シンとんぼ(51)食の安全とは(9)普通の食べ物について2023年7月8日
令和3年5月12日に公表された「みどりの食料システム戦略」をきっかけに始まったシンとんぼは今、そもそも「食の安全」とは何かということを検証しようと試みている。現在、「毒性とは何か」をテーマにすえており、毒性を科学的にとらえて身近なものと比較しながら毒性を考えている。前回、身近なもので経口急性毒性を比較し、農薬ほど毒性や人畜への影響が分かっている物質はないといえるのではなかろうかと結んだので、今回は、毒性が分かっていないもの物質とは何かということを考えてみたい。
前回、ガンの疫学者は、ガンの原因1位はふつうの食べ物であり、その中には、ガンを引き起こす可能性のある物質が含まれていることを意味していることを紹介した。普通の食べ物にはまだまだ解明しきれていない様々な物質が潜んでいるということだろう。なので、ついでに農薬工業会さんのHPで紹介されていた内容をもう少し補足的に紹介したい。
それによると、米国のエイムズ博士は発がんの危険性の指標としてHERP値を考案・計算している。その結果、残留農薬や水質汚染などから人が摂取する汚染物質の量はきわめて微量であり問題はなかったが、むしろ天然由来の物質や調理した過程で食品から発生する発がん物質の方がはるかに問題であることを指摘しているとのことだ。加えるに、自然のままで発がん物質を含まない野菜・果物はほとんどないことも同時に確かめているとのことだ。
以下に、エイムズ博士が計測した発がん性物質の危険度ランキング(HERP値の大きい方が発がんの危険性が高い)を、身近なものを紹介すると、水道水1L:0.001、普通の家庭の空気:0.6、ベーコン:0.003、日本酒:0.003、ピーナッツバター:0.03、イカ:0.06、バジル:0.1、ビール:2.8、ワイン:4.7 などである。
とはいえ、普通の食べ物に含まれる発がん物質が含まれている量は微量であり、色々な食材をバランスよく食べることでリスク分散され、大きな影響は出ない。逆に農薬の場合、発がん物質ではないことを確認してから農薬登録を受けるので、発がん物質を含む普通の食べ物よりよっぽど発がんリスクが低いということはできないだろうか?
また、虫食いや病気になった部分で作物が出すファイトアレキシンも普通の食べ物に含まれる毒性物質の一部なので、発がん性が無いことが分かっている農薬で、虫や菌を退治した方がよほど発がんのリスクを抑えると考えられないだろうか?
重要な記事
最新の記事
-
シンとんぼ(91)みどりの食料システム戦略対応 現場はどう動くべきか(2)2024年5月4日
-
みどり戦略対策に向けたIPM防除の実践(9)【防除学習帖】 第248回2024年5月4日
-
土壌診断の基礎知識(18)【今さら聞けない営農情報】第248回2024年5月4日
-
(382)「ファミリー・ビジネス」の生き残り【三石誠司・グローバルとローカル:世界は今】2024年5月3日
-
むらの掟【酒井惇一・昔の農村・今の世の中】第289回2024年5月2日
-
主食用多収品種の「にじのきらめき」が人気になる理由【熊野孝文・米マーケット情報】2024年4月30日
-
令和6年春の叙勲 5人が受章(農水省関係)2024年4月29日
-
シンとんぼ(90)みどりの食料システム戦略対応 現場はどう動くべきか(1)2024年4月27日
-
みどり戦略対策に向けたIPM防除の実践(8)【防除学習帖】 第247回2024年4月27日
-
土壌診断の基礎知識(17)【今さら聞けない営農情報】第247回2024年4月27日
-
【欧米の農政転換と農民運動】環境重視と自由化の矛盾 イギリス農民の怒りの正体と運動の行方(2)駒澤大学名誉教授 溝手芳計氏2024年4月26日
-
【注意報】麦類に赤かび病 県内全域で多発のおそれ 佐賀県2024年4月26日
-
【注意報】麦類に赤かび病 県内で多発のおそれ 熊本県2024年4月26日
-
【注意報】核果類にナシヒメシンクイ 県内全域で多発のおそれ 埼玉県2024年4月26日
-
【注意報】ムギ類に赤かび病 県内全域で多発のおそれ 愛知県2024年4月26日
-
「沖縄県産パインアップルフェア」銀座の直営飲食店舗で開催 JA全農2024年4月26日
-
「みのりカフェ博多店」24日から「開業3周年記念フェア」開催 JA全農2024年4月26日
-
「菊池水田ごぼう」が収穫最盛期を迎える JA菊池2024年4月26日
-
「JAタウンのうた」MV公開 公式応援大使・根本凪が歌とダンスで産地を応援2024年4月26日
-
中堅職員が新事業を提案 全中教育部「ミライ共創プロジェクト」成果発表2024年4月26日