【JCA週報】消費大国・日本(若島佑作) (1988)2023年2月20日
「JCA週報」は、日本協同組合連携機構(JCA)(会長 中家徹JA全中代表理事会長、副会長 土屋敏夫 日本生協連代表会長)が、各都道府県での協同組合間連携の事例や連携・SDGsの勉強会などの内容、そして協同組合研究誌「にじ」に掲載された内容紹介や抜粋などの情報を、協同組合について考える資料として発信するコーナーです。
今回は、「協同組合経営研究月報」1988年11月号に、当時の協同組合経営研究所 研究員であった若島佑作氏が執筆された「消費大国・日本」です。
消費大国・日本(1988)
財団法人 協同組合経営研究所 研究員 若島佑作
めくるめくライトの中で華やかにスポットライトを浴びる新車ショー。曰く個性派の貴方に、曰く遊び心など巧みに消費者の心をくすぐるコマーシャル。排気量が大きい3ナソバーの車がとぶように売れていますとメーカーの声。浪費?拡大に狂奔する企業の群。原子力発電の必要性を力説する電力会社も例外ではない。
かつて、車の豪華さを競いあい、生活の豊かさを誇示して、傍若無人に振る舞う肥ったアメリカ人に、羨望のまなざしを向ける中で、いささかの嘲りと反感を覚えたのはいつの日のことだったのだろうか。
購買力平価をはるかに上回る円高を背景に、みやげ店で目の色を変えて買いまくる日本人観光客の群。世界中から資源をかき集める消費大国・日本、資源小国・日本。「おしんの時代」は遠い昔の話ではない。
森林資源の破壊は異常気象をもたらし、フッソガスはオゾン層を破壊し、化石燃料の多用は地球の温暖化をもたらすなど、過剰な消費は「宇宙船地球号」の自壊につらなる。あたかも美食が自らの健康を触むかのように。
石油ショックに狼狽し、「資源は有限」と説くローマクラブの提言に耳を傾けた時代は幻想だったのだろうか。25倍も広いアメリカの2倍といわれる地価総額。世界中で住みにくい都市のワーストワン東京・日本の住宅難、物価高。豊かさを謳歌するコマーシャリズムに乗せられて、アメリカ人以上にアメリカ的といわれる日本。
原油安、円高、低金利のトリプルメリットを背景に、企業は繁栄し、巷に好況感があふれる資源小国・日本。もし、産油国の動向が変われば、異常気象が続けば、etc、トリプルデメリットに変ることも知らぬげに。どこかが狂いはじめている。
賢い消費者を標榜する消費者運動は、このところやや色槌せた感がある。しかし、幸いなことに、先進国の多くの協同組合が停滞ないしは衰退していく中で、我が国の協同組合運動は特異な立場にある。わけても、班活動を通じて、ふれあい、話し合いの中で消費者意識を高めている生協活動の発展は著しい。
日本列島を「正気の島」に差し戻す現実的な道は協同組合運動の中にある。生協に限らず、農協漁働こおける消費者活動の一層の活性化を通じて、協同組合運動の発展を切望する。
協同組合経営研究所 協同組合経営研究月報 1988年 11月号 No.422 より
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