など、対象を分けるのも一法でしょう。
組合員を一律に考えず、多様性を理解したうえで、対応方法だけでなく、課題解決への提案、アプローチの内容や深度など、具体的に検討できる確かな材料を俎上に乗せることが急がれます。
◇ ◇
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