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【JCA週報】一世代を経て:『レイドロー報告』再考3(2010)(イアン・マクファーソン、訳:和泉真理)2023年6月19日

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「JCA週報」は、日本協同組合連携機構(JCA)(会長 中家徹JA全中代表理事会長、副会長 土屋敏夫日本生協連代表会長)が協同組合について考える資料として発信するコーナーです。
今回は、当機構の前身であるJC総研が発行した「にじ」2010年春号に、イアン・マクファーソン氏が執筆された「一世代を経て:『レイドロー報告』再考」です。
ボリュームの関係から9回に分けて掲載いたします。途中で他の掲載を挟んだ場合はご容赦ください。

一世代を経て:『レイドロー報告』再考 #3/全9回(2010)
イアン・マクファーソン(ヴィクトリア大学名誉教授)
訳:和泉真理、監修:中川雄一郎

はじめに(#1)
1.レイドロー報告考察の2つの論点
(1)世界的に異なるレイドロー報告の影響とその背景(#1)
(2)レイドロー報告の影響力の源泉
①それまでの協同組合研究の課題(#1)
②異なる世代間に橋を架けたレイドロー報告(#2)
③2つの教訓の提起(#3)
④世界的視点から物事を考察したレイドロー(#3)
⑤在来型の協同組合管理手法への疑問(#3)
⑥協同組合運動に参加する市民の能力への確信(#4)
⑦協同組合教育の重要性(#4)
2.変化するグローバル社会における協同組合の位置づけ(#5~#7)
3.レイドロー報告の最も重要な部分一第V章「将来の選択」一(#7)
おわりに(#8、#9)

1.レイドロー報告考察の2つの論点

(2)レイドロー報告の影響力の源泉

③2つの教訓の提起
一富の公正な分配、民主主義は自ら獲得するもの一
同時に、レイドローは、カナダにおいて重要な役割を担ってきた協同組合運動の指導者の第2世代に、すなわち、1930年代末から1940年代初期にかけて大きく成長した世代に属していた。
この世代に属する指導者たちは、1970年代末に至るまでカナダの協同組合運動に大きな影響力を及ぼしてきた。彼らはエネルギッシュで機知に富んだ、創造力豊かな世代の指導者であった。レイドロー報告が証明しているように、彼らは、1930年代から40年代にかけて荒れ狂った出来事、すなわち、大恐慌と第二次世界大戦のトラウマを二度と繰り返させないために力を尽くすよう決意していた。

レイドローは、同時代の他の人たちと同じように、このような困難な時期に学んだ二つの貴重な「教訓」を強調している。一つは「富は公正に分配されなければならない」、もう一つは「民主主義は自ら獲得するものであり、装うものであってはならない」、これである。
彼は、このような考えを共有する同世代の人たちを世界の至る所で見い出すことができた。そして彼は、レイドロー報告でこの二つの教訓を表現を変えては繰り返し述べているのである。

④世界的視点から物事を考察したレイドロー
概して彼は、彼の世代の大多数の人たちと同じように、直感的に、国内的な視点からだけでなく世界的な視点からも物事を考えようとした。その点もまた、レイドロー報告の至るところに見て取れる。実際のところ、レイドロー報告は一「協同組合の本質」についてのヨーロッパ中心的な解釈を含めた一北大西洋地域に共通する視点や考えを超越していく、という複雑な問題に取り組んだ最初の主要な著書の一つである。
国際関係論の研究者でもあるレイドローは、第二次世界大戦の終結から始まった「冷戦」を常に自覚し、またそれに関心を払った。それ故、彼は、協同組合運動こそ、「米ソ両陣営への分裂」にまとわり付く意見の相違(や当時のその他の相違点)に橋を架けることのできる最も有効な方法の一つである、と確信していた。
彼は、世界的規模での富の不平等や不安定な平和という問題に取り組む方法として、民主主義の実践の拡大と深化のための導管として国連や国際開発プログラムを信頼していた。これらのことこそ彼の世代にとって大きな関心事であったことは、レイドロー報告を見れば明らかである。

レイドローは、世代的な位置や実践的な位置から見ると、彼よりも前の世代が大いに発展させてきた協同組合を安定させるよう努力したカナダ人の世代に属しており、彼らの影響力を最大限活用して州、地方および全国のレベルで協同組合制度を創出するのに奮闘した一人である。

しかし、それは複雑でしばしば期待はずれの仕事(タスク)でもあった。したがって、レイドローは、大規模で複合的な協同組合組織を築き上げてきた人たち、あるいは築き上げようとしてきた人たちを理解する能力を持ち合せていた。すなわち、彼は、ノヴァ・スコシアにおいて彼の前の世代が担った、協同組合の活気に満ちた形成期の段階から主に彼の世代が担うことになった協同組合の安定化と協同組台制度の構築の段階へと進んでいく協同組合の軌道を理解していたのである。

創設者と建設者の双方の役割と重要牲を理解する彼のその能力は、彼が1980年における国際協同組合運動とそれを取り巻く多様な環境とを理解しようとするうえで大いに役立った。

レイドローは、教師としての職業柄、将来を見据えて、常に若い人たちと共に働くことを心から楽しんだ。

彼は、カナダでは主流の協同組合住宅プログラムの開発に従事した1970年代に、社会活動やコミュニティ開発に参加していた、その当時20歳代から30歳代の多数の若者たちと知り合いになった。彼らはやがて、主に献身、知性それに洞察力の故に、全国的な協同組合運動において、その組織の規模が保証できると思われた以上の役割を果たすことになるのである。

⑤在来型の協同組合管理手法への疑問
彼の次の世代と彼との連携の影響は、特に都市部における地域コミュニティの開発、労働者協同組合への支持、協同組合における女性の役割の拡大への関心、そして在来型の協同組合経営・管理手法への疑問一これらはすべて、彼が連携した若者の大きな関心事でもあった一についてレイドロー報告が強調している点に明白に見て取れるのである。

アレックス(レイドロー)にはこのような3世代にも及ぶ幅広い友人や仲間がいた。1940年代末以後、彼は、カナダにおいて多くの協同組合運動の指導者たちと親交を保ってきただけでなく、他の国々でも幅広い交友関係を築いてきた。彼は、アンテイゴニシュにある「コーデイ国際研究所」に関与することによって、アメリカ合衆国の人たちだけでなく、グローバル・サウスの多くの人たちとも知り合うことができたし、またICAの諸行事や数多くの国際開発プロジェクトに参加することによって、ヨーロッパだけでなくアジアやアフリカなど世界の多くの国々の人びとと面識を得ることができた。

彼は、社交的で心和(なご)む人物であり、また思いやりのある、だが決して出過ぎたところのない人物であることから、友人も自然と増えていき、しかも彼らの多くとは数十年にわたる付き合いをしてきた。彼が(ICA大会のために)書き、提出したレイドロー報告は、そのような友人たちの知識と彼への影響力の賜物でもあったのである。

(続く)

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