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(355)需要創出:米国のトウモロコシの事例【三石誠司・グローバルとローカル:世界は今】2023年10月27日

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「需要創出」、とよく言われますが簡単ではありません。簡単に出来る需要は簡単に消滅します。それは本当の需要ではなく一過性の「ブーム」に過ぎません。日本でも数年おきに発生する「〇〇ドリンク」のようなものです。本当の需要は息が長いものです。ありふれたモノだからこそ息が長くなります。米国のトウモロコシを例に見てみましょう。

現代ビジネスに携わる多くの人は、トウモロコシが家畜用飼料、そして工業用原材料として極めて重要なことを知っている。日本はそのトウモロコシを年間約1,600万トン、米国を中心に輸入しており、1,200万トンが家畜飼料用、400万トンが工業用原材料として使用されている。ここまでは関係者の多くに「良く知られた事実」である。

さて、その米国のトウモロコシだが、1960年当時の需要は大半が家畜飼料用であった。農務省の統計では1960年の生産量は9,924万トン、このうち家畜飼料用は7,897万トン、割合は80%である。

60年後の現在、2023年の米国は3億8,265万トンのトウモロコシを生産している。この内訳はかつてのように家畜飼料用が中心ではない。グラフは、1960年以降の米国のトウモロコシの需要推移をまとめたものだ。国内飼料用と輸出はわかりやすい。FSIとはFood、 Seed、 and Industrial Use、つまり食品・種子・工業用の略である。一見してわかるとおりFSIが急増しているが、いくつかの段階があることもわかる。

米国のトウモロコシ需要の長期変化出典:USDA, PS&D データより筆者作成

1960~80年頃までのFSIはマイナー需要に過ぎない。当時の中心需要はあくまで家畜飼料用である。1970年代以降は輸出需要が急増したが、数量的には現在も変わらない。

ところで、国際政治の世界では、第二次大戦後1945年から1989年までが米ソの冷戦(あるいは東西冷戦)時代とされている。その冷戦の最中、ソ連は敵方の米国(正確には多国籍穀物メジャー)から大量の穀物を買付けている。わが国でも国際的な穀物貿易が各所で注目され、様々な議論がなされた。恐らくそのピークは1979年末のソ連によるアフガニスタン侵攻と、対抗する米国の対ソ穀物禁輸であろう。この話はまた別の機会としたい。

さて、この1980年頃から2000年くらいまでの時期、先述のFSI需要は着実に増加している点に注意したい。筆者が前職で穀物輸入に携わっていた時期は80年代後半から90年代前半だが、当時はFSIと輸出がほぼ同水準であった。簡単に言えば、国内飼料用6割、残りの4割をFSIと輸出で分け合った時代である。それはまだ、日本向けを含めた輸出需要が米国産トウモロコシ需要の2割を占めていた時代ということでもある。

この構造が大きく変化したのは2000年代前半からだ。だが、その前段には1970年代以降の数多くの環境問題に対応する政策が伏線として施行されている。いわばその集大成のような形で2005年エネルギー政策法が施行され、再生燃料基準を含めた一連の流れが様々な修正を経て現在でも継続していると考えてよい。

2000年代以降のFSIの急速な需要増加、つまり需要創造は政策的なものである。米国社会における人々の意識(供給過多による価格低迷および環境意識の高まり)と、国際情勢(石油の中東依存へのリスク増大、エネルギー安全保障)の変化を大局的にとらえた米国が、21世紀に向けて産業構造そのものを大きく転換させた格好の事例であり、単なる穀物の話ではない。

ここを全体として理解しないと話は見えてこない。

そもそも穀物からエタノールを作る技術自体は、20世紀初頭に既に開発されていたが、まともに取り扱われてはいなかった。そのうちに国際情勢への対応や、国内外で環境問題(MTBEの禁止など)が生じてきた。

さらに、農業における品種改良技術の向上によりトウモロコシは増産され、需要を上回る生産が続けば、価格は低下し、農家は被害を受ける。

これら3つの難問を同時に解決する政策として、国内に新たにバイオエタノール市場を創造し、余剰農産物を吸収し続けているということになる。

* *

技術の発展により、需要を上回る生産が継続するときに何をすれば良いか、米国の事例は大変興味深いですね。

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