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地方はつけ込まれるな【小松泰信・地方の眼力】2023年8月9日

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78年前の8月9日、米国は私のふるさと長崎市に原子爆弾を投下。おびただしい数の市民が一瞬にして落命し、生き残った人々にも心身に重篤な後遺症をもたらし続けている。

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覚悟を持って戦うべき相手は誰だ

自民党の麻生太郎副総裁が8月7日から9日までの日程で台湾を訪問した。

毎日新聞(8月9日付)によれば、麻生氏は8日開催の国際フォーラムで講演し、中国が軍事的圧力を強める台湾海峡の平和と安定を維持するため、日本や米国、台湾による抑止力を機能させるには各国の「戦う覚悟」が必要だとの認識を示すとともに、「防衛力を台湾防衛のために使う意思」を示すことの重要性も強調した。

麻生氏は台湾情勢について「平時から有事に少しずつだが確実に変わっている」と言及。「我々にとって今最も大事なことは、台湾海峡を含むこの地域で戦争を起こさせないことだ」と述べた。その上で「今ほど日本、台湾、米国をはじめとした有志国に、強い抑止力を機能させる覚悟が求められている時代はないのではないか」とし、「戦う覚悟です」と強調したそうだ。

また「お金をかけて防衛力を持っているだけではダメだ。いざとなったら台湾防衛のために使う明確な意思を相手に伝えることが抑止力になる」とも述べたが、2015年制定の安全保障関連法では、「日本の存立が脅かされた場合に限り、集団的自衛権を行使できる」としていることから、氏の主張は、「物議を醸す可能性がある」としている。

ここで確認しておかねばならないのは、2008年5月7日、福田康夫首相と胡錦涛主席の日中首脳会談で交わされた「『戦略的互恵関係』の包括的推進に関する日中共同声明」である。そこには、「双方は、互いに協力のパートナーであり、互いに脅威とならないことを確認した」と明記されている。この事は、その後も繰り返し確認されている。

非戦の覚悟こそが必要なこの時に、われわれに求められているのは、好戦的な政治家連中と戦う覚悟である。

政府の手口に騙されるな

「防衛省が突貫工事を押し進めている」で始まる信濃毎日新聞(8月1日付)の社説は、「国の横暴が常態化」する典型例として、陸上自衛隊輸送機V22オスプレイの配備に向けた、佐賀空港に隣接した佐賀新駐屯地の建設を俎上にあげている。

防衛省が、用地買収にめどが付くとそれまでの低姿勢を一変させ、地元の反発も顧みず、24時間態勢で休日も作業する異例の工事に突き進むことに対し、「国防を理由に、地方自治をないがしろにする態度がここでもあらわになっている」と指弾する。

当初、地元漁協は特産のノリ漁への影響を懸念し反対。「空港を自衛隊と共用しない」とする協定を県と交わしてもいたが、漁協は昨年11月、この協定の見直しに応じた。その背景には、国からの船の購入費補助、人口減少が深刻な地域の振興策への期待などがある。防衛省はこの機に乗じ、土地買収額を積み増した。今年5月、地権者の売却方針決定を受け、漁協は売買契約を締結。それから3週間余で工事開始。佐賀市が夜間作業は避けるよう求めても防衛省は耳を貸さない。小学校もある通りを大型ダンプカーが行き来するとのこと。

交付金や補助金をちらつかせ、市民の分断をあおり、環境影響評価も終わらないうちに道路工事に着手するなどして既成事実化を急ぐ。このような手口が全国各地で繰り返されることを危惧する。

少しも信頼関係は深まっておりません

政府の手口といえば、故安倍元首相によるNHKを政府の広報として活用した印象操作と世論形成もそのひとつである。

NHK「おはよう日本」(8月8日7時台)で、7日に岸田首相が東京電力福島第1原発の処理水の海洋放出に関し、国内の漁業関係者が反対していることについて、「地元との対話を重ねており信頼関係は少しずつ深まっていると認識している」と述べ、「政府としては、放出計画の安全性を確保するとともに、風評対策を徹底することを丁寧に説明し理解を求めていく考え」であることを報じた。地元漁業関係者のコメントなどはなく、「信頼関係の構築」が進んでいることだけが記憶に残った。もちろん政府の広報を信じてはいない。

案の定、西日本新聞(8月8日付)は、被災地の漁業関係者らから「反対してもどうせ流すんだろう」といった諦めにも似た悲痛な声が上がり、「政府への不信感」が根強いことを伝えている。
「理解はしていない。いくら反対してもどうせ流すんだろう。海洋放出されれば、風評は必ず起きる」(福島県相馬市の漁師)。
「放出時期がいつになっても影響は少しずつ出てくる」「本音はやってほしくない」(福島県いわき市の旅館経営者)。
「福島と距離はあるとはいえ、太平洋でつながっている。通販などにも影響が出ると思う」(岩手県陸前高田市の鮮魚店主)。

どう考えても信頼関係が進んでいるとは思えない。NHKは、汚染水の前に、国民に分断をもたらし、地元を孤立化させようとする腐臭ただよう汚染情報を垂れ流していることを自覚せよ。

地方の苦境につけ込む政治家を許さない

中国電力は8月2日、山口県上関町に使用済みの核燃料を一時的に保管する「中間貯蔵施設」の建設に向けた調査を申し入れた。

毎日新聞(8月9日付)で元村有希子氏(同紙論説委員)は、1982年に表面化した中国電力上関原発の計画反対に立ち上がった同町の祝島を取り上げている。予定地は海を隔てて目と鼻の先。海とともに生きてきた人々は補償金を拒み、粘り強く抵抗した。「第1次産業だけでは生活は成り立たなくなる」という、中国電力社員の一言が島民の団結をより強固にし「金銭的価値とは異なる豊かさを知る島民にとって、変わらない景色こそ守るべき価値なのだ。『原発の金に頼らない島』を目指し、特産品開発や自然エネルギー普及に取り組んだ」とのこと。しかし上関町の人口はこの40年間で約3分の1に減り、高齢化も進んだ。町長は、原子力施設と引き換えに得られる国の交付金を「持続可能な町づくりを考える上で一つの選択肢」とする。

元村氏は、「地方の苦境につけこむようなやり方をいつまで続けるつもりか」と憤る。さらに、「東京のために電気を作り続け、事故でふるさとが一変した福島の教訓を、忘れてはいないか」と訴える。まったく同感。

悲しいかな、この国の為政者は「地方創生」とか「地方の活性化」を望んでおらず、東京圏の繁栄と地方主要都市のほどほどの繁栄を願っているようだ。その他地方は捨て駒。離島とか中山間地の限界集落などは迷惑地域そのもの。そこへの投資意欲はなく、ただただ放置。その苦境につけ込んで、防衛施設や原発施設などの迷惑施設を受け入れさせる。こんなシナリオに誰がのるか。

苦境に立つ地方の姿を心配そうな素振りでのぞき込み、何を引き受けさせるかと考えている政治家を絶対に許してはならない。

「地方の眼力」なめんなよ

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