職場・チームでサービス資質向上につなげよう!【JAまるごと相談室・伊藤喜代次】2022年10月11日
組合員がJA職員の良いところを磨いてくれる
A・ライフ・デザイン研究所
代表 伊藤喜代次
突然ですが、JA職員の良いところは、どんなところでしょうか。
「正直でウソをつかないこと」、「誠実さ」、「親切なこと」。これは、15年ほど前、あるJAのコンサルで、組合員のみなさんに、職員の良いところを教えてください、というアンケートに答えてもらった結果です。
たしかに、JA職員の"三大良さ"、「正直」「誠実」「親切」はとても貴重なことで、組合員のみなさんの、JAの事業や商品に対する信頼度を高めますし、職員の話をしっかりと聞いてくれる要素でもあるのでしょう。しかも、この"三大良さ"は、教育してできることではありません。個々の職員が持っている人柄や性格に関わることが多いですし、育った環境も影響しているでしょう。
いずれにしても、貴重な財産をもつ職員なわけです。こうした職員が、JAの事業や業務を担っているのですから、JAに対する信頼や評価も高い、というわけです。JAは、こんな職員の良さを活かすことより、ひたすら事業推進の手足としての活動を期待し、上から目線で商品研修・業務研修中心の職員育成を行ってきたのです。
また、JA職員の貴重な財産である"三大良さ"は、ずーっと前の話だという関係者もいます。農家の子弟がJAに就職していた時代、1980年頃までのJAであれば、たしかに、「正直」「誠実」「親切」の良さはあっただろう。JA組織も小さく、日々接する組合員やその家族、JAの役員も先輩職員もみんな自分のことを知っていて、両親・家族まで知られている。だから「良い職員」であることが当たり前だったというのです。
現在は、農家の子弟がJAに入職してくる割合はきわめて少ない。都市部では、そもそも農家が少ないので、新入職員で農家の子弟はゼロというJAがあっても不思議ではないのです。
とはいえ、私は、農家の子弟の職員は少なくなっていますが、現在のJAにも、前述した"三大良さ"をもっている職員が多い、まだまだ捨てたものではない、と思っています。この良さは、これからも大事にし、発揮してほしいと思っています。
こうしたJA職員は、特別に教育を受けたわけではありません。職員に良い影響を与えているのは、組合員のみなさんであると思います。組合員のみなさんの日々の営農や暮らしに触れるなかで、職員の「気づき」「思考と行動の変化」の連鎖を生んでいると考えています。
こだわりのショップやガイドブックに載るレストランなどのオーナーさんは、「ここで働く優秀なスタッフは、お客さまに育てられた」という話をします。顧客とスタッフのコミュニケーション、やり取りが、いかにサービス業の資質にとって大切なことか。JAも例外ではないと確信しています。
職場のチーム活動で、職員・サービスの資質を高めよう!
上述したJA職員の良さは、個人に備えられている素質や性格によるとことが大きいと考えますが、サービス力の高い職場や個々の職員の資質を高めるためには、職場のチームとしての力が必要です。ここが、JAの職場に不足している活動ではないか。
本コラムでも、再三、指摘しているのですが、JAでは、職場内での職員同士の意見交換、ミーティング、ミニ研修などがほとんど行われていないか、行われていても時間が少ないのです。私も多くの"優良"と呼ばれるJAのコンサルティングをしましたが、この点に関しては、"並み"のJAのようです。朝礼の時間は短く、全員が30秒程度の話をして声のトーンや元気度のチェックを行うなど、職員の意識の高揚を図る工夫がないのはとても残念です。
もっと残念なのは、組合員や利用者から指摘されたこと、質問されたこと、提案されたことなどの情報を収集・管理し、活用していないことです。アナログのノートに記録するという時代ではないので、JA組織全体で共有するサイトとか掲示板を用意し、組合員・利用者の声を活かす仕組みを広げてほしいです。
職員ひとり一人が、商品や業務に関することについて学習でき、組合員との会話内容で重要な話題を記憶するなど、収集した情報の活用は至難なことです。それを、チームとして取り組み、システムとして整理し、活用できるとしたら、もっともっとJAの職員に対する評価は上がるでしょう。
"三大良さ"に加えて、JA職員としての資質を上げることは、JAのサービス力への評価とともに、組合員・利用者の好感度、満足度も高まること請け合いです。
これからは、組合員訪問活動はとても重要ですね。JAの事業利用度が高く、組合員組織の活動への参加度の高い組合員に対して、たくさん話を聴かせてもらう活動を強化してほしいですね。確実に、JAの事業と経営への貢献につながります。
◇ ◇
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