【JCA週報】生物多様性保全のための地域指定と農業への規制(和泉真理)2023年10月16日
「JCA週報」は、日本協同組合連携機構(JCA)(会長山野徹JA全中代表理事会長、副会長土屋敏夫日本生協連代表会長)が協同組合について考える資料として発信するコーナーです。
今回は、当機構客員研究員の和泉真理氏によるEUの農業・農村・環境シリーズです。
研究員レポート:EUの農業・農村・環境シリーズ第58回
生物多様性保全のための地域指定と農業への規制
(一社)日本協同組合連携機構 基礎研究部 客員研究員 和泉真理
1 生物多様性保全に向けた世界の動き:陸地と海の30%を生物生息地として保全する
「農業は世界の生物多様性の損失の最大の要因である」
これは2021年の国連環境計画による文章である。増える食料需要に対応して農業が農地面積を拡大し農薬を用いるなど生産を効率化させたことは、生物生息地を圧迫し、多数の動植物の減少や絶滅の原因となった。
この生物多様性の損失を食い止めるために、各国でさまざまな政策がとられてきた。その主な手法は希少な動植物や地形的特徴のある場所を保護対象地域に指定し、そこでの農業を含めた人による活動を規制・禁止することだ。国立公園や自然保護区(日本の鳥獣保護区など)の設置や、国際条約であるラムサール条約などは、馴染みの深い用語であろう。
2022年の国連生物多様性会議(COP15)では、自然喪失を食い止めるための23の目標を採択したが、その1つとして、2030年までに世界全体で陸地と海のそれぞれ30%以上を保全地域にする「30by30」という新たな目標が合意された。これまでの様々な取組にもかかわらず生物多様性の損失が続く中、動植物のための十分なスペースを確保しようということだ。
生物多様性保全のための地域指定はEUでも長年行われてきた。EUは1980年代から生物多様性の損失、その原因となる生物生息地の縮小・状態の悪化が問題となり、自然や生態系の保護のための政策が導入されてきた。野鳥保護について定めた1979年の「鳥類指令」、生物多様性保全を目的とした1982年の「生息地指令」がEUの生物多様性保全政策の土台となっており、これらの指令をもとに、EU域内の自然保護区ネットワークである「Natura2000」が設定されている(図1)。Natura2000は2021年時点でEUの陸地面積の26%を占めている。
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