シンとんぼ(77) 食の安全とは(35)「有害微生物(細菌等)、ウイルス等による食中毒」2024年1月20日
令和3年5月12日に公表された「みどりの食料システム戦略」をきっかけに始まったシンとんぼは、前回から内閣府の食品安全員会が継続して実施している食品安全モニターに対する意識調査結果をもとに、食の安全に対する意識の変化を探っている。調査には15個(2022年度)の“食品の安全性の観点から感じるハザード(不安要因)”があり、モニターの方がハザードごとに不安を感じるかどうかを調査し、その割合が示されており、前回からハザードごとの意識の変化を探っている。今回は、2004年の調査で「汚染物質」、「残留農薬」に次いで多く、「残留農薬」とほぼ同等の割合であった「有害微生物(細菌等)、ウイルス等による食中毒」だ。
「有害微生物(細菌等)、ウイルス等による食中毒」にとても不安を感じるモニターの割合は、2004年44.1%であったものが、3年後の2007年には33.6%と減少し、さらに5年後の2012年には23.8%、2017年に25.6%、直近の2022年でも25.2%ほぼ25%前後で落ち着いており、特殊な事件等があると一時は増加するといった傾向にあるようだ。
原因で有名なのは、病原性大腸菌O157やノロウイルスによる食中毒がよく知られているが、最も騒がれたのは"カイワレダイコン"事件だろう。これもマスコミの報道姿勢がセンセーショナルにあおることを基本にしていること目の当たりにした気がした。
これは1996年(平成8年)に大阪の堺市で、給食を食べた児童が次々と発症し、3人の児童が亡くなった事件だ。この時、原因菌のO157が付着していたという結論でカイワレダイコンがやり玉にあがり、あっという間に市中から抹殺された。後に、これはずさんな検査による誤りであり、全くな冤罪だったことが後にわかるのだが、その際のカイワレダイコンの扱いは本当にひどかった。カイワレの生産者が訴訟を起こし、ずさんな検査が浮き彫りになってカイワレの無実が証明されたが、それまでに生産者に与えられた被害は尋常でなく、未だにカイワレ=O157と思っている人も少なからずいるだろう。これは、報道の誤りを謝罪し、内容を丁寧に正した報道機関は少なかったためだろうと思う。きちんと責任もって特集組むなどしてきちんと正すのがスジだろうとシンとんぼは思う。まさに報道の恐ろしさをつくづく感じた事件であった。
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