ヴァルスガーナ観光協会による観光と牧畜の共存共栄のための『乳牛の里親になろう』プロジェクト ローマ在住ジャーナリスト・茜ヶ久保徹郎【イタリア通信】2024年1月13日
マルガ
『乳牛の里親になろう』は2005年にヴァルスガーナ観光協会がアルプス山脈やドロミティ山脈のマルゲ(malghe)と呼ばれる高地の牧草地帯に牛や羊などを放牧し、乳製品を生産するこの地方の伝統的な牧畜業を営む小さな農場のプロモーションと自然の保護、地産地消の素晴らしさを知ってもらうために企画されました。マルゲのオーナーは、夏の間はイタリア語でアルペッジョ(alpeggio)と呼ばれるアルプス山脈やドロミティ山脈で放牧されている牛や羊と一緒に生活し、新鮮で栄養豊富な草を食べている牛の乳を昔からの方法でその場でチーズなどの乳製品に加工します。
ヴァルスガーナ地方はオーストリアとの国境に近い北東イタリアのアルプス山脈にあり、20世紀初めまではオーストリー・ハンガリー帝国の領土で、第一次世界大戦の勝利でイタリアに戻った、山と森、湖に恵まれた風光明媚な土地で、夏は避暑地、冬はスキーなどのウインタースポーツ、そして高原の自然の恵みを使った土地の美味しい料理を満喫できます。
乳牛の里親
そして「乳牛の里親」になるためには、先ず www.adottaunamucca.org をクリックすると16のマルゲと所属する牛の写真、そして名前を見ることが出来ます。その中から気に入った牛を選び65ユーロ(約1万円)支払うとバウチャーが送られてきて、夏のあいだにヴァルスガーナに行くと里子になった牛が紹介され、出来立てのチーズが渡されます。支払った65ユーロのうち、50ユーロがマルゲへ、15ユーロはヴァルスガーナ地方の環境維持に使われます。このように、里親になることで昔からアルプス地方で放牧されているグリギア・アルピナ種やブルーナ・アルピナ種の牛の生活環境を維持し、森やそこに住む動物たち、生殖する植物、そして美しい自然を守ることが出来ます。2023年には2400人が里親になりました。
ヴァルスガーノ観光協会のデニス・パスカリーニ会長やヴァルスガーノ・ラゴライ観光協会のステファノ・ラヴェッレの理事長は「『乳牛を養子にしませんか』は地域の色々な団体とネットワークを組み、山で生活し、山を愛し大切にしている人たちを巻き込むことが出来た素晴らしいプロジェクトです。なぜなら山の伝統を支援し、牧草地の維持を保証するこのプロジェクトで、観光と農業が協力して発展できることが証明されたからです」と自慢しています。
放牧地の牛
小説や漫画、アニメなどで子供ころから親しんできた『アルプスの少女ハイジ』、(今年は日本でアニメが放映されてから50年目、イタリアでは今でもよく放映され、高齢者から小さい子供までがファンです)。ヴァルスガーナ地方に行くと今もその風景を見、ハイジのおじいさんが作っていたチーズを味わうことが出来ます。 しかし最近は気候の変動や工業化などに押され、伝統的な放牧やチーズ作りが減り、牧草地や周りの森、そして生息している自然の動植物が減り始めているため、土地の人たちは観光と牧畜が協力して伝統ある豊かな自然と生活、文化を維持しようとしています。
チーズ作り
日本からも里親になることはできますが、地産地消が趣旨なので出来たチーズを日本に送ることはできません。これはイタリア国内でも同じで、ヴァルスガーノまで受け取りに行きます。しかし里親になる人の目的は放牧された牛がのんびりと牧草を食べているアルプスの自然環境と昔から続くチーズ作りなど守ることなので、チーズを貰えなくても満足しています。
出来立てのチーズ
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