美食の街のテーマパーク「FICO」を訪ねて ローマ在住ジャーナリスト・茜ヶ久保徹郎【イタリア通信】2022年7月16日
中部イタリアのエミリア・ロマーニャ州は、生ハムからチーズ、手打ちのパスタからバルサミコ酢、ワインなど、美味しいものだらけのイタリアでも特に美味しいものが多い地域です。日本から来たばかりの人が州都ボローニャに住むと、食べ過ぎや飲み過ぎで肝臓を壊すと言われています。
会場外観
2015年にミラノで開かれた食のEXPO「地球に食料を、生命にエネルギーをーFeeding The Planet,Energy For Life」は大好評で、2000万人が訪れました。特に日本館には200万人が入場し、長い列ができて10時間待ちの日もあったそうです。
この影響でボローニャ市の郊外に、2017年、食と農業のテーマパーク「FICO」が作られました。目的はもちろん事業として採算をとることですが、「EXPO2015」の理念「飢餓、食料安全保障、生物多様性」を引き継ぎ、人々、特に子供たちに食べるものがどのようにして作られるかを知ってもらうことが掲げられています。園内では牛や羊などの動物が飼われ、沢山の種類のブドウや果物の木が植えられています。
会場内の様子
コロナウィルス禍でしばらく休園となってしまいましたが、2021年7月に再開され、現地を訪ねてきました。改めてイタリア食品のすばらしさを見てもらうために、30の遊戯設備、7つのテーマ、レストラン26軒、そして60カ所で料理などの味見ができるように改良されていました。
手打ちパスタを習う来場者
13軒のレストランはパスタ、肉、ピッツァ、魚、ハム・ソーセージ、チーズ、トリフなどを専門とし、同じ食材を扱わないようにしています。
そして他の13軒はサンダニエレ・生ハム、アブルッツォ地方の肉の串焼き、ロマニャ地方のピアディーナ・ピッツァ、シチリアのスイート、地ビールといった色々な地方の特色のあるストリートフードが味わえます。
広い会場には、パスタやモルタデッラ、ワインやオリーブオイルなどの大きな模型が置かれており、そこで手打ちパスタを作ったり、チーズやハムを作ったりしているところを見ることができ、子供たちは遊びながら食品ができるまでを体験できます。
フォルッツォさん・モニカさん夫妻と友人
会場で出会ったフォルッツォさん・モニカさん夫妻はオーストリアとの国境に近いアルプスの町メラーノから一泊旅行で訪問。
「2017年に来た時にとても楽しかったのでまた来ました。私たちが住んでいるメラーノはドイツ語圏でドイツ料理やビールが美味しいのですが、ここでは色々なイタリアの料理を味わうことができます。前回たずねた後、友達に話したらぜひ行きたいというので、すぐに来ようと思いましが、コロナ禍でストップしてしまい、再開したのですぐに来ました。今回も色々と味見をしています」と楽しそうに話していました。
ボローニャ料理を提供している店の人に「なぜ出店しているのですか」と尋ねると、「客が沢山入るから採算がとれる」との答え。
出店の条件はイタリアの食材を使った特徴あるイタリア料理を提供し、FICOの方針に賛同していること。家賃は不要で売り上げの一部を徴収しています。コロナ禍で閉鎖中は家賃を払う必要が無かったので再開を待つことができたそうです。
FICOはグリーンな経営を目指し、55000平方mの施設の屋根に設置した太陽電池で消費電力の30%を賄い、冬はボローニャ市のごみ焼却炉からの熱で暖房をしています。
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