【鈴木宣弘:食料・農業問題 本質と裏側】命の源の食料を守るためにやるべきこと2023年1月5日
もう一度、命の源の食料を守るために、今こそ、国民がやるべきことをまとめてみよう。
命の源の食料を守るために
生産、流通、小売、消費、関連産業の「運命共同体」を強化し、「今だけ、金だけ、自分だけ」脱し「三方よし」の持続的循環経済を公共支援もセットで確立しよう。
流通・小売は買い叩きをやめよう。農家潰れたら自分も持続できない。
消費者は安ければよいをやめよう。農家潰れたら食べるものなくなる。学校給食やレストランも含め、安全・安心な農産物を食べて支えよう。
農協・生協は政府がやらないなら自分たちが農家・消費者を守るから心配するなと「最後の砦」になろう。
世界一保護なしで踏ん張ってきた底力に農家は自信と誇りを持とう。
国は国家安全保障として、欧米並みの「最低価格による買上げ」「国内外の人道支援による需要喚起・出口対策」 、「赤字補填」に財政出動しよう。食料危機が迫るのに減産要請で農家の意欲を削いで、生産基盤を壊している場合か。
農家の踏ん張りこそが希望の光
食料危機と深刻な農業危機が同時に到来しているが、農の価値がさらに評価される時代が来ている。今を踏ん張れば、未来が拓ける。特に輸入に依存せず国内資源で安全・高品質な食料供給ができる循環農業を目指す方向性は子供達の未来を守る最大の希望である。
世界一過保護と誤解され、本当は世界一保護なしで踏ん張ってきたのが日本の農家だ。その頑張りで、今でも世界10位の農業生産額を達成している日本の農家はまさに「精鋭」である。誇りと自信を持ち、これからも家族と国民を守る決意を新たにしよう。
江戸時代に自然資源を徹底的に循環する日本農業が世界を驚嘆させた実績もある。我々は世界の先駆者だ。その底力を今こそ発揮しよう。国民も農家とともに生産に参画し、食べて、未来につなげよう。
農林水産業は、国民の命、環境・資源、地域、国土・国境を守る安全保障の柱、国民国家存立の要、「農は国の本なり」。大胆な食料安保確立予算の緊急執行のための、国民と国の役割を明記した「食料安全保障推進法」も早急に制定し、破綻した新自由主義政策を一掃して抜本的に国家戦略を再構築する。
消費者として
食の安全や食料安全保障を取り戻すためには、日々の買物の中で安くても危ない食品を避け、数十円だけ高い地元の安心・安全な食品を買うこと、それだけでいい。そして、学校給食で子供たちにリスクのある食品が提供されないようにしよう。
私たちは、リスクある食品を食べないことでグローバル企業などの思惑を排除することができる。安心・安全な食品を食べることで、自然環境や健康を大切にする生産者を応援することができる。こういう小さな選択を積み重ねることが、日本の農と食と命を守ることにつながる。
消費者・生産者の垣根をなくし一体化
コロナ禍と国際食料需給ひっ迫を背景として、全国で家庭菜園が増えている。2020年で350万人(男女ともに5割以上が60~70代)が家庭菜園を耕していると2022年5月25日に日経新聞が報じた。旧ソ連が崩壊後の飢餓を逃れたのは各自が菜園(ダーチャ)を持っていたことが大きいとの指摘もある。
各地で、消費者・生産者という区別をなくし、住民が地域の農家さんと一体化して、市民全体で、耕作放棄地も分担して耕し、家庭農園、市民農園を拡大することは、国内の農業生産振興と安全・安心な食料の確保、食料危機に耐えられる日本を創るのに一つの鍵となりうる。
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