シンとんぼ(8)化学農薬使用量の50%低減2022年9月3日
前回までに、ADIとは何か、それに基づく農薬の使用基準がどのようにして決まるのかシンとんぼが勉強した内容をご紹介したのだがご理解いただけたであろうか? そもそもADIを少し掘り下げて紹介したのは、みどり戦略における農薬使用量半減に向けた指標にADIが使用されているためである。
みどり戦略では、ADIの値によってリスクの度合いを「リスクが大きい成分」、「リスクが中くらいの成分」、「リスクが小さい成分」の3段階に分け、それぞれに1、0.316、0.1という係数を与えて2019年の農薬成分別出荷量を掛け、リスク換算トンとしている。
つまり、リスクが大きい成分(=ADIの小さいもの)の係数を大きくして、リスクの大きい成分から使用量を減らすようにする狙いがあるようだ。実際、農水省発表の資料をもとに整理すると、「リスクが大きい成分」には131成分あり、そのリスク換算トンは17,409トン。同様に「リスクが中くらいの成分」には215成分あり、そのリスク換算トンは4,927トン。最後に「リスクが小さい成分」には70成分あり、そのリスク換算トンは993トンとなっている。このように、リスクが小さい成分と中くらいの成分の両方を足しても5,920(=4,927+993)にしかならず、2050年削減目標の11,665トン(=リスク換算トン合計23,330トンの半分)の半分にしかならない。ということは、削減目標を達成するためには、リスクが中~小の成分をできるだけ残し、リスクが大きい成分を切り替え、もしくは削減していかなければならないことになる。
乱暴な言い方をすれば、ADIが小さくて出荷量が多いものを削減もしくは他の方法に切り替えていけば削減効果も多くなる。ただし、ADIが小さいものには、土壌消毒剤や除草剤などが含まれており、作物の収量、品質維持に不可欠な成分も多く含まれるようだ。
例えば、土壌消毒剤を減らそうとすれば、果皮保護など必要不可欠な分野を特定して温存し、土壌還元消毒など農薬以外の方法と代替可能な作物から切り替えていくなどの努力が必要になるので、試験場やJAなどの指導を仰ぎながら産地全体で知恵を出し合う必要があるだろう。
ただ、水稲用除草剤など、作物への残留はほとんどゼロにも関わらず、ADIは小さいという成分もある。これは、実際に口に入るリスクはほとんど無いにも関わらず、リスクが大きいグループに設定されている成分があるということだ。リスク換算トンを考える上では、実際のリスクとの兼ね合いも考慮した方が良いのではないだろうか?
あるとすれば、環境影響リスクではあるが、リスク値を設定するのがさらに難しくなるので、消費者含む一般には、農水省のいうとおりリスク換算トンを活用する方がわかりやすいのだろうな。ただ、前にも言ったが、さんざん沢山の試験を重ねて、人畜への安全性や環境影響をしっかりと確かめてある農薬を半分に減らすことが、安全性確保や環境影響減少にどの程度貢献できるのか結局わかる材料は残念ながらなかった。「何故に50%減?」という答えを見いだせない中途半端な状況ではあるが、生産量への影響を最小にしつつ目標達成できることを願っている。
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