【JCA週報】外国人労働者に支えられる農業の実態と共生の課題(徳田博美)2023年5月22日
「JCA週報」は、日本協同組合連携機構(JCA)(会長中家徹JA全中代表理事会長、副会長土屋敏夫日本生協連代表会長)が、協同組合について考える資料として発信するコーナーです。
今回は、本機構の協同組合研究紙「にじ」の最新号である2023年春号に寄稿いただいた「外国人労働者に支えられる農業の実態と共生の課題」です。
外国人労働者に支えられる農業の実態と共生の課題
1.はじめに
徳田博美
名古屋大学教授
近年、農業では外国人労働者が増加している。その背景には、農業者の高齢化、減少など、農業の厳しい状況がある。野菜や牛乳などでは、外国人労働者抜きには生産の維持が難しくなっている。一般的に外国人労働者は、安価な単純労働力として導入されている。農業でも同様なことは言えるが、それだけではとらえきれない実態もある。農業・農村での外国人との共生を考える上では、農業での外国人労働者の実態を踏まえる必要がある。
以下では、まず外国人労働者に頼る日本農業の現状を整理し(第2節)、農業雇用労働力の動向を概説する(第3節)。その上で農業での外国人労働者の実態を紹介する(第4節)。最後にこれから農業・農村で外国人と共生していく上での課題を挙げる(第5節)。
2.外国人労働者に頼る日本農業の現状
農業での外国人労働者について考える上では、まずわが国の農業の現状を理解しておく必要がある。表1に農業に関する主な指標の変化を示した。農業経営体数(2000年以前は総農家数)は大幅に減少している。1970年には総農家数で540万戸であったものが、2020年には農業経営体数で107万経営体にまで落ち込んでいる。
この背景には、農業労働力の減少がある。農業就業人口は、1970年には1000万人を超えていたのが、2015年には200万人余りにまで減少している。高齢化も深刻で、2015年には農業就業人口の73.5%が65歳以上の者である。高齢者によってわが国の農業は支えられてきたが、年を経るとともに引退する者が増え、農業経営体を支えていた高齢者もいなくなり、農業経営体そのものも減少した。外国人労働者は、このような農業労働力の弱体化を補う労働力として導入されている。
農業経営体の減少によって土地利用も後退している。農地面積は1970~2020年で24.6%減少している。作物作付延面積の減少率はさらに大きく、36.8%減となっている。土地利用の後退は、当然ながら農業生産を縮小させている。その結果として食料自給率は低下している。総合食料自給率は、1970年には60%であったのが、2020年には37%に低下している。さらに農業の後退は、農村における高齢化、過疎化など社会経済の衰退にもつながっている。
現在、ロシアのウクライナ軍事侵攻などで、世界の食料需給は不安定化し、食品価格が高騰しており、食料の安定供給にとって国内の農業の立て直し、生産の拡大がこれまで以上に重要となっている。
農業における外国人との共生は、農業の立て直し抜きには考えられない。
全体の章立ては下記のとおりです。JCAのウェブサイトにて全文を掲載しておりますので、ご覧ください。
1.はじめに(本記事で紹介)
2.外国人労働者に頼る日本農業の現状(本記事で紹介)
3.農業作業の特性と農業雇用の動向
4.農業における外国人労働力の実態
5.農業における外国人との共生の課題
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